定例会見でどれだけ問われても答えられるはずが無かった。初めからコンセプトに盛り込まれていないのだから─。来月26日に迫った聖火リレーのスタート。福島県の内堀雅雄知事は、日頃から「福島の『光』と『影』の両方を正確に発信したい」と口にするが、そもそも初めから「影の発信」など話し合われて来なかった事が分かった。
〝復興五輪〟や聖火リレーで〝復興〟を加速しようと準備を進める一方、住宅提供の打ち切りなど原発事故被害者の切り捨てを進める内堀知事。しかし、それらは国内外に発信されない。知事の言行不一致ぶりを改めて指摘したい。
【「『光と影』を発信」?】
2018年8月24日午前に開かれた第1回「東京2020オリンピック聖火リレーふくしま実行委員会」。会議の冒頭、福島県の内堀雅雄知事は「聖火リレーの準備、実施に向けた検討を進めるにあたっての重要なポイント」として、「参加」と「発信」を挙げていた。
「オリンピックを迎える2020年は、震災からちょうど10年目の節目の年となります。まず、これまでの御支援に対する感謝の思いを発信したいと思います。あわせて、福島県の復興が着実に前進している姿、依然として様々な課題が山積している姿、こうした福島県の現状を正確に発信していく機会にしていきたいと考えております」
だが、昨年12月23日午前の定例会見。聖火リレーのルートについて、朝日新聞の記者から「知事は日頃、『福島の光も影も見てもらう』というような発言をしていますが、知事の言う『影』とは今回、どこにあるのでしょうか」と問われた内堀知事は、質問に正面から答えず、自ら「光と影」という表現を使いながらも次のようにはぐらかした。
「今回の聖火リレールートの受け止め、様々な御意見もあろうかと思いますが、市町村の思いも大切にしながら、決定させていただいております。私自身は知事として、就任して以降、これまで常に福島県が抱えている『光と影』の両方を正確に発信することに意を砕いてきました。今回の聖火リレーのグランドスタート、あるいは、今後、野球・ソフトボールの一部競技開催もございますが、そういった様々な機会にも、知事として、その両面を発信していきたいと考えております」
「福島県は今なお、明るい前に向いている部分と、まだまだ厳しい課題を抱えている部分もありますので、その両方を常に発信していく。この務めを果たしていきたいと考えております」
