記事

平時に起きることは非常時にも起きる。震災と女性と子ども 熊本地震から見えた対応策

 熊本で開催された研修会「実体験に学ぶ災害時の問題と備え」(主催:ローカルマニフェスト推進連盟)では、女性と子育ての視点からの避難所運営と問題提起を聞いた。


「女性の視点から見た災害時の避難所運営の問題と次への備え〜熊本地震の経験から」と題して、藤井宥貴子くまもと県民交流館パレア館長が講演された。
 藤井さんは、熊本地震のさいは「熊本市男女共同参画センター はあもにい」の館長で、避難所への対応をされていたが、指定管理者制度で受託しており仕様書には災害時への対応がなく困ってしまった、と冒頭に話されていた。
 指定管理を受託している事業者がどこまで災害時に対応できるのか。これも課題のひとつと言えるが、別の機会に考えたい。

 藤井さんは、そのような状況でも全国の男女共同参画センターからの支援があり乗り切れた。
 そして、平時でも起きることは非常時にも起きることを忘れてはならない。特に性被害への対応が必要と指摘されていた。


■性被害の問題

 藤井さんは、最初の発災時(4月14日)は、自宅にいたが、すぐには施設へ向かい、やるべきことをリストアップしていた。その時に東北の男女共同参加センターから性被害への対応が必要とアドバイスされ、15日には防止啓発ポスターを急ごしらえで作成した。だが、震災により市役所が機能していないため配布ができる状態ではなかった。結局、1週間後にネットなどを利用して配布となった。このポスターは、他の地域でも活用しているという。

 震災直後は電気が来ていないので真っ暗。避難所でも隣に誰がいるか分からず、何をされるか分からない。夜トイレに行く場合には、必ず複数で行くなど人の目があるようにすることが大切。
 DV、性被害への対応情報発信が遅れた。ほとんど知られていなかったことで、発災してから啓発しても遅い。他にも外国人や性的マイノリティなど多様な人が避難所にはいて、ひとりひとり困りごとは違う。震災時に弱者支援の視点がなかったことは反省材料。
 他にも空き巣が起きている。これは東北の震災でも同じだった。

 支援物資は考えもの。送られてくる物をもらっていると人も場所も取られる。そのため、オーダー型にした。必要な時に必要なものを頼むようにした。例えば、カップ麺が食べられるように電気ポットを20台欲しいとネットワークに伝えると翌日に届いていた。

■支援者の支援

 東北の経験には、災害時に何よりも大切なのがスタッフを休めること、支援者を支援する取り組みが必要と話されていた。

 市民から罵声を浴びせられていた行政マンも、自身が被災者であることが理解されていない。子どもを持つ職員は、子どもを預ける場所がなく困っていた。このような状況では精神的な面も含めて二次災害になってしまう。
 そのため、行政の人間ではないので行政をサポートする役割をした。
 そして、行政頼みには限界がある。自分たちでできることは自分たちで、と呼び掛けている。

 その中で、カーテンで閉めきってシーンとしている閉塞感のある避難所よりも、コーヒーの香りがあり話声が聞こえるところが良いと考えて運営していた避難所があった。小学生が学校から戻ると、あちらこちらからお帰りの声があがっていた。このような感覚は女性の視点で運用したからだと思うと話されていた。

 何よりも災害時にはコミュニティの大切さが分かる、との一言は参考にしたい。そのために、平時から強制的ではないつながりが持てる仕掛け、政策づくりも重要となることを再認識した。

■震災直後の避難所で

 熊本地震での対応調査として、川名は3回に分けて被災地を訪れている。その時にカーテンで閉め切られていた避難所と必要な時は閉めてもいいが、昼間はあけている避難所があり、さらに、コーヒーを飲みながら談笑ができコミュニティスペースを設け、子どもが勉強できるスペースを確保している避難所があったことを思い出した。

 発災直後は避難することが最優先されるが、避難期間が長くなるにつれて、居心地を考えていくことが必要になる。そのさい、どのような避難所が良いのか? 平時に起きることは非常時にも起きる、このことを覚えておき、今回の指摘、提案を今後に活かしたい。

 ちなみに、カーテンを開けている避難所の運営の中心となっていたのは女性だったことも思い出した。女性の視点は重要だ。



  ◆

 藤井さんは、震災を体験した約1200人の女性から得たアンケート調査にたずさわり、その結果も参考にしてほしいと話されていた。
 その内容は、別の機会に。

※写真上から
・熊本地震での被害の様子
・講演中の藤井さん
・カーテンの開け閉めが違っていた避難所の様子

【参考】
熊本地震被災状況視察  益城町1(2016年06月29日)
避難所での参考例  〜熊本地震視察〜 益城町視察2 (2016年06月30日)
甘かった防災計画  熊本地震 大西熊本市長に聞く (1)(2016年07月12日)
甘かった防災計画  熊本地震 大西熊本市長に聞く(2)(2016年07月13日)

あわせて読みたい

「災害」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    エロい胸元 選挙ポスターが物議

    田野幸伸

  2. 2

    浅田真央が3日連続「同伴帰宅」

    女性自身

  3. 3

    尾身氏の述べる感染対策が具体的

    中村ゆきつぐ

  4. 4

    西村大臣 感染対策に努力強調

    BLOGOS しらべる部

  5. 5

    また夜の街と発言 都知事に非難

    女性自身

  6. 6

    日本は中国批判を止め自衛せよ

    日本財団

  7. 7

    独立続出の芸能界 裏に金と圧力

    渡邉裕二

  8. 8

    都知事選 主要候補の政策まとめ

    BLOGOS しらべる部

  9. 9

    感染増加で若者を批判する愚かさ

    文春オンライン

  10. 10

    夜の街巡る上から目線要請に苦言

    ABEMA TIMES

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。