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COVIDと対峙するために日本社会が変わるべきこと

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おはようございます。走ってきました。週5回は朝走るのですが、このときreflectionをします。昨日見たもの、書いたもの、語り合ったこと。Reflectionの時間は非常に大事でただただ実務だけやってるとすぐにアイデアが枯渇します。あと、休養、運動、栄養、そして笑いはとても大事です。

さて、本日お伝えしたいことは結論だけ言えば以下のことです。多くの専門家も同じようなことを言っていますから特にオリジナリティはありません。

1.風邪をひいたり体調を崩したら家で休む。社会もそれを許容する。
2.しんどくなったらマスクを付けて速やかに病院を受診する。しんどくなければ必須ではない。しんどさの基準は個人差があるので個々の判断で。
3.自宅に家族がいれば、病気の人はマスクを付けて、神経質に何かに触るたびに手指消毒をする。何度でも。
4.仕事や学業を効率化する。人が集まらねばならない会議は最小化してメールでできること(特に連絡事項)はすべてメールやチャットなどでやる。自宅でできる仕事も自宅でやる。
5.医療リソースと公衆衛生リソース(役所含む)を大切にする。モノと人。マスクを無駄遣いしない。人も無駄遣いしない。すぐに病院に駆け込まない。「何かあったらすぐ病院に」と勧めない。夜中の記者会見など無駄なことはしない。というか、記者会見もチャットでやるといい、昼間に。

さて、1月に新型コロナの輸入例がどう広がっていくか、シミュレーションをしました。プレプリントですが公表しています。

https://www.preprints.org/manuscript/202002.0179/v1

ぼくは予測の専門家ではなく、あくまでも一介の臨床屋です。なので、これは「予測」ではなく、「シミュレーション」です。すべてを「想定内」にするためのシミュレーション。

臨床屋も「予測」はするのですが、予測を当てにしすぎません。臨床予測はしばしば外れるからです。検査がしばしば間違えるように。よって、間違ったときのためのプランB、プランC、プランDを予め立てておきます。「予測は間違えても、判断は間違えない」よう、ゲーム理論的な戦略を練るのです。ここでも、起こりうるシナリオを(制限はありますが)SEIRモデルを使って45通りのシミュレーションをやってみました。

ここで特に注目したのは発症から受診までの期間です。よく「新型コロナは潜伏期間が長くて」といいますがここはそれほどポイントではありません。潜伏期間はR0にあまり寄与しないからです(我々のモデルだと全く寄与しません)。それに、nCoVは潜伏期がたいして長いわけでもありません。中央値は3日程度で、要するに半数は3日未満です。長い人で14日(場合によってはそれ以上)になるだけです。

潜伏期間は「広がり」には意味を持ちます。よって、「水際作戦(border screening)」的には重要な要素ですが、そもそも水際作戦は役に立たないことは昔っから専門家は知っていました。あそこで引っ掛けられるのは極端に潜伏期間が短いデングのような例外的疾患で、そもそもデングは空港でひっかけなければならない疾患ではないわけで、要は感染症をよく理解していない人たちが「水際作戦」にすがったのでした。

さて、僕らのシミュレーションでは、「たとえ同じウイルスでも」感染者が発症してから受診するまでの時間が違うとずいぶん二次感染のインパクトが変わることがわかりました。詳しくはプロットをご覧ください。感染症の広がりはウイルスだけが決めるのではありません。社会や個人の振る舞いも大きく影響するのです。

僕はこのプロットを見たとき、「あ、日本だと大丈夫かな」と思いました。新型インフルの記憶が残っていたからです。あのとき、多くの患者さんは熱が出ると即座に病院にやってきました。ときには30分以内に。そんなに慌てなくてもインフルはたいてい勝手に治るのに、とぼくはその時思いましたし、実際、ヨーロッパの多くの人たちは自宅で休んでいて「勝手に治して」いました。そもそも日本医療制度はとてもアクセスが(ときに極端なまでに)よいのが「売り」ですから、発症から受診までの時間であれば、日本は世界のトップレベルだよな、と思ったのです。

記憶とはやっかいなものです。記憶と経験値があれば人は賢くなりそうなものですが、逆にその記憶が邪魔をすることがあります。要は一般化できることと個別なものを区別することが大事で、新型インフルでしか当てはまらないことを別の感染症に無理やり当てはめるのは間違っているのです。

そう、ぼくもその時間違った連想をしていたのでした。論文を書いていた1月には気づいていなかったのですが、今朝ジョギングしていてようやく気がつきました。うかつでした。せっかくシミュレーションをやっていたのに、プロットを別の角度から見るのを怠っていたのです。

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