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「成績が落ちる」は時代遅れ スマホを使って合格した、東大生のリアル“ドラゴン桜” 2020年の論点100 - 西岡 壱誠

 スマホ学習は、既存の教育のパラダイムを大きく変革させる。現役東大生ライターとして最近の東大生の勉強スタイルを研究し、「リアルドラゴン桜プロジェクト」として学校現場で直接高校生に勉強法を教えている自分は、最近本気でそう感じる。

「スマホは勉強に悪影響であり、スマホを使うと学力が下がる」「適切な指導ができる学校や塾がない状況下の学生は偏差値が低く東大合格も難しい」。今の日本にはこのような教育の通説が存在する。しかしこれは、スマホ学習の登場によって10年後には消え去ってしまうだろうと私は確信しているのだ。

東大生は、スマホを使って東大に合格している

 まず、「スマホを使うと勉強に悪影響である」という考え方に関してだが、実際に東大生にアンケートを取ってみた。結果、2019年度入学の東大1年生のおよそ8割が「スマホは勉強に悪影響だと思うか?」という問いに「そうは思わない」と回答していた。

 さらに、彼ら彼女らの勉強スタイルを取材してみると、スマホを使って友達同士でノートを見せ合ったり、できなかった問題を写真に撮ったり、Googleドライブで予想問題や過去問を共有しあったり、勉強計画や履修・成績をエクセルや勉強系アプリで可視化したり、スマホをフル活用して勉強していた。東大生は、スマホを使って東大に合格しているのだ。


©iStock.com

 こんなデータも存在する。スマホを勉強で活用している高校生の割合は、2019年調べで約95%に上るというのだ。教科書の電子化や成績のデータ化・勉強時間の進捗管理やわからない事項の検索など、スマホを使った学習法は多岐にわたり、今やスマホを使わずに勉強している学生を探す方が困難な時代になっている。

 勉強系のアプリのほとんどは無料であり、料金が発生するものでも月額980円でスマホ授業見放題となる「スタディサプリ」のように本当に安価な値段でいいサービスが受けられる時代になっている。

 つまり、適切な指導者がいない、または経済的に塾に行くのが困難な環境下にいる学生でも、スマホさえあれば、東大に合格するのも夢ではないのだ。実際、とある沖縄県出身の東大生は東大進学者が今までいなかった高校から塾に行かずに東大合格を果たしている。「スマホを使うと成績が下がる」というのはもはや時代遅れな批判なのだ。

自動的に「暗記」させてくれるアプリが登場

 そして最近、私は衝撃的な学習アプリを発見してしまった。名前を「Monoxer(モノグサ)」という。これは、暗記したいものを超効率的に暗記させてくれるアプリケーションだ。使い方は至ってシンプル。

1 暗記したい内容と答えを入力する。英単語なら英語と日本語を、漢字なら漢字と読み仮名を。画像でも問題ない。
2 AIが自動的にその暗記項目を覚えるのに最適な問題を複数個用意してくれて、テストが始まる。
3 使う側は、このテストを解き続けていれば自然とその項目を暗記できる。暗記の進捗度合いに応じて問題が自動的に作られ、どれくらい暗記できているのか、データとして蓄積されるからだ。たとえば、「完全に覚えられている『記憶済み』は32%、うろ覚えになっている『記憶中』が45%、覚えられていない『弱点』が23%」とデータで表示される。
4 「その暗記項目を何日で覚えたいのか」を入力すると、その日数で暗記する勉強計画を立ててくれて、使用者はアプリの指示に従ってテストを受けてさえいれば、勝手に暗記ができる。

 いかがだろうか? 「アプリの指示に従っていれば、勝手に暗記できるようになる」というのは、まるで漫画『ドラえもん』のひみつ道具・アンキパンのようなアプリだと感じる。

 しかもこのアプリ、ディクテーション対応だ。英語を入力すれば、AIが自動で音声を作成してくれる。英文を入力すれば、その英文が読み上げられ、その英文を暗記するのに適した問題がたくさん出て来るのだ。

 このアプリの最大の特徴は、「記憶の可視化」にある。例えば先生が「この単語帳を週末までに覚えておけ!」と言った時に、このアプリで配信すればどの生徒がどれくらいの単語を覚えられているのか、Aくんがどの単語を覚えられていないのか、データ化して管理できる。生徒が何を覚えていて何を覚えられていないのか、データで管理者が理解できてしまうのだ。

スマホ1台あれば、どんな学生でも東大生になれる時代へ

「ダイエットの時に体重計がないと不便ですよね?」。

 モノグサ株式会社の代表取締役CEО竹内孝太朗氏は語る。

「今まで、勉強において体重計は存在していませんでした。体重計がないまま、『きっとこれくらい体重が減ったはずだから』と、想像でしか語れなかった。だからこそ、指導者も適切な指導ができないことがありました。そんな中でこの Monoxerは、すべての学習者の体重計になれると考えているんです」。

 この言葉を聞いた時、私はICTツールが与える影響というのは我々が想像しているよりもはるかに大きく、そして幅広いことを思い知った。地域の教育格差や家庭の経済格差を飛び越えて波及しうる可能性があるというだけではなく、既存の学校や塾がICTツールを活用して飛躍していく可能性もある。実際、ICTツールの活用で学力を向上させる学校も最近増えてきていると感じる。その傾向は今後顕著になっていくだろう。

 ITの力は、さまざまな業界でパラダイムシフトを起こしてきた。スマホ1台あれば、どんな学生でも東大生になれる可能性がある時代が到来しつつある。今度は教育におけるパラダイムシフトが起こるのではないだろうか?

※100のテーマに100の解答。就活生、ビジネスマンの基礎教養にも!『文藝春秋オピニオン 2020年の論点100』発売中です。

(西岡 壱誠/文春ムック 文藝春秋オピニオン 2020年の論点100)

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