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成年年齢18歳 少年法年齢引下げの是非

法務部会の様子(自民党本部において)

「日々勉強!結果に責任!」「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(自民党・比例代表全国区)です。我が国の伝統精神である「智勇仁」の三徳に基づき、「文武経」の政策を国家国民のために全身全霊で実現します。

去る1月31日(金)、自民党本部において、法務部会・司法制度調査会の合同会議が開催されました。議題は、少年法改正についてです。

●2年後の令和4年4月1日から成年年齢が18歳に引下げ

 議論の出発点は、平成19年の憲法改正手続法の制定に遡ります。国民投票の年齢を18歳以上に引き下げたのです。それを受けて、平成27年には公職選挙法が改正され、各種選挙の投票年齢が18歳以上に引下げられました。翌28年の参議院議員選挙から投票年齢が18歳以上に引下げられました。さらに、平成30年の民法改正によって、成年年齢が18歳に引下げられ、令和4年4月1日から施行されることになっています。

以上、成年年齢が18歳に引下げられることによって、各種施策の変更の有無について後述します。その過程の中で、一番の議論になっているのが、少年法を18歳に引下げるかどうかです。

 私共自民党は、議論の結果、少年法の年齢引下げを提案しています。

 1月30日、少年犯罪の遺族団体である「少年犯罪被害当事者の会」は、少年法引下げの意見書を法務省に提出しました。「成人の権利を認めるのであれば、刑罰を受ける責任も自覚させるべきだ」と。

 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200131/k10012266351000.html 

 一方、日弁連や報道機関、友党公明党も、反対や慎重論があります。

 ・日弁連 https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/child_rights/child_rights.html 

 今後も、自民党法務部会では、議論を続けて、結論を付けて、年内には法改正を行いたいと思います。そうでなければ、周知期間が足りなくなってしまいます。

 法務省から少年法改正についての論点の説明を受けました。

 私は、引下げ賛成の論拠の方が、説得力あると思いました。

皆さんは、どうお考えでしょうか。

●少年法を18歳未満に引下げるべきかどうかの論点

 少年法の年齢を引下げる賛成の根拠は以下です。

⑴少年法は「少年」が監督権に服していることを前提としており、成年者を「少年」とすることはできない。

「少年」に対して、本人の健全育成のために国家が後見的に介入する保護処分は、①犯した罪の責任を超えた少年院送致や、②犯罪に及ぶおそれ(虞犯)による処分も許される(保護原理)。

「少年」は自律的な判断能力が不十分であるため、親権に服し、監督される存在であるため許容される。現行少年法の審判手続は、少年に「保護者」があることを前提とし、「保護者」が手続上重要な役割を担っている。少年法の「保護者」は、少年に対して、法律上監督教育の義務ある者又は現に監督する者をいい、「少年」は監督権に服することが前提とされるが、成年となる18・19歳の者は、監督権の対象から外れることとなり、他者の監督権に服さないため、「保護者」を観念し得ない。

⑵成年者を保護処分の対象とすることは責任主義と相容れない。

責任主義とは、近代刑法の基本原則であり、国家による不当な介入を回避するという自由主義の要請から、自律的な主体に対する介入はその責任の範囲内でしか許容されない。成年者(=自律的な主体)に対する処分は、犯した罪の責任の範囲内でしか科すことができない。しかしながら、少年法の保護処分は、犯した罪の責任を超えた処分や、虞犯による処分を許容しており、成年者であるう18・19歳を「少年」として、保護処分の対象とすることは、責任主義に反し、国家による不当な介入を招くことになる。

⑶刑事政策上の懸念に対しては、刑事政策的措置の更なる充実による対応できる。

 成人に対する刑事政策的措置は、効果を発揮している。検討中の制度・施策によって、再犯防止効果を一層高めることができる。

⑷被害者を含む国民の理解・納得

 18・19歳に選挙権が付与され、民法上も成年とされたのであるから、自律的な判断能力を有する主体として認められたことを意味するにもかかわらず、罪を犯したときのみ「少年」として扱い、教育や保護の対象とすることについては、国民の理解・納得が得られない。

 大人としての自覚を促し、自分の行動に責任を果たす責務があることを国が示すべき。

 「少年」は重大犯罪に及んでも、保護処分となる可能性があり、検察官送致となったとしても、有期の実刑となる場合は、必ず不定期刑となり、その上限は「10年以上15年以下の懲役」にとどまるなど、成人に対する科刑と比して緩和されている(成人の上限は懲役30年)。また、実名報道など本人であることを推知させる報道が将来にわたって禁止されています。

⑸選挙権年齢との統一を図る必要がある

 選挙権が不要され、裁判員となる資格を有する(他人を裁く側になる)のであるから、罪を犯した場合には、刑事裁判により責任を問われるようにすべき。

 選挙権が付与され、選挙運動の自由が認められたのであるから、選挙犯罪に及んだ場合には、刑事処分(公民権停止、連座)の対象とすべき。

●少年法の対象年齢引下げ反対の論拠、年齢を維持すべき

 一方、少年法対象年齢を現行通り、20歳とすべきの論拠は次です。

⑴少年法の「少年」の年齢は民法の成年年齢とは趣旨が異なる。

 法律の適用年齢は、それぞれの立法趣旨や立法目的に照らして法律ごとに決められるべき。

 民法の成年年齢引下げは、将来の国づくりを担う若者の社会参加を促すために行われたのであり、そのことから「少年」の年齢を成年年齢に合わせた旨の説明はなく、20歳程度の者の未成熟に焦点が当てられていた。

 旧少年法の「少年」の年齢は、18歳未満であり、民法の成年年齢と一致していなかったのであるから、「少年」の年齢を成年年齢に一致させないことも許容される。

 現行民法は、未成年者であっても婚姻をすると成年に達したものとみなされて親権の対象から外れる(婚姻による成年犠牲)。現行少年法には、婚姻による成年犠牲により成年者と犠牲された者も「少年」として少年法が適用されている。

 保護処分に付された者に対する処遇は、成年に達した後にも継続して行われる場合があるなど、親権の対象ではない成年者にたいしても少年法が適用されている。

⑵国民の理解・納得に依拠するのは危険である

 民法の成年年齢については、世論調査で国民の多数の反対にもかかわらず引下げており、国民の理解・納得に依拠するものではなかった。世論調査では、「少年」の年齢引下げに賛成する意見が多いが、これは国民の誤った認識に基づくものである。

⑶少年法は有効に機能しており、改正により刑事政策上の懸念が生じる。

 現行少年法の下で、少年犯罪の件数、発生率はともに減少している。

 18・19歳の者について、「健全育成」の理念による処分・処遇が行えなくなり、十分な処遇や保護者に対する働きかけ等が行えなくなる。

 少年審判手続や保護処分による処遇は、刑罰と比べて、教育効果が優れている。

 「少年」の相当部分を占める18・19歳が成人として扱われ、少年保護手続の対象でなくなると、家庭裁判所、少年鑑別所、少年院の機能が低下する。

⑷18・19歳の者の成熟度は低い

 18・19歳の者は、人間関係をうまく築けないなど、精神的・社会的に自立が遅れている。

 18・19歳の者のほとんどは学校教育を受けており、親の扶養下にある。

 児童福祉の分野では、児童自立生活援助事業等の施策の対象年齢を引下げる動きがある。

 行動制御を司る脳の部位は、20代半ばまで発達されるとされる。

 以上の少年法引下げの是非の論点をお読みいただき、どのような感想を持たれたでしょうか。

 私は、引下げ賛成の論拠の方が、説得力あると思いました。

●(参考)成年年齢が18歳に引下げられることによる変更の有無

 成年年齢が18歳に引下げられることにより、次の点が変わります。

・親の親権に属さなくなり、携帯電話やローン、クレジットカード、借家等の契約が、親の同意なく、一人でできるようになる。

・10年有効のパスポートの取得。

・公認会計士や司法書士、医師、薬剤師の国家資格の取得。

・結婚は、女性が16歳から18歳となり、男女とも18歳でできるようになる。

・性同一性障害の方が性別の変更の審判を受けられる。

・普通自動車免許は18歳以上のまま。

ただし、従来通り20歳で変更なしのものもあります。それは、以下です。

・飲酒や喫煙

・競馬・競輪・競艇・オートレースの投票権購入

・大型中型の自動車免許

・養子を取ること

 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201808/2.html 

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