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  • S-MAX
  • 2020年02月09日 11:25

秋吉 健のArcaic Singularity:これからはディスプレイ品質でスマホを選ぶ時代!密かなトレンド「OLED+高リフレッシュレート」の技術について解説【コラム】

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スマホのディスプレイのリフレッシュレートについて考えてみた!

みなさんはスマートフォン(スマホ)の購入を検討する際、何を重視するでしょうか。価格、処理性能、バッテリー持続時間、画面の大きさ。その基準は人ぞれぞれだと思います。しかし、あえてそこで「画面のリフレッシュレート」と答える人はあまり多くないと思います。そもそも「リフレッシュレートって何?」という人も少なくないでしょう。

実はここ1~2年の間に、スマホの世界では「高リフレッシュレート・ディスプレイ」というのが密かなトレンドとなりつつあります。リフレッシュレートとは、簡単に言えば「画面の書き換え性能」のことです。スマホの画面は一般的に、1秒間に60回書き換えられていますが、これをさらに速い120回/秒や、もっと速い240回/秒で書き換えるスマホも登場してきています。

なぜそのような「画面の高速書き換え」がトレンド化しているのでしょうか。またユーザーである私たちにはどのような恩恵があるのでしょうか。感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回はスマホの高リフレッシュレート・ディスプレイのトレンドについて解説します。

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画面の高速書き換えが私たちのスマホ体験を一変させる?

■ディスプレイに動画が表示される仕組み

まずはじめに、ディスプレイになぜ書き換えが必要なのかを考えてみます。当たり前のような話ですが、意外とその理由を真剣に考える人は少ないでしょう。

世の中の映像コンテンツは、全て「静止画を1枚1枚書き換える」ことで動画として記録されています。例えば古い映画であれば1秒間に24回、少し古い動画であれば1秒間に30回、一般的な動画であれば1秒間に60回、といった感じです。この映像の書き換え回数は「fps」(フレーム・パー・セカンド。1秒間に何フレームあるのかを示す単位)で表されます。

しかし、再生する映像だけがそのように記録されていても意味がありません。ディスプレイ自体に画面を書き換える性能(リフレッシュレート)がなければ、表示されるのは最初の1フレームだけの静止画になってしまいます。そこで、動画を動画として見られるように、画面も1秒間に何回も書き換えます。これは周波数(Hz)で表され、1秒間に30回なら30Hz、1秒間に60回なら60Hzなどと表されます。

これは動画に限りません。ゲームを遊べるのも、SNSでタイムラインをスクロールさせられるのも、画面が1秒間に何十回も書き換えられているからです。

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スマホに限らず、全てのディスプレイは画面が書き換えられているからこそ動きのある映像を表示できている

■液晶ディスプレイの歴史は「残像」との戦いの歴史だった

ディスプレイのリフレッシュレートが高くなるにつれて問題となってくるのが「残像」です。スマホやテレビ、PC用モニターなどは液晶ディスプレイが主流ですが、この液晶方式は残像が多く残る技術としても有名です。残像は画面の書き換えの際に発生します。

例えば黒から白へ書き換える際、まったく遅延なく一瞬で書き換えられれば文句ありませんが、現実はなかなかそうはいきません。液晶方式の場合、数ミリ~十数ミリ秒という単位ですが、色が変化し終わるまでに時間がかかるのです。この書き換えにかかる時間のことを「応答速度」などと呼びますが、液晶は原理的に「応答速度の遅い」技術なのです。

応答速度が遅いと、映像が滲むようにぼやけて見えることになります。横方向に等速で動いている物体を撮影した映像などで、物体がブレて見えたり色が混じって見えてしまう原因の多くが、この残像にあります。

メーカー各社はこの残像をいかに低減していくのかに注力してきました。液晶ディスプレイの歴史は、残像との戦い(応答速度向上)の歴史でもあったのです。しかし液晶技術をどれだけ改良しても、どうしても残像が数ミリ秒残ってしまいました。

そこで各社はリフレッシュレートをさらに向上させ、120Hzや240Hzとすることで、残像を消す(応答速度をさらに上げる)のではなく、「画面を書き換える回数を増やして滑らかさを上げる」方向で“誤魔化す”手法を編み出しました。

これは動画ではあまり意味がありませんが(動画のフレームレートが上がるわけではないから)、ウェブサイトやSNSをスクロール表示させるときには大きな力を発揮します。単純にコマ数が増えるため、残像は残っていてもコマ送り感が少なく、滑らかで読みやすい「残像感の少ない」映像になるのです。

余談になりますが、液晶テレビの場合、動画コンテンツが主体であるためにリフレッシュレートを上げただけでは残像感を払拭できません。そこでフレーム補完処理によって動画の中間フレームを生成し、擬似的に動画のフレームレートを上げて残像感を軽減するという強引な手法も発明されました。

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シャープ製「AQUOS R3」。120Hzの高リフレッシュレート駆動が売りの液晶ディスプレイを搭載

■残像のない美しいディスプレイ技術、それがOLED

しかしここで、残像に対する1つの大きなブレイクスルーが訪れます。それがOLEDです。OLEDは応答速度が圧倒的に速いことで知られており、理論上では液晶の1000倍近い応答速度を持ちます。実際はディスプレイコントローラの性能などから0.1ミリ秒程度の応答速度になりますが、それでも一般的な液晶ディスプレイと比較して50倍から100倍ほどの応答速度を実現しています。

そもそも残像がほとんど出ない技術であるため、リフレッシュレートを上げれば上げるほど滑らかでクッキリとした映像を表示できるようになりました。そして、この性能が最大限に生かされるコンテンツこそが「ゲーム」だったのです。動画は60fpsなどが主流でそれ以上のリフレッシュレートが無駄になりますが、ゲームは仕様と処理性能さえ許されるならば、いくらでもフレームレートを上げることができます。

より滑らかで、より美しい映像を表現する。それは映像クオリティを追求し続ける現在のゲームの至上命題でもあります。また仮にゲームが60fpsのままであってもOLEDディスプレイは残像が圧倒的に少ないため、レースゲームのように高速移動をし続けるゲームや、1フレームの見切りが勝敗を分かつ対戦格闘ゲームでは大きな威力を発揮します。

つまり、ゲームとOLED、そして高リフレッシュレートという組み合わせは、デバイスやコンテンツとして完璧な組み合わせだったのです。そのため「ゲーミングスマホ」を標榜する端末ブランドでは、次々と「OLED+高リフレッシュレート」という組み合わせのディスプレイが登場することとなったのです。

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AQUOS zero2ではOLEDで240Hzという超高速駆動を行い、さらに本来の映像のフレーム間に黒のフレームを挟み込むことで、よりメリハリの効いた映像表現を実現した(つまり映像の実質フレームレートは120fpsになる)

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Google製「Pixel 4」。ゲーミングスマホではないが90Hz駆動のOLEDディスプレイを搭載し、画面スクロール時のテキストの読みやすさなどを追求した

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