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「戦争に持って行くような報道は控えてほしい」…尖閣地権者一家を代表し栗原弘行氏が会見

尖閣諸島の購入計画を先行して進める東京都が、今週にも政府に上陸を申請する見通しであることが報じられている。一方で、国費で購入することを検討しているとされる国も、同諸島に避難港・灯台を整備する計画を構想していると報じられている。そのような中、地権者の兄弟の栗原弘行氏(65)が外国特派員協会で会見を行った。【編集部 田野幸伸】

■栗原家が所有、売却を決意した経緯

「政治家でもなく、政府の人間でもない、たまたま尖閣諸島を所有している一族のものでございます」と挨拶した栗原氏は、「栗原家として、諸外国の方も含め、誤解があってはいけないと思った」と会見に出席した理由について説明。

尖閣諸島は5つの島からなり、そのうち大正島は現在国有で、残りの4つが栗原家の所有となっている。この4島は開拓を行った古賀家の当主だった古賀善次氏が所有していたが、栗原氏の父である栗原国起氏が友人の関係にあったことなどから、経済的な目的ではなく古賀家の歴史を重んじたいとの思いから、1970年以降、栗原家に譲渡されていったという。

譲渡は1970年に、北小島・南小島の売買の話からスタート、72年の沖縄返還後に実質的な所有権の移転を実施。続いて1978年に魚釣島が、最後に久場島が1988年に栗原家の所有となった。このうち久場島は米軍の射爆場となっていた関係から、現在では防衛省との間で、賃貸契約が続いているといい、栗原氏は、同島には不発弾の存在の可能性もあるという。

この40年の間には、数十の会社から売買の申し出があったが、栗原家では、古賀家との約束を守るために一切の経済的活動は行なっておらず、外国企業や外国人からの申し出は無かったという。

今回、栗原家が売却の交渉を始めた理由は、長男である栗原氏の兄に子どもがおらず、70歳を迎えたことで、「知力・体力ともにしっかりしているうちに決めておきたい」「一民間人が40年間守ってきて、疲れたということもあるのではないでしょうか」と兄の思いを代弁。「来年の3月一杯まで国との貸借契約を結んでいますので、これを過ぎた後になるでしょうが、なるべく早くまとめらればと考えています。」と、早期の決着を望んでいるようだ。

■東京都に傾いている理由

売却先として、国よりも東京へ傾いていると報じられていることについて、栗原氏は「最初に売買の話を持ちかけてきた東京都と話をしているときに、後から話を持ちかけてきた国に売ってしまおう、という心情にはなれない。石原氏個人とは40年来の付き合いがあり、今回は石原さんが東京都知事だったというだけで、石原さんが国会議員だったら国との話になりますから、結果としては都知事だったから東京都と話すことになった」と説明。

一方、17日に日本メディアが「明の時代に、尖閣諸島は中国のものではないという記述がある」、翌18日には中国メディアが「旧日本軍の地図には尖閣諸島が載っていない、すなわち日本のものではない」と、さながら報道合戦の様相を呈しているここと、「戦争になるのでは」という報道があることに触れ、「言い合いがエスカレートすると危険だと思う。日本政府にシンクタンクがないのが難点なのかなと思います」「(武力や艦艇を持つ)国家と国家同士が言い争う状況を設定してしまう方がリスクも大きくなる。そういう観点からも、国ではなく、都と交渉したほうがよいのではないかと思っている」と述べた。

国が都の上陸許可を出さないのではないかとの観測も出ていることについては、「確かに国と栗原家で賃貸者契約をしており、管理義務者である借主側が拒否することはできる」としながらも、「売却のための経済的価値の調査のためであれば、上陸を許可というよりは、上陸をさせざるを得ないのではないか」と述べた。

■各種報道について

尖閣諸島は一般的な経済的評価がつけにくい状況にあるにもかかわらず、推定価格などがメディアで飛び交っていることに栗原氏は困惑しているといい、「栗原家が欲張りでやっているんじゃないかと思われるとまずい」「単一の島だけではなく、周辺の海を含めた部分で考える"島嶼経済学"の考え方が普及していないことも、誤解がはびこる理由ではないか。日本も含め、周辺諸国が東シナ海の豊富な水産資源をうまく活用するためにも、国内外でしっかり定着させてほしい」とした。

政府の国有化反対を表明した丹羽宇一郎氏について尋ねられると、「丹羽大使の発言が、政府のコメントでは私人の発言というふうに発表しておりますので、一私人としての発言なんだな、というふうにしか、私どもとしては解釈しておりません。」と回答。

また、中国メディアの世論調査で、9割の人たちが「武力行使」を容認していることについて、「どういう調査方法かわかりませんが、中国の人口は13億人ですから10億人がそう思っているということなのでしょうか。なぜそこに結びつくのかは良くわかりません。皆さんは見識のあるジャーナリストの方々だと思いますから、戦争に持って行くような報道の仕方は逆に控えていただければ有難いです。」と、内外のメディアに注文をつけた。

■関連リンク
尖閣諸島地権者親族 栗原弘行記者会見 主催:日本外国特派員協会 - ニコニコ生放送
尖閣諸島オーナーの弟、栗原弘行氏に直撃インタビュー【録画​放送】 - ニコニコ生放送
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