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危機が常態化したに過ぎない米・イラン対立の深刻さ

このところ、中東情勢についての寄稿依頼が重なった。

いまもそのひとつの原稿を見直しているところだ。

もちろん、新年早々に起きたスレイマニ司令官殺害による一触即発の危機はどうなるか、それを占うのが依頼者の注文である。

そして私の答えは、予断を許さないというものだ。

メディアはつねに一過性だ。

見えなくなれば取り上げない。

しかし、一触即発の危機は終わったわけではない。

常態化しただけなのだ。

見えなくなっただけ、より危険で深刻だ、と言うものである。

米国とイランの対立が深刻さを増す最大の理由は、トランプが経済制裁をさらに強化してイランに完全非核化を迫っているからだ。

その背後にはもちろんイスラエルの安全保障の確保がある。

しかしイランは核放棄には絶対に応じない。

イランにとって、北朝鮮以上に、核は米国・イスラエルの弾圧から自らを守る武器になるからだ。

そして何よりもイランはいまやイスラエルのパレスチナ弾圧を正面から批判する国だ。

歴代のどの大統領よりもイスラエル寄りのトランプはいま大統領選の勝利しか頭にない。

そしてトランプの最大の支持基盤であるキリスト教福音派はユダヤ系米国人よりも親イスラエルだ。

イランに強硬にでるしかない。

スレイマニ司令官の殺害はハメネイ師のイラン体制壊滅の予告に過ぎない。

それを一番知っているのはハメネイ師だ。

そしてまともに戦っては勝てない事も知ってる。

だからこそ反米テロ組織を支援し、「シーア派の三日月」を作って来た。

その命を受けて活躍し、テロ組織から慕われて来たのがスレイマニ司令官だった。

スレイマニ司令官の暗殺は米国にとっては時間の問題だったのだ。

しかもテロ組織は皆パレスチナに味方している。

そもそも、1979年にイスラク革命を掲げたホメイニ師は、「イスラエルの占領下で苦しむパレスチナ人を解放する」として、登場し、革命後にただちにイスラエルと断交した。

あのオサマ・ビン・ラデンもパレスチナ解放を訴えた。

そして、いまではISがパレスチナ解放を口にするようになった。

たとえトランプがハメネイ師を倒しても、反米はもはやハメネイ師を離れて反米武装抵抗組織にひろがりつつある。

トランプが中東和平提案と称するパレスチナ占領を強行する限り、中東に平和は来ない。

私が、危機が常態化したという理由がそこにある。

なぜ私がきょうのメルマガでこのような事を長々と書いたのか。

それは、きょう2月12日の朝日新聞が、「聖戦の英雄かテロリストか」という見出しを一面トップに掲げ、一大イラン特集を掲載したからだ。

そこに、私がこのメルマガで書いて来たすべてが書かれている。

中東情勢に縁のない日本国民必読の特集記事である(了)

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