2019年10月31日の大規模火災により主要な建物が全焼した沖縄の首里城。あの火災から3ヶ月、一部ルートでは見学も再開され、復興工事も急ピッチで進んでいます。沖縄のシンボルが今どうなっているのか、自分の目で確かめてきました。
首里城復興コースは無料で見学可能
見学が可能になったのは、首里城の建物部分の入り口にある「広福門」より南側のエリア。正殿や御庭といった、入場料が必要だった有料区域にあった建物が焼け落ちてしまったため、今の首里城は完全無料の観光スポットとなっています。
首里城復興モデルコースは30分、60分、120分、150分の4種類。今回は60分のコースを歩いてきました。
2000円札のモチーフ「守礼門」は健在
2000円札のモチーフになっている守礼門は全くの無事。多くの方は「首里城」と聞くとこのビジュアルが思い浮かぶのではないでしょうか。

BLOGOS編集部
この日も修学旅行生が記念撮影をしていました。火災の爪痕を見学するのも立派な社会勉強です。
守礼門を抜けると左側にある、世界遺産の園比嘉武御嶽石門も無事でした。
本殿に至るまでの各門も無事
首里城の城郭内に入るための第一の正門、歓会門。その名の通り、客人を歓迎するという意味の門です。
続いて瑞泉門。沖縄の泡盛「瑞泉」はここから名付けられたのだとか。
気が付かずに進んでいってしまう観光客の方も多いのですが、門の手前右側には「⿓樋(りゅうひ)」と呼ばれる湧き水があり、これが瑞泉門の名前の由来となっています。
続いて第3の門、漏刻門。何かが漏れてしまっているわけではなく、昔ここには水時計があり、時刻を知らせる役人がいたのだとか。この門を抜けると、景色が一変します。
漏刻門を抜け広福門の手前に出ると、立ち入り規制の看板が。ここから先は火災で大きな被害を受けたエリアとなります。
火災から3ヶ月が経過した1月下旬に取材しましたが、あたりには焦げた臭いが立ち込めており、まだこんなに臭いが残っているのかと驚きました。
崩れ落ちた瓦に焼け焦げた屋根。痛々しい傷跡です。
広福門は火災の被害を免れたようでした。更に奥へと進みます。
奉神門前広場に出ました。奉神門は首里城正殿のある御庭(うなー)へ入るための最後の門です。
左側の屋根が大きく焼け落ち、現在入れるのはこの門の手前までとなっていますが、門右側にある京の内物見台というエリアがこの程見学可能になりましたので、そちらへ向かいます。
ここからは正殿前の御庭が見渡せ、復旧作業の様子が伺えます。
「うわ…」想像以上の被害に、思わず声が漏れてしまいました。周りの観光客の方々も、その被害に驚いている様子です。
沖縄県は5月のGWまでに、正殿の地下にある世界遺産の「遺構」の公開を目指すとのこと。あと2ヶ月半でここを全部片付けるのは大変な作業だと感じました。
火災の激しさを物語る樹木の焦げ跡
京の内物見台の手前に、葉が変色した樹木があります。
葉先は焼け焦げ、まるで線香のようです。
ところどころ、葉の途中まで燃えています。このあたりは正殿が燃えたときの風下に当たるため、熱風がすごかったのだとか。
木の根元には火の粉とともに飛んできた木片が。炭になっています。
直撃した部分は葉が焼け落ちていました。こんなのが飛んできたら燃え広がりますよね…。
京の内物見台からは那覇が一望できますが、もう少し先の「西(いり)のアザナ」のほうが景色が良いので、混んでいたらスルーで構わないと思います。
こちらが西(いり)のアザナ。沖縄では東西南北を東(あがり)西(いり)南(ふぇー)北(にし)と方言で呼ぶので、いりのアザナです。
夕方に来れば水平線に沈んでいく夕日と那覇空港から飛び立つ航空機の絶景が楽しめます。
西のアザナを降り、木曳門を抜けたらゴール。芝生広場の売店に着きました。
ここの売店にはアイス屋さんが2店入っており、名物の「首里城ソフト」と「ゆみこソフト」がしのぎを削っています。
お値段は一緒ですが、ゆみこソフト(右)のほうが一回り大きいので覚えておきましょう。
60分で設定されている復興モデルコースですが、実際のところ30分もあれば回れてしまいます。お年寄りがかなりゆっくり回っても60分はかからないのではないでしょうか。
ただし、階段が多くアップダウンは激しいので、首里杜館(すいむいかん)の2Fにあるレストランやカフェで一休みしていくと良いでしょう。