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感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(6):ウイルスの毒性と日本初の感染者

 この5月1日の午前、官邸で新型インフルエンザ対策本部の第二回会合を開き、日本で感染者が出た場合には「行動計画」に基づいて対処することにしたが、私は、企業の業務縮小などについては、弾力的に運用する方針にした。

 それは、ウイルスが弱毒性という見方が広まってきたからである。鳥インフルエンザのような強毒性を前提にした「行動計画」は、弱毒性の豚インフルエンザの場合は変更するか、運用を弾力化させるかしかない。実際に、後でこのことが大きな問題となっていく。

 5月4日現在で、世界の新型インフルエンザの感染者1243人で、21ヵ国・地域に広がり、死者はメキシコで26人、アメリカで1人となった。この頃は、新型インフルエンザの上陸に備えて、日本国中が戦々恐々といった状態で、まさに臨戦態勢に入ったようであった。

 まさに未知との遭遇で、だれも知らない見えない敵との戦いであり、その準備に多少の混乱が生じるのは当然である。

 この敵であるウイルスの特性が、メキシコで治療に当たった医師たちから少しずつ明らかにされ、「7日以内に治療すれば大半が回復すること」、「受診が遅れて重症化すると、多くが死亡すること」などが報じられるようになっていった(朝日新聞、2009年5月5日)。5月8日には、シカゴ在住の日本人男児(6歳)が新型インフルエンザに感染したことが、外務省を通じて明らかになった。

 5月の連休に入り、成田空港などでの機内検疫も人員不足で限界に近くなってきた。ウイルスが弱毒性であることが確認されつつあり、水際作戦から、国内流行時の医療体制の整備へと重点を移行させねばならない時期が来ているようであった。

 そのような方向で、対策方針の変更を検討し始めた矢先、9日に、ついに国内で感染者が初めて確認された。この日は土曜日であったが、役所に出勤して朝8時30分から緊急記者会見し、「アメリカ発の航空機で8日夕に成田空港に到着した大阪府の男子高校生2人と30代の男性教員の計3人が、国立感染症研究所の検査で、新型インフルエンザに感染していることが分かった」と発表した。

 近隣座席の乗客ら49人が、「濃厚接触者」として空港近くの宿泊施設に10日間留め置かれることになった。また、同乗者の追跡調査を開始した。

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