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十代や二十代は段取りができなくて、向こう見ずなものだったのでは?

デートに出かける前に相手の嗜好や都合をあらかじめ知っておく必要性は、社会人ならたいてい知っていると思う。
 
私は既婚者なので知らない相手とデートに行くことはないが、オフ会で見知らぬ人と飯を食ったり、新たに編集者さんと知り合ったりすることはよくあるので、十分にできている自信はないにせよ、相手の苦手や禁忌や地雷を避ける必要性はわかる。まったくもって「相手にアレルギーでもあったらどうすんだ」である。
 
しかし、これは社会経験を積み、社会性を身に付けた人間の発想だと思う。それか、もともと計画的に構える性格の人間の発想か。
 
二十代の頃の私は、こうしたことの重要性がまだ十分にわかっていなかった。事前のすり合わせをキチンとせず、思いつきで動いている部分が多かった。その結果、デートにせよ他の色々にせよ、不器用な失敗に終わることがいろいろあったけれども、そうやって痛い目をみなければ私の社会性は向上しなかった。
 
今にして思えば、二十代のうちからデート慣れしている人々は事前のすり合わせや事前の聞き取りがしっかりしていて、それでいて、自然な感じだったのではないかと思う。相手の都合や好みを事前に知るのは大切だが、ストレートにそれを出せば野暮くなる。かといって知らないままでゴーするのも危なっかしい。二十代あたりでモテる人には、その両立をやってのける器用さがあるのだろう。
 
でもって私の観測範囲には、こうした段取りがあまりできていない男性や女性が確かにいる。十代~二十代の社会経験が少なめの人々で、万事段取りができていなくて、向こう見ずで、不確実なことを、良かれと思ってやってしまう。
 
そういった危なっかしさを目撃してしまった時、年上としては「うわっ!危なっ!」と思ってしまうのだけど、その危なっかしさ、向こう見ずさは過去の自分自身もそうだったことを思えば、生まれながらに身に付けられるものとは思えない。
 
たとえば子ども同士が遊びに出かける約束をする際にも、段取りのきかなさ・向こう見ずさが垣間見えることがよくある。ということはだ、段取りをつけたり事前に相手の嗜好などを把握したりするのは、大抵の場合、訓練のたまものだったり一種のハビトゥスだったりするのではないかと私は思う。
 

段取りのきかなさ、向こう見ずさはどこまで許されるのか

そうしたことを踏まえ、考え込んでしまう。
 
子どもに対して、あるいは若者に対して、どこまで段取りのできなさ、向こう見ずさを許容できるだろう?
 
リスクを避けるにもベネフィットを得るにも、計画性の高さや用心深さ、事前聞き取りの巧みさがあったほうが良いのは間違いない。
 
ただ先にも触れたように、それは先天的に身に付くものではなく、失敗を繰り返して身に付けていくものだから、ある程度の失敗体験を積まなければ身に付けづらいだろう。
 
だとしたら、少なくとも若いうちのどこかまでは、段取りのできなさ、向こう見ずさに「OK」と言えなければならないのではないだろうか。
 
放課後に集まろうとする子ども、デートで向こう見ずなサプライズを計画してしまう若者は、ある程度まで、段取りのできなさや向こう見ずさに開かれていているべきだと思う。それは未来の社会性を育てるプロセスだと思われるからだ。
 
他方で私たちは、子どもや若者をリスク管理の目線や安全性の確保といった目線で眺めないわけにはいかない。十代~二十代のデートも段取りが良く、安全なものでなければならない、と思いたくなってしまう。少なくとも自分の子どもに対し、段取りができなくて危なっかしいデートをしてもらって構わないと思える親は少ないだろう。子ども自身にとっても、デートのお相手の人にも、それは危なっかしいから、段取り良く、相手の嗜好やアレルギーにも配慮したデートであって欲しいと願わずにられない。
 
さきほど私は、こうしたことは訓練のたまもの・ハビトゥスであると述べた。家庭でこういったことが早くから身に付く子どももいれば、家庭ではこういったことがなかなか身に付けられない子どももいるだろう。もちろん個人の適性もあるに違いない。不平等が、こんなところにも顔を覗かせている。
 
こうした諸々を踏まえると、本来私たちは段取りのきかなさ、向こう見ずさに対しておおらかでなければならないし、失敗をとおして学ぶ「あそび」を尊重しなければならないと思う。ところが、他方でリスク管理や安全・安心を求める気持ちがNoと言いたがっていて、一貫した態度がとりづらく、ダブルスタンダードに陥ってしまいそうだ。この相矛盾する課題とうまく折り合って、プロセスとして巧みに体験してもらうのが子育ての精髄(のひとつ)だろうけれど、なかなかに難しい。

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