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- 2012年07月21日 14:34
【熟議とポピュリズム】真柄昭宏さん(『ツイッターを持った橋下徹は小泉純一郎を超える』著者)インタビュー書き起こし(前編)
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松島: こんにちは。東京プレスクラブの松島です。本日は『ツイッターを持った橋下徹は小泉純一郎を超える』という本を書かれた真柄昭宏さんにお越しいただいきました。真柄さんは、2001年から竹中平蔵経済財政政策担当大臣、その後2005年から自民党政務調査会長〜現在衆議院議員の中川秀直さんの政策担当秘書で。「ツイッターを持った橋下徹は小泉純一郎を超える」というふうに断言されてますけれども、まず、ツイッターが、世の中に威力を発揮したのは、当然3.11は避けて通れないですけれども、あの時に、今までのメディア、テレビ、ラジオのかいつまんだ情報しか流れなかったのが、メルトダウンの話から何から、先に先に、「アメリカがこういう行動を取ったから、多分こうなっているんだろう、韓国はこうしているから、多分これはこうなんだろう」と情報が流れていきました。まず簡単な最近のツイッター及びSNS事情を簡単に・・・。
真柄: ご説明いただいた経歴のように、政権の中に2001年から2006年までいまして、ちょうどツイッターがアメリカで生まれたのが、2006年の7月なんです。小泉政権が終わったのが2006年の9月ですから、小泉政権時代はツイッターは存在しなかった。あの時代と今を比較しますと、あの当時メールとかメルマガはあったんですけども、マスメディアで作られたイメージが、一般の方が持っている(政治家の)イメージで、一旦それが形成されると竹中さんにしろ、何にしろ作られたイメージを覆すことができなかったんですね。
マスメディアが作った(政治家)イメージの通り国民は理解していた。それがツイッターが出てきたことによって、マスメディアとは違う情報源が出てきて、しかもその発信源=あらゆる人が発信できるようになってきて、共有するようになってきている。これが凄い威力を発揮し始めて、まさに3.11の震災あたりから、それが一般に使われるようになって。一般の方も「これは非常に有効なリアルタイムで全て理解できる(メディア)だ」という時代になって、今度は政治において、特に橋下さんは大変効果的に使って、マスメディアが作ろうとしている自分のイメージをひっくり返すのに、ものすごく有効に使っていると。これはもう当時の小泉時代に全くなかった武器なんですね。私の場合特に注目した点です。
松島: 私最近、よく大阪に行くんですけど東京にはないムード、大阪の飲み屋とか「え、大阪って、いろんなところで政治の話して良いの?」というムードが出始めているんですけれども。その中で非常に面白いのが、まず橋下さんの批判からスタートして「でもこれはこうだよね、どうだよね」と一般の人たちは(橋下さんを)批判することによって実は、政治に参加し始めている。更にはテクノクラート=官僚以外の方たちの参加による政治のあり方が標榜され、それが大阪で現実化している。それとツイッター、SNSとの関係が、非常に顕著に現われてきていると思うんですが、そこはどう思っていますか?
真柄: 橋下さんがツイッターで仰っているのは、一般庶民、普通の方は、大いに政治を批判して下さい、どんどんやって下さい。むしろ酒の席とかで自分が批判されることは、大歓迎されていると思うんです。批判されるとわかっている言葉遣いも、あえてその意味でされているのかもしれないですね。但しマスメディア、評論家は責任があるのだから、公の人として(逆に)批判されるのは覚悟して下さいね、というところは面白いところなんだと思うんです。
一般の方の(政治)参加ができるようになっている。その一般の方が(情報を)知るのはマスメディアだけじゃなくて、ツイッターでみんながシェアしていって。情報がどんどん拡散していっている中で、情報も共有するし、自分も発信して、自分が発信したものがまた共有されていくと。それが酒場の中でも平気で行われるようになっている。昔の大阪は、「ちょっとこう、これは議論しない方がいいね」みたいな雰囲気があったと思うんですけれども、それがなくなっているというのは凄いことであると思いますね。
松島: 竹中さんの頃の財政改革時と違い今はテクノクラート、大阪の方にも参画されている上山さん、原さん、古賀さん達の参加自体がツイッターで見えはじめて(橋下市政で)何が行われているのか、ツイッターを受け取る(一般の)方たちのフォロワーシップが変わってきたんでしょうか?
真柄: 橋下さんは、霞ヶ関での行政実務の経験者を登用、自分の顧問にされて大阪市の役所の方々との接点に使って、自分の分身として使われているところが、非常に特徴的なやり方で、アメリカでいえば大統領制的なやり方をやっておられるんだと思うんです。その方々がそれぞれに発信力を持っておられるところも、また凄いところで。(市役所の)中で何が行われているか、皆リアルタイムで伝わってくると。これは、とても新しいやり方だと思いますね。
松島: テレビ・ラジオで限られた時間の中で表現された部分、まあ間違えてちょっと言葉狩りっぽいムードになっても、その数時間後にはもうフォローが入り始めて、情報が熟れてしまうという事態が起こってますね、今。
真柄: 先日、非常に話題になりました、ある記者のインタビューのことですね。
松島: あれ、面白かったですね。
真柄: (インタビューの)ある部分だけが放送されたんだけれども、「実は全体で見るとこんなだったよ!」というのが「You Tube」にアップされて、みんなが「ああ、こういうことか」というのは非常にショッキングというか、一時代を物語るような場面だと思いますね。小泉さんの時代にあれを流されたら、もうそれで多分終わってたんだと思いますね。ごく一部だけで印象が決まっていくというのは、結局ごく短い時間でしか、人々は自分に関係のない社会のことについては、「ほんの30秒くらいで簡単に判断したい」というのが人情ですから。そういう中で、マスメディアが影響力を持っていたんだと思うんですけども・・・。このツイッターの世界というのは、全部もの凄い分量の情報が全部公開されて、それで「皆さん判断して下さい」という風に、マスメディアの編集のない生のものを見て自分で判断する時代が来ている点が大きな変化なんだと思いますね。
松島: 更にツイッターで、橋下さん自身、強烈にメッセージ発信してますけれども、それによって「維新」と呼ばれる集団に対しての支持が生まれ、それによって規模を拡大しなきゃいけない。そのリーダーとして「維新の会」をまとめなきゃいけないという時に、支持者を先に作ってしまうような構築性を(橋下さんの)ツイッターには感じるんですが?
真柄: 元々、政治は、ある階級とか、ある宗教を信じている方とか、そういう母体の上に成り立っていたんですけれども。結局そういう集団が、今もう全て拘束力が弱くなってきている時代が来ているんだと思うんです。元々、工業化が始まる前は、農村の中で、村社会の中にみんな入っていて、大体その中のボス、トップの方が言うことをみんな信じていたと。それが崩れて、都会ができて、そうしたら会社の言うことを信じるとか、労働組合の言うこと、自分の信じる宗教、ヨーロッパなんか特にキリスト教の団体の信じることでやっている。それが全部今、世界的にそういった集団が瓦解し始めていて、新たにどこにみんながコミュニティー意識を持っているかというとネットの世界の中で同じ指向の人が集まり始めている。
これはアメリカで言えば、ティーパーティーが多分、そんな感じで集まり始めてますし、オバマさんが2008年の選挙の時は、ネットで呼びかけて「あなたはどこに住んでいるんですか?」と、郵便番号を書かせて「じゃあ、この地域をお願いします」みたいな形で、ネットからリアルな世界にコミュニティーを作っていくというのをやって。その意味では、日本でもそういった運動が始まっているのか? これは、既成政党ができていないところでもあるんですけども。ただ、既成政党も一番初めは「機関紙」という新聞を作って、みんなに情報を与えていたわけです。それからテレビになって、今度ツイッターになって。ツイッターは、(日本の政治では)なかなか今まで使われていなかったのが、非常に有効的に橋下市長が使い始めたという点で、新しい時代に入ったんじゃないかと思います。
松島: (本書)中で、読んでておもしろかったのが、小沢さんの、ビールケースの上で、ほんの数人のために演説をする。あれと(橋下さんの)ツイッターとの関係というか・・・。
真柄: 小沢さんのあの選挙(手法)、一番効果的だったのが2007年の参議院選挙ですね。自民党が参議院で過半数割れした時なんですけども、小沢さんの戦略というのは、元を正すと田中角栄さんの戦略で、中心部じゃなくて、わざと周辺部の人のいないところから固めていって、中心部に攻め上がっていくっていう作戦。もう田中角栄さんの伝統的な作戦なんですけれども、それと同じことを小沢さんがやられて、周辺部のところで五十人ぐらいの規模の人を集めてやる。バックには田園風景が広がっていますと。
そういうところで、自分のしゃべる相手は五十人しかいないですけれども、その背景にいろんな人に口伝えでいくっていうのがありますし、あとはメディアを連れてきてますから。メディアの人がそれを見て「この小沢さんというのは、周辺部の人を大事にする政治家なんだな」っていう、画での印象付けですよね。で、「国民生活が第一」というキャッチフレーズと映像が完全に一体化したんですね。これの対極にあるのが小泉さんとか安倍さんで、大勢の集まっている駅頭、夫々の地域の中心部で宣伝カーの上に乗っかって演説をする。これに対して小沢さんは「ほんの数十人の人でも(その)声を大事にしていくんですよ」というそのイメージ作りを映像で流してたんだと思いますね。ですからあれはテレビ時代の小泉さんに対するー小泉さんや安倍さんに対するアンチテーゼとしては、もの凄く有効な(手法で)それとキャッチフレーズとしての「国民生活が第一」というのと完全にマッチしていたんだと思いますね。
松島: その手法から、今度新たにまたSNS?
真柄: そうですね。そこ(小沢手法)から次の時代に入ってきているんだと思います。つまり映像で見せてもらったけれども、政権とったらどうだったの?と疑問符が付いているところですね。それで今、民主党が苦労されているところだと思うんですけども・・・。結局、「国民生活が第一」というのを本当に貫いていたんですか?どうなんですか?というところが、今、民主党に総括が求められているところなんだと思うんですけども。
私から見てますと、権力に入ってしまうと、〜あの「国民生活が第一」というのは、権力を取るために最も適切なメッセージだったと思うんですね・・・〜権力を取ってしまうと今度は一日でも長く権力を維持するためにどうしたらいいかとなると、「国民生活が第一」じゃなくて、「権力の維持が第一」になっちゃうと。ここで目標が変わっちゃったんじゃないかと思うんですね。そうなってくると、周辺部の人たちの所に行って辻説法して、いろんな意見を聞くと言うことが、権力の維持とは非常にマッチしなくなってきたところが出てくるんじゃないか。権力をどうやって運営していくんですかってところで、官僚機構とも妥協しながら現実主義の中でやっていかなきゃいけない中で、あの選挙の時のイメージとずれてきちゃっている。
ここが非常に大きな点なんだと思いますね。日本の改革派には私、二通りパターンがあると思うんですけども、一つが権力を取るまでは反体制なんだけれども、取ってしまったら権力と手を結んで協力してやっていって、実際に何か改革しようとかってことはあまりしない勢力。もう一つが、権力に入って、本当に改革するために入っていく。そのためにブレーンを連れて行きますよと。この二つがあるんだと。残念ながら民主党は、前者の権力を取ることが目的になっていて、取ったらその中でやると。(官僚や既得権と)協調してやっていく、というパターンになってしまったのかなと。橋下さんは、今のパターンでいうと、権力に入って、改革派のブレーンを付けて、実務がわかる人が入っていって、実際の実務を変えていく方法ですねと。ここに小泉さんとの共通性が、あるんじゃないかと。
松島: こんにちは。東京プレスクラブの松島です。本日は『ツイッターを持った橋下徹は小泉純一郎を超える』という本を書かれた真柄昭宏さんにお越しいただいきました。真柄さんは、2001年から竹中平蔵経済財政政策担当大臣、その後2005年から自民党政務調査会長〜現在衆議院議員の中川秀直さんの政策担当秘書で。「ツイッターを持った橋下徹は小泉純一郎を超える」というふうに断言されてますけれども、まず、ツイッターが、世の中に威力を発揮したのは、当然3.11は避けて通れないですけれども、あの時に、今までのメディア、テレビ、ラジオのかいつまんだ情報しか流れなかったのが、メルトダウンの話から何から、先に先に、「アメリカがこういう行動を取ったから、多分こうなっているんだろう、韓国はこうしているから、多分これはこうなんだろう」と情報が流れていきました。まず簡単な最近のツイッター及びSNS事情を簡単に・・・。
真柄: ご説明いただいた経歴のように、政権の中に2001年から2006年までいまして、ちょうどツイッターがアメリカで生まれたのが、2006年の7月なんです。小泉政権が終わったのが2006年の9月ですから、小泉政権時代はツイッターは存在しなかった。あの時代と今を比較しますと、あの当時メールとかメルマガはあったんですけども、マスメディアで作られたイメージが、一般の方が持っている(政治家の)イメージで、一旦それが形成されると竹中さんにしろ、何にしろ作られたイメージを覆すことができなかったんですね。
マスメディアが作った(政治家)イメージの通り国民は理解していた。それがツイッターが出てきたことによって、マスメディアとは違う情報源が出てきて、しかもその発信源=あらゆる人が発信できるようになってきて、共有するようになってきている。これが凄い威力を発揮し始めて、まさに3.11の震災あたりから、それが一般に使われるようになって。一般の方も「これは非常に有効なリアルタイムで全て理解できる(メディア)だ」という時代になって、今度は政治において、特に橋下さんは大変効果的に使って、マスメディアが作ろうとしている自分のイメージをひっくり返すのに、ものすごく有効に使っていると。これはもう当時の小泉時代に全くなかった武器なんですね。私の場合特に注目した点です。
松島: 私最近、よく大阪に行くんですけど東京にはないムード、大阪の飲み屋とか「え、大阪って、いろんなところで政治の話して良いの?」というムードが出始めているんですけれども。その中で非常に面白いのが、まず橋下さんの批判からスタートして「でもこれはこうだよね、どうだよね」と一般の人たちは(橋下さんを)批判することによって実は、政治に参加し始めている。更にはテクノクラート=官僚以外の方たちの参加による政治のあり方が標榜され、それが大阪で現実化している。それとツイッター、SNSとの関係が、非常に顕著に現われてきていると思うんですが、そこはどう思っていますか?
真柄: 橋下さんがツイッターで仰っているのは、一般庶民、普通の方は、大いに政治を批判して下さい、どんどんやって下さい。むしろ酒の席とかで自分が批判されることは、大歓迎されていると思うんです。批判されるとわかっている言葉遣いも、あえてその意味でされているのかもしれないですね。但しマスメディア、評論家は責任があるのだから、公の人として(逆に)批判されるのは覚悟して下さいね、というところは面白いところなんだと思うんです。
一般の方の(政治)参加ができるようになっている。その一般の方が(情報を)知るのはマスメディアだけじゃなくて、ツイッターでみんながシェアしていって。情報がどんどん拡散していっている中で、情報も共有するし、自分も発信して、自分が発信したものがまた共有されていくと。それが酒場の中でも平気で行われるようになっている。昔の大阪は、「ちょっとこう、これは議論しない方がいいね」みたいな雰囲気があったと思うんですけれども、それがなくなっているというのは凄いことであると思いますね。
松島: 竹中さんの頃の財政改革時と違い今はテクノクラート、大阪の方にも参画されている上山さん、原さん、古賀さん達の参加自体がツイッターで見えはじめて(橋下市政で)何が行われているのか、ツイッターを受け取る(一般の)方たちのフォロワーシップが変わってきたんでしょうか?
真柄: 橋下さんは、霞ヶ関での行政実務の経験者を登用、自分の顧問にされて大阪市の役所の方々との接点に使って、自分の分身として使われているところが、非常に特徴的なやり方で、アメリカでいえば大統領制的なやり方をやっておられるんだと思うんです。その方々がそれぞれに発信力を持っておられるところも、また凄いところで。(市役所の)中で何が行われているか、皆リアルタイムで伝わってくると。これは、とても新しいやり方だと思いますね。
松島: テレビ・ラジオで限られた時間の中で表現された部分、まあ間違えてちょっと言葉狩りっぽいムードになっても、その数時間後にはもうフォローが入り始めて、情報が熟れてしまうという事態が起こってますね、今。
真柄: 先日、非常に話題になりました、ある記者のインタビューのことですね。
松島: あれ、面白かったですね。
真柄: (インタビューの)ある部分だけが放送されたんだけれども、「実は全体で見るとこんなだったよ!」というのが「You Tube」にアップされて、みんなが「ああ、こういうことか」というのは非常にショッキングというか、一時代を物語るような場面だと思いますね。小泉さんの時代にあれを流されたら、もうそれで多分終わってたんだと思いますね。ごく一部だけで印象が決まっていくというのは、結局ごく短い時間でしか、人々は自分に関係のない社会のことについては、「ほんの30秒くらいで簡単に判断したい」というのが人情ですから。そういう中で、マスメディアが影響力を持っていたんだと思うんですけども・・・。このツイッターの世界というのは、全部もの凄い分量の情報が全部公開されて、それで「皆さん判断して下さい」という風に、マスメディアの編集のない生のものを見て自分で判断する時代が来ている点が大きな変化なんだと思いますね。
松島: 更にツイッターで、橋下さん自身、強烈にメッセージ発信してますけれども、それによって「維新」と呼ばれる集団に対しての支持が生まれ、それによって規模を拡大しなきゃいけない。そのリーダーとして「維新の会」をまとめなきゃいけないという時に、支持者を先に作ってしまうような構築性を(橋下さんの)ツイッターには感じるんですが?
真柄: 元々、政治は、ある階級とか、ある宗教を信じている方とか、そういう母体の上に成り立っていたんですけれども。結局そういう集団が、今もう全て拘束力が弱くなってきている時代が来ているんだと思うんです。元々、工業化が始まる前は、農村の中で、村社会の中にみんな入っていて、大体その中のボス、トップの方が言うことをみんな信じていたと。それが崩れて、都会ができて、そうしたら会社の言うことを信じるとか、労働組合の言うこと、自分の信じる宗教、ヨーロッパなんか特にキリスト教の団体の信じることでやっている。それが全部今、世界的にそういった集団が瓦解し始めていて、新たにどこにみんながコミュニティー意識を持っているかというとネットの世界の中で同じ指向の人が集まり始めている。
これはアメリカで言えば、ティーパーティーが多分、そんな感じで集まり始めてますし、オバマさんが2008年の選挙の時は、ネットで呼びかけて「あなたはどこに住んでいるんですか?」と、郵便番号を書かせて「じゃあ、この地域をお願いします」みたいな形で、ネットからリアルな世界にコミュニティーを作っていくというのをやって。その意味では、日本でもそういった運動が始まっているのか? これは、既成政党ができていないところでもあるんですけども。ただ、既成政党も一番初めは「機関紙」という新聞を作って、みんなに情報を与えていたわけです。それからテレビになって、今度ツイッターになって。ツイッターは、(日本の政治では)なかなか今まで使われていなかったのが、非常に有効的に橋下市長が使い始めたという点で、新しい時代に入ったんじゃないかと思います。
松島: (本書)中で、読んでておもしろかったのが、小沢さんの、ビールケースの上で、ほんの数人のために演説をする。あれと(橋下さんの)ツイッターとの関係というか・・・。
真柄: 小沢さんのあの選挙(手法)、一番効果的だったのが2007年の参議院選挙ですね。自民党が参議院で過半数割れした時なんですけども、小沢さんの戦略というのは、元を正すと田中角栄さんの戦略で、中心部じゃなくて、わざと周辺部の人のいないところから固めていって、中心部に攻め上がっていくっていう作戦。もう田中角栄さんの伝統的な作戦なんですけれども、それと同じことを小沢さんがやられて、周辺部のところで五十人ぐらいの規模の人を集めてやる。バックには田園風景が広がっていますと。
そういうところで、自分のしゃべる相手は五十人しかいないですけれども、その背景にいろんな人に口伝えでいくっていうのがありますし、あとはメディアを連れてきてますから。メディアの人がそれを見て「この小沢さんというのは、周辺部の人を大事にする政治家なんだな」っていう、画での印象付けですよね。で、「国民生活が第一」というキャッチフレーズと映像が完全に一体化したんですね。これの対極にあるのが小泉さんとか安倍さんで、大勢の集まっている駅頭、夫々の地域の中心部で宣伝カーの上に乗っかって演説をする。これに対して小沢さんは「ほんの数十人の人でも(その)声を大事にしていくんですよ」というそのイメージ作りを映像で流してたんだと思いますね。ですからあれはテレビ時代の小泉さんに対するー小泉さんや安倍さんに対するアンチテーゼとしては、もの凄く有効な(手法で)それとキャッチフレーズとしての「国民生活が第一」というのと完全にマッチしていたんだと思いますね。
松島: その手法から、今度新たにまたSNS?
真柄: そうですね。そこ(小沢手法)から次の時代に入ってきているんだと思います。つまり映像で見せてもらったけれども、政権とったらどうだったの?と疑問符が付いているところですね。それで今、民主党が苦労されているところだと思うんですけども・・・。結局、「国民生活が第一」というのを本当に貫いていたんですか?どうなんですか?というところが、今、民主党に総括が求められているところなんだと思うんですけども。
私から見てますと、権力に入ってしまうと、〜あの「国民生活が第一」というのは、権力を取るために最も適切なメッセージだったと思うんですね・・・〜権力を取ってしまうと今度は一日でも長く権力を維持するためにどうしたらいいかとなると、「国民生活が第一」じゃなくて、「権力の維持が第一」になっちゃうと。ここで目標が変わっちゃったんじゃないかと思うんですね。そうなってくると、周辺部の人たちの所に行って辻説法して、いろんな意見を聞くと言うことが、権力の維持とは非常にマッチしなくなってきたところが出てくるんじゃないか。権力をどうやって運営していくんですかってところで、官僚機構とも妥協しながら現実主義の中でやっていかなきゃいけない中で、あの選挙の時のイメージとずれてきちゃっている。
ここが非常に大きな点なんだと思いますね。日本の改革派には私、二通りパターンがあると思うんですけども、一つが権力を取るまでは反体制なんだけれども、取ってしまったら権力と手を結んで協力してやっていって、実際に何か改革しようとかってことはあまりしない勢力。もう一つが、権力に入って、本当に改革するために入っていく。そのためにブレーンを連れて行きますよと。この二つがあるんだと。残念ながら民主党は、前者の権力を取ることが目的になっていて、取ったらその中でやると。(官僚や既得権と)協調してやっていく、というパターンになってしまったのかなと。橋下さんは、今のパターンでいうと、権力に入って、改革派のブレーンを付けて、実務がわかる人が入っていって、実際の実務を変えていく方法ですねと。ここに小泉さんとの共通性が、あるんじゃないかと。



