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コスパ最優先の「次世代の戦争」――実験場になったリビア内戦が示すもの

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・埋蔵量でアフリカ大陸一の産油国であるリビアの内戦は、多くの国が介入する代理戦争の様相を呈している

・介入する外部の国は「自軍兵士の犠牲を減らしつつ戦果をあげる」という意味でコスパをあげるため、遠隔操作できるドローンと、戦死しても「戦死者」にカウントしなくてよい傭兵の利用を増やしている

・しかし、その結果、外部のスポンサーにとって介入のハードルが引き下がっていることで、リビア内戦は激化しつつある

 国際的に注目されることの少ないリビア内戦は、次世代の戦場の実験場になっている。そこでは「自軍兵士の犠牲」というコストの削減が目立つが、それは結果的に戦闘をドロ沼化させてもいる。

「空爆誕生の地」の現在

 現代の戦場で当たり前のように行われる空爆は、イタリア・トルコ戦争の最中の1911年にイタリア軍が北アフリカのリビアで初めて行ない、その後の第一次世界大戦などで急速に普及した。空爆は「自軍兵士の犠牲を減らしながら相手に大きな損害を与える」という意味でコストパフォーマンスが高いといえるが、それから約100年後の今日のリビアでは、それがさらに「進化」している。

 ここでまず、背景としてのリビア内戦を簡単に確認しよう。

 リビアでは2011年の政変「アラブの春」で、この国を40年以上に渡って支配したカダフィ体制が崩壊した後、混乱が続き、2015年に多くの政党を糾合した「国民統一政府」が発足した。ここにはイスラーム団体「ムスリム同胞団」も含まれる。

 国民統一政府は国連からの承認も受けているが、これに反対する世俗的な民兵組織の集合体「リビア国軍」が昨年4月、首都トリポリに進撃を開始。激しい戦闘で、国内避難民は昨年末に34万人を超えた。

【参考記事】同盟国という名の敵-リビア内戦をめぐるフランス・イタリア対立

 リビアは埋蔵量でアフリカ大陸一の産油国であるため、この内戦には多くの国が介入し、代理戦争の様相を呈している。

 国民統一政府には、1947年までリビアを植民地支配したイタリアの他、ムスリム同胞団を支援するトルコやカタールが協力している。これに対して、リビア国軍にはムスリム同胞団を敵視するサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプトの他、アフリカ一帯に勢力拡大を図るロシアやフランスが支援している。

コスパ対策その1 ドローン利用

 このリビア内戦で目立つのがドローン攻撃の応酬だ。国民統一政府はトルコ製「バイラクタルTB2」を、リビア国軍はUAEから提供された中国製「翼竜」を、それぞれ用いている。

 アフガンなどでアメリカ軍がドローンを用いていることはよく知られるが、最近ではイエメンの武装組織フーシ派がサウジアラビアの油田やタンカーを攻撃したことでも注目された。

 とはいえ、リビアほどドローンが飛び交う戦場も少ない。イギリスのシンクタンク、ドローン・ウォーUKの代表、クリス・コール博士はリビア内戦を「ドローン戦争のグラウンド・ゼロ」と呼ぶ。

 有人の戦闘爆撃機より安価で、しかも騒音が小さくて発見されにくいドローンは、「自軍兵士の犠牲を減らしながら戦果をあげる」という意味ではコスパがよいかもしれない。

 しかし、遠隔操作のため標的の確認が不十分になりがちで、民間人の殺傷も多い。それが大量に用いられることは、いつ何時、どこから攻撃されるかわからない緊張感をこれまで以上に高めるものでもある。

 リビアでは2019年8月、南部ムルズークで集会所に集まっていた40人以上の民間人がリビア国軍のドローン空爆で殺害されている。

コスパ対策その2 傭兵の派遣

 「自軍兵士の犠牲を減らしながら戦果をあげる」という意味でのコスパ重視は、ドローン利用だけではなく、正規軍ではない兵力の投入にもみてとれる。

 その象徴は、ロシアの民間軍事企業「ワーグナー・グループ」だ。ワーグナー社員の多くはロシア軍出身者だが、なかにはウクライナ人、アルバニア人、セルビア人などもいるとみられ、これは要するに傭兵だ

 ワーグナー社員の1カ月の給料は8万~25万ルーブルといわれ、これはロシアの平均月収(約4万6000ルーブル=約8万円)の2~6倍にあたる。

 ワーグナーはウクライナやシリアでも活動が報告されているが、リビアに関してはUAEとの契約に基づき、昨年末の段階で約1000人がリビア国軍を支援しているとみられている。国民統一政府のムハンマド・アル・ダラート司令官は米誌フォーリン・ポリシーに対して、彼の部隊の被害の約30%が高度な訓練を受けたワーグナーのスナイパーによるものと述べている。

 民間軍事企業はアメリカやイギリスにもあり、1990年代からアフリカの内戦で頭角を現し、その後はイラク侵攻(2003)後のイラクでも活動した。その特性から民間軍事企業は自国政府との結びつきが強いが、ロシアの場合は特にそれが顕著で、「ワーグナーはロシア国防省の一部に過ぎない」という見方もある。

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