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ご近所の町中華、「たまごカレーごはん」で昇天 - 相場英雄

〔撮影:著者〕

私はしがない作家だ。暗くて重い作品ばかり書いているため、世間では社会派と呼ばれる機会が多い。しかしこのレッテル、はっきり言って迷惑だ。私は自他共に認める大酒飲み。おまけに問題意識が低く、日々雑に生きている。サスティナビリティってなんのこと、なオッサンだ。

腕時計はいつもチープカシオ(まれにフランク三浦=断じてフランク・ミュラーではない)、スーツはここ何年も袖を通していない。最近は襟のついたシャツを着ることさえ億劫だ。別荘やクルーザーとも無縁で、美人秘書などいるわけがない。G舎の某看板雑誌「ゲーテ」のコンセプトとは対極にいる中年男だ。

さえない作家がなぜ連載を始めたのか。普段飲み食いする街場の小さなお店がG舎はじめ、他の出版社、映像関係者に極めて評判が良く、これを取り上げたいと考えたからだ。

昨年末、G舎の担当編集さんの昇進祝いを開催したときのこと。酔っぱらった私が「勝手に裏ゲーテ的なエッセイやりたい」と提案したところ、本欄の担当さんが即断でゴーサインを出した。K社長に怒られるかもしれないと伝えたところ、「社長は懐の深い男」(アイバ担当のN編集長)との回答をいただき、こうして駄文が日の目を見ることができたわけだ。

味は抜群、しかも雰囲気はユルい。要するに、肩肘張らず、ダラダラと飲み食いできる、絶滅危惧種となりつつある街場のお店をぜひ知ってもらいたい。

トップバッターは、先の条件に見事に合致する町中華だ。お店は高田馬場駅からかなり歩いた住宅街にある。私はランチも夜の部も足繁く通う。もちろん味が良いことからなのだが、とにかく店の雰囲気がユルいことがお気に入り。夜訪れると、カウンターではご近所の常連さんがずらり(写真家や編集プロダクションのスタッフさん等々)。

彼らはレバニラや肉野菜炒めでちびちび飲んでいるほか、マスターのお子さん達も宿題をこなす。店主曰く「カウンター席はウチのリビング」……。いいなあ、親戚宅で従兄弟たちとワイガヤ飲んでいる感じ。

イチオシは「たまごカレーごはん」。独断と偏見だが、これが猛烈にウマい。見た目はドライカレーだが、中身はさにあらず。スープカレーとライスが渾然一体となっていて昇天レベルだ。大阪ミナミにある有名洋食店のあの一品より遥か上をいっている(あくまで個人の見解)。

お店の命ともいえる鶏スープが効きまくっているのがキモ。中華と蕎麦屋のカレーにハズレなし。我が担当さんたちは全員この一皿の虜。当然、打ち合わせと称した飲み会の頻度が高くなるのはご愛嬌だ。

予め断っておくが、お店の情報はあえて載せない。本文中にヒントをちりばめたので、自分で検索していただきたい。どうせタダで読んでいるんでしょ。ウマいモノにありつくときは、自助努力を忘れないように。そう、私は業界でも有名な底意地の悪い中年男である。

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