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YouTuberデビューの宮迫 自意識過剰っぷりだけがダダ漏れ

YouTuerとして活動再開した宮迫博之

2012年、レギュラー出演する新番組の会見に出席した雨上がり決死隊の宮迫博之(左)と蛍原徹(時事通信フォト)

 多数のお笑い芸人が特殊詐欺グループの会合に出席し金銭を得ていた、いわゆる"闇営業問題"が2019年6月に発覚したのち、謹慎していた当事者たちの復帰が続いている。もっとも注目されていた一人、雨上がり決死隊の宮迫博之がYouTuberデビューという形で活動再開した。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、初回で「(コンビの相方)蛍原の隣に戻りたい」と語った宮迫の願いに近づけているのか考えた

【写真】2012年の雨上がり決死隊

 * * *

 1月29日、謹慎中だった雨上がり決死隊の宮迫博之がYouTuberデビューを果たした。当然のことだが、宮迫は事件発覚以前と変わりない芸能生活への復帰を望んでいる。YouTuberとしての活動も一度失った好感度を取り戻す工作の一つだろう。しかし、現在に至る宮迫の動きを観ていると、どうもうまくいっていない。

 1本目の動画からつまずいていた。反省と相方・蛍原徹と再びお笑いをやりたい!といった想いが述べられた前半部分は良かった。差し障りのない内容である。しかし、最後に語ったYouTuberデビューの決意が悪かった。

「皆さんに"恩返し"出来る事を何なのかって考えた時、YouTubeに出会いました」と宮迫。

 宮迫は視聴者へ恩を返すためにYouTuberデビューを決めたらしい。動画内で自身の表現欲について語ってもいたが、最初に出たのが「恩返し」というフレーズである。自身の復帰したいと言う気持ちは二の次で、あくまでも「皆さんのために戻ってきましたよ」ってな感じなのである。その恩着せがましい態度に辟易としてしまった。変に自意識が過剰なのだ。

 翌日、宮迫はコラボ動画(チャンネルを持つYouTuberどうしでお互いの動画に出演し合うこと)を配信した。相手は炎上系YouTuberのヒカルだった。その2日後にはこれまたトラブルを起こすことで知られるレペゼン地球のDJ社長とコラボ。キングコングのカジサック同様、YouTubeに骨を埋める覚悟があるならば理解できる。しかし、宮迫の野望はテレビの世界に再び返り咲き、「蛍原の隣に戻る」こと。宮迫がYouTubeで行うべきは、一度汚れてしまったイメージを払拭することだ。しかし、最初から話題性を求め評価が極端に分かれるYouTuberとコラボをしてしまった。一瞬、多くの人の目を引き寄せることはできるが、長期的に考えると得策とは言えない行動である。

 ヒカル、DJ社長からすれば一流芸能人と関われたメリットは大きい。自身の価値が向上する。しかし、宮迫サイドからすれば、テレビの世界で積み重ねてきたタレント性を目減りさせる行為である。また今後、ヒカル、DJ社長が活動を続けていくなかで炎上どころではないトラブルを起こさない保証はない。彼らが事件を起こせば、コラボした宮迫にも火の粉は飛ぶ。今後、テレビ業界は「ちゃんとしている人である」といったイメージが更に重要となっていくだろう。ゆえに、危険因子を持つタレントはスタッフとしても使いづらいはずだ。

 そして、YouTubeならではの問題も宮迫をつまずかせている。1本目の動画からも漏れていたが、拭きれない自意識過剰っぷりについて。それに付き合うことは視聴者として難しかった。この鬱陶しさ、テレビ番組で活躍していた時代の宮迫からはそこまで顕著に感じられなかったものである。

 テレビは多くのスタッフの手で作られている。視聴者はスタッフが厳重にチェックした映像を視聴している。しかし、YouTubeは少人数のスタッフによって作成されているゆえに様々なチェックが甘い(そこが魅力でもあるが……)。テレビではカットされていたであろう宮迫の自意識過剰ぶりが、YouTubeではダダ漏れ。

 たとえば「司会ばかりやって何もつまらない(※何をしてもつまらない)」と言うアンチに対して、自分の芸歴をつかって牽制し、マウントをとるようなことを言い出す。バラエティ番組のひな壇に加わって存在感を示し、地道にコントもやった。下積み仕事から全てをやり、勝ち上がった先に司会の座があったのだと解説をする。反省した結果の殊勝な態度を示さなくてはいけない今、優先してやるべきことではない。

 逆に今の宮迫がやるべきことを考えてみた際、まず浮かんだのがYouTubeでも人気ジャンルとなっている「料理動画」である。宮迫は息子の弁当を幼稚園時代から、給食があった小学校時代の中断を挟み、高校卒業まで作り続けている。自身で語ることは少ないがナイスパパ芸人の一人。宮迫の「料理動画」は家族思いの一面が漏れる人間味あふれるコンテンツとして受け入れられるだろう。息子の弁当を作り続けたことによるエピソードも多そうだ。

 ストレスが溜まり、自論を言いたくなる宮迫の気持ちはめちゃくちゃわかる。しかし現状、正論を言っても叩かれるだけ。そういった状況下では、お笑い芸人としての枠におさまらない動画で好感度を上げるのが得策だ。刺激が少なく注目もあまりされないだろう。しかし「一からやり直す」人だという印象を持ってもらうには、地道な作業の積み重ねしかない。

 その点、ロンドンブーツ1号2号は冴えていた。なんたって淳が相方・亮の復帰の場として選んだのがトークライブである。売れっ子芸人も最初は小さな舞台に立つことからスタートしている。「一からやり直す」を地で行く亮の印象は良く、それに付き合う淳も評価される。事件を経たことにより、かえってコンビが高い信頼感で繋がっていると示すことに成功している。目的と手段が一致しているのだ。 現在の宮迫はロンドンブーツの真逆を突き進んでいる。騒動以前にはまったく関係のなかったYouTuberに自身の再起を託す。1本目の動画では芸人仲間からYouTube活動を反対されたとも語っていた。孤独にさいなまれた結果、「蛍原と再びテレビで共演したい」という目的に対し、間違った手段でアプローチを取り続けている。

 過去、宮迫はラジオで若手時代に所属していたユニット吉本天然素材をやめた理由を語っていた。

「天然素材のリーダーになり、意図せず矢面に立ってしまったんや。(自分は)責任感ってのが大嫌いやねん。(他のメンバーより)先輩だから全部オレらのせいにされるやん……」

 今回の事件、誘われるままパーティーに出てしまった全ての芸人に問題がある。当然、宮迫だけのせいではない。しかし、出席した芸人仲間のなかでもっとも芸歴が長いという理由から意図せず問題への対応を決断する立場となった。そして最初の処理を誤った結果、長い謹慎となってしまった。

 レペゼン地球との動画で宮迫は自身を「ガラスのハート」と評していた。筆者自身も小心者なので宮迫の気持ちがよく理解できる。それゆえ「YouTuberらしい」としか例えられないムチャぶりに芸人の世界で培ってきたテクニックで返答していく現状の宮迫を見ると切なくなる。頑張って欲しいと思って観るがやはり空転している。肝心の「恩返し」である笑いは、まだ提供されていない。

●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで月一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)

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