- 2020年02月11日 13:28
新型肺炎について~正しい情報で正しい行動を~(川崎市健康安全研究所)
1/2川崎市が専門家の解説動画と全文を投稿しています。是非、ご覧ください。
【新型コロナウイルス】新型肺炎について~正しい情報で正しい行動を~
令和2年2月7日 撮影・公開
中国を中心に感染者が急増し、日本でも感染者が報告された新型コロナウイルス。感染症の専門家で、2003 年のSARS、そして 2009 年の新型インフルエンザ発生時には国の対策を検討する委員会の副委員長も務められました川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦先生からお話をお伺いします。それでは、岡部先生よろしくお願いします。
→はい、よろしくお願いします。
(1)そもそもコロナウイルスってなあに?
まずですが、この新型コロナウイルスは、昨年12月に中国の武漢(ぶかん)市で肺炎患者の発生が認められてから、世界各地で広がりを見せていますが、そもそもコロナウイルスとはどのようなウイルスなのでしょうか。
→コロナウイルスというのは、まったくポピュラーな当たり前のウイルスで、人と動物と両方に感染するんですね。動物は動物のコロナウイルスで、例えば鳥のコロナウイルスとか、るいは犬のコロナウイルスとか、それぞれ軽い鼻風邪とかお腹を壊すとかいうような症状なんですね。それとは別に人のコロナウイルスというのがあって、このコロナウイルスも普通の鼻風邪の患者さんを調べると、結構出てくるんですね。
ですから、当たり前のウイルスなんですけれども、その中で特殊なウイルスが見つかって、そのうちの1つが2003 年に重症急性呼吸器症候群SARSという名前を付けておるんですけれども、その原因不明の肺炎で出たのが、新しくウイルスが見つかってそれをSARSコロナウイルスという風に名前を付けたんですね。
このウイルスは消えちゃったんですけれども、そこからしばらく経って 2012 年に中東呼吸器症候群と名前を付けたんですけれども、やはり原因不明の肺炎が出て、これもコロナウイルスだというのがわかったんですけれども、SARSコロナウイルスとちょっと違うところの分類になるので、これが新しいコロナウイルスという風になったんですね。
そうすると人のコロナウイルスというのは、ふつうは鼻風邪なんですけれども、特殊なウイルスとして、そのSARSコロナウイルスとMERSコロナウイルスと2つが今まで分かってて、今度の武漢で原因不明の肺炎っていうので始まった問題がですね、程なくコロナウイルスであるとわかってそれが新しいコロナウイルスであるという風になったので、これが第3の人に対してダメージを与えるコロナウイルスであるということになりました。
(2)新型コロナウイルスの特徴は?
わかりました、潜伏期間や感染率、致死率などにつきましては、SARSやMERS、季節性のインフルエンザなどと比較して、今回の新型にはどんな特徴があるのでしょうか。
→簡単に言うと例えば潜伏期間、これはSARSとかMERSというのは数日程度なんですけれども、新しいコロナウイルスが色々調べ方によって多少数字が出るんですけれども、10日から2週間ぐらい、平均的なところをとると5日間ぐらいが潜伏期間だろうという風に言われているので、SARSとかMERSに比べるとちょっと長いですね。もちろん普通のインフルエンザは1日、2日くらいの潜伏期間なので、更にそれよりは長くなるのでちょっとわかりにくいというのはありますね。
それから重症になる患者さん、それは軽い患者さんと重い患者さんを見つけるときで割合はなかなか難しいんですけれども、重症の者さんを亡くなる患者さんと置いた場合ですね、SARSの場合は患者さんが見つかった分の亡くなった方というと、これがだいたい10%くらいになります。これはかなり高い方になるんですね。
それからMERSの方はこれも見つかっている患者さん分の亡くなられた方ということでいうと37%くらい、これはかなり高いです。その代わりあまりうつりやすいわけではないんですよね。今新型コロナウイルスの場合は平均的に見るとだいたい2~3%くらいなので、2~3%というと例えばSARSやMERSに比べるとずっと低いわけですけれども季節性インフルエンザに置き換えてみるとこれよりはやっぱり高いということになります。
ただし、段々わかってきているんですけれども、あちこちにウイルスが広がったというのがありますけれども、今のところそのほとんどっていうのは武漢のある湖北省っていうところなんですけれども、湖北省で見つかった患者さん分の亡くなられた方っていうとこれが4%前後くらいですね。
ところがそこの中国全体の患者さんから湖北省の患者さんを除いて、例えば中国の北京や上海とかいうところにできた患者さん分のそこで亡くなられた方っていうとこれが0.2%くらいに下がります。
それから海外、海外って言ってもまだ確かに日本の数は何十人って数になってきてますけれども、海外のバラバラバラっていうのをやるとだいたい今200名近くなっているのではないかと、数字はまた違うんですけれども、そこの海外で感染が確認された患者さん分の亡くなられた方って一人しかおられないので、ただ全体の数が少ないので、たったひとりでもスッと数字は上がりますけれども、それでもだいたい0.7%くらい。
そうすると普通の季節性インフルエンザ、普段流行しているインフルエンザより少し致死率は高いけれども、全体から言うと特定のところを除けば、そんなにビックリした数字にはならない。
それからもう一つは亡くなられた方、僕らはリスクファクターと言いますけれども、やはり重症になりやすい方、あるいは残念ながら死に至るような状況になる方っていうのは、やはり高齢者であったり、それから基礎疾患、色々な持病がって尚且つコントロールがうまくついていない、糖尿病の血糖があがったままですとか、腎臓の状態がよくないと。
これがちゃんと落ち着いていればいいんですけれども、落ち着いてない状態が続いている方ほど、そういうリスクが高くなる。ただしそういうリスクの高くなる方っていうのは、例えばインフルエンザでも他の肺炎でも、やはりすぐに悪くなりやすい方なので、より注意しなくてはいけない方っていうのはそういうところに浮かび上がってきたっていうのがありますね。