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やまゆり園事件が決して他人事では済まされない理由

 2016年7月に起きた障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件の裁判員裁判が続いている。

 すでに14回の公判が開かれ、3月16日に判決が出る予定となっている。刑罰ももちろんだが、このような事件が起きた社会的背景を明らかにしてほしいと、被害者の家族や障害者団体などは強く望んでいる。

 植松聖被告に3回面会し、裁判の傍聴も続けている日本障害者協議会代表の藤井克徳氏は、被告があまりに表層的で浅薄であったこと、育った時代や環境も含め被告一人だけの問題ではないこと、そして、障害者施設に勤務する間に「重度障害者は生きていても仕方がない」という誤った障害者観を持つようになったという事実などから、事件に対する複雑な思いを語る。この事件は社会の仕組みや行政の対応も含め、解明されるべきことが数多くあるが、藤井氏は裁判で全容が解明されるかどうかを危惧している。

 やまゆり園事件のあとも、障害者雇用の水増し問題や精神医療での身体拘束、旧優生保護法強制不妊手術の被害者による提訴、などが次々と明らかになり、障害者をめぐる状況はその後も変わっていない。藤井氏はこうした問題の背景には、根深い優生思想があることが認識されなければならないと指摘する。

 藤井氏は、第二次大戦中のナチスによる障害者虐殺、いわゆるT4作戦が、優生思想に基づいて行われ、それがその後のホロコーストにつながった経緯を、自ら取材した体験に基づいて語る。ドイツだけではなく日本でも優生思想に基づく政策がつい20年ほど前まで行われており、強制的に不妊手術を受けされられた障害のある人たちが今やっと声を上げ始めている。

 生産性や効率重視の傾向がより強くなる世の中で、劣った人を排除しようとする優生思想は、今も社会のなかに存在する。一人ひとりの中にも“内なる優生思想”があることを認めたうえで、より能力を高めたいという縦にのびる力と同時に、文化や地域や多様なひととのつながりといった横にのびる力が必要だと藤井氏は語る。

 私たちは、どうしたら優生思想を克服することができるのか。人々の無関心と忘却がもっとも手ごわい敵だと語る藤井克徳氏と、社会学者の宮台真司とジャーナリストの迫田朋子が議論した。

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