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おしゃれ好きがユニクロに肯定的になった理由

平成の消費変化を象徴する日本の「国民服」

ファッション文化論、化粧文化論などを専門とする著者の最新刊だ。かつてはDCブランドやボディコンを着ていた時期もあるなど、著者自身も洋服へのこだわりが強いという。そんなおしゃれ好きな著者が、なぜユニクロというカジュアルファッションに興味を抱いたのだろうか。

甲南女子大学人間科学部文化社会学科教授 米澤 泉氏

「少し前まではユニクロの服は、おしゃれだとは思われていなかった。着るとしても、インナーなど外からは見えない部分に取り入れる程度。『ユニバレ』『ユニ被り』という言葉が流行ったように、『みんなが着ているユニクロを自分も着ているのは恥ずかしい』という消費者としての複雑な心理を抱えていた」

だが、最近になって、「インフルエンサー」と呼ばれる流行に敏感な若者の間で、ユニクロが肯定的に受け入れられるようになってきた。SNSや雑誌では、ユニクロを着こなせる人こそがおしゃれだと評価される。「ユニクロが苦手だった」という著者が本書を執筆した契機は、そんな変化にあった。冒頭ではこう述べている。

『国民服』として台頭してきたユニクロ

「平成という時代とともに世に広まり、まさに『国民服』として台頭してきたユニクロ。そして今、『LifeWear(ライフウェア)』として評価されるユニクロ。その意味合いは平成の始まりと、終わりを迎えた現在とでは劇的に変化した。(中略)ユニクロを追うことは、この30年の間に服を着ることの意味がどのように変わったのかを考えることになるだろう」

米澤 泉『おしゃれ嫌い 私たちがユニクロを選ぶ本当の理由』(幻冬舎)

ポイントは、経済とともに人々の価値観も激変した平成という時代に「次々と流行を追い求める高度消費社会の果て」に、「持続可能な社会」が求められるようになったこと。そんな流れのなかで、90年代に安さと丈夫さを売りにしていたユニクロは、2016年には「画期的な機能性」「普遍的なデザイン性」をアピールし、「生活をよくするための服」を提唱し始めた。

著者は「洋服を売るだけではなく、生き方についての新たな価値観を世に提案したことが、ユニクロというブランドの特筆すべき点」と指摘し、ファッション誌の表紙やコピーを拾いつつ、平成におけるファッションの変遷を丁寧に追っていく。

最後に、読者に向けてこんなアドバイスをくれた。

「バブル期からその少し後くらいの時期に定着していた、高価なブランド品で着飾ることをステータスとする価値観が古くなってしまった。今は高級ブランドで全身を固めていると敬遠されることも。そんな気持ちで、コーディネートにユニクロを加えてみては」

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米澤 泉
甲南女子大学人間科学部文化社会学科教授
同志社大学文学部卒。大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。
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(ライター 吉田 彩乃 撮影=市来朋久)

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