記事

【アップルの中国一本足打法】

米中の分断や切り離しを意味する“ディカップリング”があれほど話題でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大で米中は切っても切れないことがわかりました。それを象徴するのがアップル中国への依存度の高さに関する報道が相次いでいます。

[画像をブログで見る]

WSJはRapid Spread of Coronavirus Tests Apple’s ChinaDependency(コロナウイルスの急拡大、アップルの中国依存を試す)の中で、アップルにとって市場として、さらにiPhoneやiPadの重要な生産拠点として、人口が多い中国はで起きた新型コロナウイルスの感染拡大中国依存度を試していると報じています。

アップルと、組み立てを行っているフォックスコン(=ホンハイ)は、予定より10日遅い2月10日に生産を再開すると言ってきましたが、関係者によりますと、影響はさらに長引くということです。

感染拡大によってアップルはことし1〜3月期のiPhoneの出荷を当初予定より5〜10%減らすとみられるそうです。

アップルのティム・クックCEOは、これまで▼中国経済の減速、▼米中の貿易摩擦による関税上乗せを乗り切ってきましたが、今回の10日間の遅延の方がトランプ関税よりも影響が大きいとアナリストは指摘。関税が上乗せされてもヒトやモノは動かせたが今回はできないからだとしています。

アップルは生産地を多様化しておらず中国一本足打法のため、新型コロナウイルスの感染拡大でもっとも影響を受ける外国企業だとしています。

クックCEOは先週の電話会見で、アップルの200の部品メーカーのうち、感染拡大がもっとも深刻な武漢に2つあることを明らかにしています。

福島の原発事故のあと、アップルは光学式ドライブの製造を続けるため新たな工場をすぐさま避難区域外に建て、タイの洪水のあとタイ海軍の力を借りて必要な設備を運送するなど、サプライチェーン危機を幾度も乗り切ってきましたが、今回ばかりは生産の心臓部が打撃を受けたとしています。

FTはCoronavirusshakes center of world’s tech supplychain(コロナウイルス、世界のテック企業のサプライチェーンを揺るがす)の中で、関係者の話として、アップルが生産を委託しているフォックスコン(=ホンハイ)が10日に生産を再開できなければ3月に予定されている新型iPhoneの発売を数週間、延期せざるを得なくなると伝えています。

フォックスコンは生産を再開するつもりでも、地元当局がほかの州から入った人は7日、感染拡大が深刻な州から入った人は14日の自宅待機を命じたため、人員の確保が課題だということです。

ホンハイは中国全土に10を超える大きな生産拠点を持ち、アップル、ファーウェイ、サムスンもフォックスコン以外にPegatronやWistronとった委託先があるものの、どの生産拠点も感染拡大の影響を受けていて、簡単に生産を移管できないとしています。

半導体や液晶ディスプレーのメーカーは、春節に伴う連休の間もそもそも生産を止めていませんが、感染拡大がもっとも深刻な武漢に集中しているということです。

アメリカのロス商務長官は先週、今回の危機により生産や雇用が中国からアメリカに戻ってきてアメリカ経済を喚起すると述べたように、サプライチェーンに大きな変革をもたらすという見方もあるとしています。

BBCはCoronavirus: The economic cost is rising in China and beyond(中国などで経済コストが増加)の中で新型コロナウイルスの経済的な打撃は、中国はもちろん世界的にかさんでいると報じています。

地方政府の要請で春節に伴う連休が延長されていますが、休業が長引いた場合、従業員の賃金も含めて企業は多くの費用を負担するだけでなく、中国企業との取り引きを躊躇する外国に企業も広がるだろうとしています。米中貿易摩擦で苦しんでいた中国企業にはダブルパンチだと言います。

ただ、SARSに揺れた17年前に比べて、中国が世界経済の占める割合が格段に大きくなり、とりわけ自動車とスマホなどのエレクトロニクス機器の部品をグローバルに供給していると指摘。

Oxford Economicsは、ことし1月〜3月の中国のGDPが対前年同期比で4%以下の伸びにとどまり年間では5.6%の伸びと予想。感染拡大前はどちらも6%の予想でした。世界経済にとっては0.2%のマイナスだとしていますが、「最悪のシナリオの回避」が前提で、さらに悪化する恐れもあるそうです。

どこまでマイナスを抑えることができるかは、中国当局がどこまで感染拡大を抑えることができるかだと総括しています。

あわせて読みたい

「Apple」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    昭和の悪習 忘年会が絶滅する日

    かさこ

  2. 2

    早慶はいずれ「慶應一人勝ち」に

    内藤忍

  3. 3

    「Mr.慶應」性犯罪で6度目の逮捕

    渡邉裕二

  4. 4

    医師が語る現状「医療崩壊ない」

    名月論

  5. 5

    再び不倫 宮崎謙介元議員を直撃

    文春オンライン

  6. 6

    宗男氏 桜疑惑めぐる報道に苦言

    鈴木宗男

  7. 7

    感染増の原因はGoToだけではない

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  8. 8

    医師 GoTo自粛要請は過剰な対応

    中村ゆきつぐ

  9. 9

    テレビ劣化させる正義クレーマー

    放送作家の徹夜は2日まで

  10. 10

    貯金がない…京都市を襲った悲劇

    PRESIDENT Online

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。