- 2020年02月13日 17:12
「流氷には絶対に乗るな!」 観光客が気付かない冬の北海道の落とし穴
東京都奥多摩町で13日に最高気温20.3度を観測するなど、関東では暖かな陽気が続く見込みですが、北海道・オホーツク沖では流氷の季節を迎えています。
ドライスーツに身を包んで流氷の上に乗ったりアザラシを記念撮影したりと楽しげなイメージですが、一方で「絶対に流氷に乗るな」というツイートが話題を呼んでいます。どういうことなのか、地元の網走海上保安署に話を聞きました。

流氷は乗るものじゃない? ツイートが話題に
ツイートは次のような内容で、5000件以上リツイートされています。
大学生が流氷に乗って流された。少しの風でもかなり動く。風向きがずっと南だったら沖に流されっぱなしになるところ。あくまで運がよかっただけで、絶対に流氷には乗るな。落ちたらすぐに海面が氷で塞がって助からない。
地元の大学生が流氷に乗って流されたことがきっかけでした。
NHKによると、12日午後2時半ごろ、網走市で大学生が接岸した流氷に乗って写真を撮っていたところ、流氷ごと約15メートル沖に流されました。
約30分間沖合に流されたものの、海から陸に向いた風になったため流氷は波消しブロックに接岸し、自力で戻ることができました。大学生は友人と2人で海に訪れましたが、一人だけが流氷に乗り、けがはなかったといいます。ドライスーツは着用せず、普段着姿だったそうです。

北海道の海は氷点下 転落すれば命の危険も
網走では、海岸に流氷が接岸する「流氷接岸初日」を11日に迎えたばかりでした。観光で訪れ運良く流氷に遭遇できたら、乗ってみたくなる気持ちは分かります。しかし、「軽い気持ちで流氷に乗るのは絶対にやめてほしい」。網走海上保安署の担当者はそう呼びかけます。
真冬の北海道の海と言えば、想像しただけでも凍えてしまいそうですが、この時期には氷点下となることもあります。もし、転落してしまえば、流氷が海面をふさぐことも想定され、命の危険にさらされます。
網走海保によると、陸から見た流氷はすべてつながっているように見えますが、実際は個々の氷が集まっていて、ワカサギ釣りで湖面が凍るのとは状況が異なるというのです。
流氷は簡単に流される 沖に連れていかれたら戻れない
さらに、注意したいのは今回のケースの様に、流氷が簡単に流されるということです。流氷は海面に浮いているだけなので、沖へ向かう風が吹けばあっという間に沖合に連れていかれてしまいます。今回のケースは再び陸向きの風が吹いたことが不幸中の幸いだったと言えそうです。
また、気温が上昇することで、氷が溶けたり割れたりして海中に転落することにも注意が必要です。

海保は、インバウンド(訪日外国人)にも配慮して、日本語版、英語版、中国語版の注意喚起のポスターを準備。観光施設に掲示したり、沿岸部を巡回して注意を呼び掛けたりしています。担当者は「流氷を楽しむなら経験豊富な専門のガイドを利用するなどして、十分に安全に配慮してほしい」と話します。
「流氷には乗らない」が常識 ツアーの活用を
「流氷には乗らないというのは地元の常識」。地元の複数の観光業者はそう口を揃えます。
知床半島などでは、“流氷ウォーク”との名称で、流氷の上を散策するツアーを催していますが、流氷に精通したガイドが案内してくれ、ドライスーツ着用で海に転落した場合に備えています。
斜里町ウトロでツアーを開いている「ゴジラ岩観光」の担当者は「流氷ウォークは冬の北海道アクティビティーの代表格で、素晴らしい絶景を楽しめます。安全や安心を確保したしっかりとしたツアーを利用していただければ」と話しています。
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