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新型コロナウイルス肺炎

火事場どろぼう的改憲を許さない

新型コロナウイルス肺炎は、中国湖北省武漢市から中国全土、世界各国へと広がり、終息する兆しは全く見えない。1月31日、WHO(世界保健機関)は、緊急事態を宣言した。2月6日現在の死者は中国で560人を超え、2003年に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)による死者(349人)数を更新し続けている。中国本土以外でもフィリピンで1人が死亡した。世界で確認された新型コロナウイルスの症例数は2万8000例を超えた。場合によっては世界的な大流行(パンデミック)に結びつく深刻な事態になりかねない。

政府は先月28日、新型肺炎を法律上の「指定感染症」・「検疫感染症」とする政令を閣議決定し、今月1日に前倒し施行した。国民の健康と命を守ることを最優先に、国内での二次感染、三次感染を防いでいかなければならない。日本国内の感染拡大防止の強化、不安に答える情報提供・情報発信、検査キットの普及やワクチン、治療薬の開発、中国在留邦人の保護・支援、経済や中小企業、観光地への影響等に関する必要な対策について、万全を期していく必要がある。

一方、新型コロナウイルス肺炎を奇貨として、自民党改憲4項目の一つである緊急事態条項の必要性に結びつけ、改憲論議が進められようとしている。自民党の伊吹文明元衆院議長は先月30日、「緊急事態の一つの例。憲法改正の大きな実験台と考えた方がいいかもしれない」「(強制措置は)憲法を変えてもらわないとできない」と語った。下村博文選対委員長も1日、新型肺炎拡大を踏まえ、緊急事態条項新設に関する改憲論議の進展に期待感を示した。また、日本維新の会の馬場伸幸幹事長も、「感染拡大は非常に良いお手本になる」と、国会で安倍首相の見解をただした。評論家の櫻井よしこ氏は、今回の新型肺炎を受け、「国民の命を守るために緊急事態条項を設けるべく、憲法改正を急がなければならない」などと主張している。

新型肺炎と憲法改正は何も関係がない。国内では、症状がない人の感染が確認されている。今やるべきなのは、感染拡大に備えた医療態勢の強化である。「正しく恐れる」ことが大事であり、患者やその家族、外国人への差別や偏見につながらないよう、人権を十分に尊重しながら、拡大防止や治療をどう確実なものとしていくかというバランスのとれた行動が必要だ。

(社会新報2020年2月12日号・主張より)

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