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ワタミのホワイト企業特別賞は「方向性の誓い」

ホワイト企業大賞のロゴの下には「The White Company Way」と書いてあり、授賞式で実行委員長もホワイト企業を目指すという方向性こそが重要との趣旨説明があった。賞状には「現場一人ひとりが、新しい組織になっていこうとチャレンジしている姿に感銘」と受賞理由が書かれている。

審査には、現場の従業員たちに「会社に入って幸せですか」とヒアリングがある。そのヒアリングを外部審査として「受け入れる」姿勢にこそ意味がある。労働時間や残業取得、有給消化も徹底改善し、離職率も、21・6%(2016年)から、飲食業界平均17・66%を大きく下回る、8・5%(19年)まで改善した。

今後は「大きな会社」ではなく、「小さな会社」を目指したいと思っている。たとえば社員にミスがあった場合でも、大きな会社はすぐに評価や処分を考えるが、小さな会社なら、社員に向き合い、寄り添う、そういう面での「小ささ」を大事にしたい。働き方改革の、従業員を大切にすることには大賛成だ。

一方、帰宅から翌日の出社まで丸12時間以上ある。その仕事以外の時間の使い方で、人生や、この国の未来が大きく変わる時代だと思う。

先日、旧ソ連に詳しい元外交官で作家の佐藤優さんと対談した。私も1980年代に旧ソ連を旅した。共産主義国家では、働こうが働くまいが報酬が一定、若者たちから働く意欲を感じなかった。かたや、同じく旅した米国の若者たちは夢を語っていた。働くことの概念を間違えれば、ソ連と同じ道を歩みかねないと共産主義を見続けてきた視点で指摘されていた。

少子化の日本で、労働力を確保するには外国人の受け入れが重要だ。出生率1・4だが、仮に人口を1億人で留めるというグランドデザインを描くならば、年間25万~30万人を受け入れる必要はあるはずだ。昨年4月から外国人受け入れのための新しい在留資格「特定技能外国人」制度が設けられたが、19年度中に最大4万7000人程度とされていた予想から大幅に少なく895人と報じられ、制度の遅れが指摘されている。

送り出す国側の準備が整っていない事情も理由に挙がるが、何よりも業種別の試験が遅れている点に問題がある。特定技能試験の中の、外食業技能測定試験をみても、内容が難しすぎると感じた。必要な適性を計る試験にすべきに思う。特定技能の制度の遅れについては、私なりの具体的な改革の「政策提言」を現在まとめている。

ワタミ傘下の事業会社でも、外国人材の育成に取り組んでいるが、日本に来る人を少しでも幸せにしたいと思っている。「3~5年後何をしていたいか」など、ライフプラン自体を支えるプログラムも作っている。帰国してからも、活躍や夢を実現してほしいと願うからだ。単純労働力とは絶対に捉えない。

社内改革も、外国人材の活用も、どの道を目指しているかと問われた「White Way」。今回の受賞は、その方向性の誓いと受け止めてほしい。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より

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