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新型コロナウィルスで京都が閑古鳥

さて以下、京都新聞より転載。
新型肺炎で嵐山も金閣寺も「人がいない」 京都の観光地、激減
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/153719

新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受けて中国政府が海外への団体旅行を禁止したことで、京都市内の観光地や寺社で観光客が激減している。[…]

伏見稲荷大社(伏見区)の裏参道で神具店を営む男性(48)は「毎年多いと1日200台の団体バスが来るが、今年はちらほら。春節を見込んで材料の仕入れや、スタッフを雇った(近隣の)飲食店は痛手ではないか。早く収まってほしい」と願う。清水寺(東山区)参道の土産物店の男性(61)は「こんな極端な落ち込みは(清水寺などが拝観停止した1980年代の)古都税問題以来では」と嘆いた。
最も中国からの観光客の多いシーズンである春節に新型コロナウィルスの拡大が重なったことで、全国各地の観光地が期待していたお客様を獲得できず悲鳴を挙げている様です。上記の通り、京都ですらもその例外ではなく、京都の宿の価格が悲惨なことになっているようです。以下、twitterより転載。
一方で、今京都が挙げている悲鳴に対して、私としては「なんだかなあ」と感じざるを得ない部分もあるんですよね。実は、たった2カ月前となる昨年の12月、京都市長はメディアに向かってこんなことを言い放っていたのですよ。以下、毎日放送の番組「ミント」からの転載。
熱狂の『舞妓パパラッチ』問題...市長も憤り「京都は観光都市ではない!」とホテルお断り宣言..."観光公害"が深刻
https://www.mbs.jp/mint/news/2019/12/03/073640.shtml

「京都は観光都市ではない。観光のために作られた町ではない。市民の皆さんの安心安全と地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入については“お断りしたい”と宣言いたします。」(京都市 門川大作市長)
拙著「夜遊びの経済学  世界が注目する『ナイトタイムエコノミー』」においても繰り返し記述した事ですが、私は自身が観光産業に属する人間でありながら、一方で「観光客は地域にとって根源的にコストでしかない」と言い切ってしまうという少し特殊なポジションに居る人間です。以下。拙著「夜遊びの経済学」より転載。
観光客は「ただそこに来る」だけでは経済効果は生まず、むしろそれを受け入れる側の地域にとっては、一義的に「コスト要因」に他ならない。観光客が訪問先でゴミを発生させれば、それを処理するのは地域の自治体であり、その原資は地域に住む住民の治める税である。観光客が歩く公道、使用する公衆トイレは全て自治体財源によって維持管理される公共物であり、ましてや観光客を迎え入れる為に新たなインフラ整備を行うということになれば、当然そこには地域住民の血税が投入されることとなる。
そのような様々な財源部分の話をさっぴいたとしても、そもそも域外から得たいの知れない人間が多数来訪し、道端でワイワイガヤガヤと大騒ぎし、私有地や進入禁止地域にまで入り込み、「旅の恥じはかき捨て」とばかりにトラブルを巻き起こすなどというのは、地域の住民にとって必ずしも歓迎されるものではない。はっきり言ってしまえば、観光客というのはそこに根ざして生活する人間にとっては、根源的に厄介者であり、迷惑以外の何ものでもないのである。
観光客は地域にとって根源的にコストである。だからこそ観光振興を語る人間は、観光が地域にどれほどの経済的価値を生むのかについて真摯に向き合う「覚悟」を持たなければいけないというのが私の観光振興に対するスタンスであるわけですが、一方でそういう覚悟がない観光地に対しては「じゃあ、観光なんて辞めれば良いんじゃないですかね。」と非常に冷たく言い放ってしまうことも。

2015年、逗子市をはじめとして湘南地域一円の自治体が海の家から発生した観光客による地域被害に対して「海水浴客は全員出ていけ」とばかりに海の家を規制する条例を作った時、私は「湘南はもう海水浴客は要らない様ですから、皆さん千葉の海岸に出かけましょう」と呼びかけました。2018年、渋谷ハロウィンに集まった群衆が問題を起こした時、渋谷区が「(群衆は)勝手に集まってきているもの」などと言い放ち、完全にスケープゴートであるとしか思えない「路上飲酒禁止条例」を成立させた時、私は「皆さん、池袋なり川崎なりハロウィン客を歓迎してくれている地域に行きましょう」と呼びかけました。


参考:
【海の家問題】逗子市長の覚悟なき政治姿勢に怒り
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8040288.html
渋谷区で路上飲酒禁止条例が成立
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/10067993.html


観光とは全く関係ない分野で生きる地域住民が「観光客のせいで…」と不平を漏らすのならいざ知らず、それまで観光振興を旗印としてお客様を主体的に集めて来た地域行政が、自分たちが集めた観光客が社会問題を起こし始めると急に「観光客のせいで…」と豹変したかのように批判をし始めることが世の中にはありますが、私はその姿が非常に無責任に見えるのです。観光客は地域にとって根源的にコストであるのですから、その観光客がどの様に地域に資するかまでもを考えて、それを集めるのが観光振興の旗を振る行政側の責務です。その責任を果たしてこなかった行政が、己自身の「考えなし」の観光振興政策の元に集まった観光客に対して「オマエラのせいで」などと言い放つ様なことがあってはありません。それは貴方がた自身の不作為の結果なのですから。

といういことで、冒頭でご紹介したニュースのように何やら京都が悲鳴を挙げ始めているワケですが、私として京都に対しては「おたくの市長が『京都は観光都市ではない』」まで言い放ったワケですから、ご希望通り観光客が減って良かったじゃないですか、と申し上げたい。報道は「あの京都まで…」の文脈で京都の状況を報じがちですが、京都以外の観光地はそれ以上にお客様の激減に苦しんでいます。もし全国の観光地を支えたいと考える日本人観光客の皆様がいらっしゃるのであれば、京都以外の観光地へ。関西を訪れる際は是非「うまし うるわしの国」奈良へ。京都はもはや観光客を歓迎していないのですから、観光に行く必要はないですよ。

教訓「観光を嗤うものは、観光に泣く」

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