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動け国会!選択的夫婦別姓を求め市民が政治家に直接アプローチする「全国陳情アクション」

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「だったら結婚しなくていい!」

こんなヤジを先月22日、ある国会議員が飛ばしました。「結婚すると姓を変えないといけないから結婚できない」という夫婦別姓導入を望む女性の声を野党議員が紹介したときのことでした。この発言はメディアを中心に問題視されたものの、最終的にはヤジを飛ばした本人は特定されず、謝罪や説明もなされないままの状態です。

そんな「変わらない」国会を変えようと、いま、選択的夫婦別姓を望む市民たちが政治家に直接働きかける「選択的夫婦別姓 全国陳情アクション」の動きが全国で盛り上がっています。活動メンバーのみなさんに話を聞きました。

離婚で自分の名前を取り戻した

「離婚したことで『自分の名前を取り戻した』という感覚がありました」

行政書士の高木泰子さん(43)は、2016年7月に夫で美容師の阿波連(あなみ)大竜(46)さんと区役所に婚姻届を提出し法律婚(法律上の婚姻)をしましたが、約3年後の2019年11月に離婚届けを提出。事実婚を選びました。

(高木さん(左)と夫の阿波連さん=高木さん提供)

ふたりが法律婚をした際は、高木さんが阿波連さんの姓に変更しました。「結婚前から自分の名字でキャリアを積んできていることもあり、もともと姓を変えることに抵抗がありました。ただ、夫も、非常に珍しい姓ということもあり『変えたくない』と言っていてその気持ちも理解できました。最終的には『仕事でも旧姓が使えるから問題ないだろう』と私が姓を変えることにしました」(高木さん)。

一方、行政書士やキャリアコンサルタントとして個人でクライアントと仕事をすることが多い高木さんは、その考えが甘かったことをすぐに痛感します。

「行政書士としては旧姓名で働いていますが、キャリアコンサルタントは当時、戸籍名でなければ登録できなかったため、仕事内容によって名刺を2枚使い分けることになりました。また、事務所の賃貸や携帯電話の契約者名は戸籍名、インターネットの回線契約は旧姓名…と手間と混乱は増すばかりでした。新たな契約など手続きの際には、窓口の担当者から『“念のため”、戸籍名で記入してください』と言われることは数え切れないくらいありました」

そんな高木さんの姿を見ていた阿波連さんも「妻にだけ負担がかかるのはおかしい」と感じるようになったといいます。ふたりは話し合いの結果、昨年11月22日の「いい夫婦の日」に離婚届を提出。いまは事実婚の夫婦として生活しています。

高木さんは「法律上結婚していようと離婚していようと私たちの関係は変わらず、これまでと変わらず日々仲良く夫婦として過ごしています。ただ、今後生活を続ける中、将来のことを考えると、決して楽観視はできません。法改正が1日でも早くなされることを強く望みます」と話します。

政治家に夫婦別姓に苦しんでいる当事者の声が届いていない

現行の民法のもとでは、結婚した際、男性または女性のいずれか一方が必ず姓を改めなければいけません(夫婦同姓を定める民法750条)。実際には女性が姓を改めるケースが96%(2017年人口動態調査)になっています。

最高裁判所は2015年にこの規定は「憲法に違反しない」と判決を下していますが、この司法判断に異を唱え、訴訟が相次いでいます。このような現在の制度に当事者の立場から異を唱えるのが「陳情アクション」です。この活動は立法、つまり政治の場から現状を変えようと始まりました。

陳情アクションのメンバーは全国20〜70代の男女約160人。会社員や自営業、主婦など、これまでに政治家として活動したことのある人はおらず、実際に改姓したことで苦しんだという高木さんのような当事者や、お互いに名前を変えたくないという思いから法律婚をせず事実婚を選んでいる夫婦、「自分の娘には将来結婚しても自由に姓を名乗らせてあげたい」という子育て中の父親など様々です。

発起人の井田奈穂さん(44)も改姓を望んでいませんでしたが、2017年に再婚した際、法律婚を選びました。

井田さんは「夫が腫瘍の摘出手術のため入院をしたことがきっかけで、法律婚に踏み切りました。彼が手術を受ける際も、私がそばにいるにも関わらず、手術の合意書にサインができず『ご家族を呼んでください』と言われてしまい…。やはり病気や死別など有事の際には、法律婚の有無は大きな差となって表れます」と話します。

活動のきっかけは、結婚を機に夫婦別姓に関心を持つようになった井田さんが、様々な勉強会などに参加する中で、地元の東京・中野区議会の議員を紹介されたことでした。

「今まで政治家という肩書の人たちと関わったことはなく、初めは会うだけでも緊張しました。ただ、実際に話してみると議員の方たちには当事者の苦しみの声が届いていないだけで、聞けば理解してくれるということがわかりました」

発起人の井田さん(井田さん提供)

また同時に、市民が制度に不満を持っていても政治にその声を届けようとアプローチしていないということに気がついたといいます。井田さんは話します。

「特に若い人たちにとって、地元議員に会って声を伝えようとする人はほとんどいないのではないでしょうか。『政治離れ』とは言われていますが、政治と市民の間に大きなギャップがあるということを身をもって実感し、逆にこの差を埋めればこの現状を変えていけるのではないかと思ったんです」

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