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新型肺炎、帰国者受け入れが勝手に決まった「勝浦市」の怒り


帰国者の滞在先となった「勝浦ホテル三日月」

「まさか、政府がチャーター機まで飛ばしたのに、(帰国邦人の)受入れ先が決まっていないなんて思わなかった」

 1月31日、記者会見で戸惑いを隠さなかったのは、千葉県勝浦市の土屋元市長(71)である。

 全世界で増加する「新型コロナウイルス」による肺炎患者は、またたく間に1万人を超えた。日本政府は、中国・武漢にチャーター機を飛ばし、邦人を次々と帰国させた。

 帰国した邦人を、一時的に滞在させて健康状態を観察するために、最初の受入れ先に選ばれたのは、政府の施設でもない、千葉県の「勝浦ホテル三日月」。この決定は、勝浦市民にとって “寝耳に水” だったという。地元で宿泊業を営む男性は、こう話す。

「テレビで、『勝浦ホテル三日月が、帰国した邦人を一時滞在先として受け入れます』と突然報道されて。驚いて勝浦市役所に行ったら、職員の人も口々に、『聞いてなかった』と言う。

 報道後、宿泊予定のお客様から連絡があって、キャンセルが相次いでいます……」

 勝浦ホテル三日月はホームページで、受け入れの経緯について、こう声明を発表した。

《当社は、本件の受け入れのみならず、これからも地域、日本の繁栄のために邁進していく所存です》

 だが、地元で商売を営む人からは、風評被害を心配する声が次々と聞こえてくる。

「2月初旬に開催予定だったイベントは、中止になりました。2月22日に開幕する、『かつうらビッグひな祭り』の客足も心配ですし、2月は漁獲量の多い時期で、漁業関係者への影響があったらたまりません」(勝浦市商工会関係者)

 そもそもなぜ、帰国者の滞在先が政府の施設ではなく、民間のホテルになったのか。

「首相官邸は当初、帰国者たちを3日ほどで帰宅させるつもりで、高をくくっていた。しかし、帰国者のなかから感染者が出て、状況が変わった。

 ホテル三日月側も、風評被害を懸念してかなり受け入れを渋ったが、再三にわたる政府の要請に、折れざるを得なかったそうだ」(政治部記者)

 勝浦市内の農家の男性(60代)は、本誌記者にこう憤る。 

「あまりにも説明がなさすぎる。県もあとから聞いたというし、従業員も、帰国者が来る4時間前に聞いたそうだ。『ホテル経営陣とべったりの自民党国会議員と県議会議員が、政府と勝手に決めたんだ』と言う人もいた。

 絶対にダメとは言わないが、なんで地元に話を通さず強行するんだ!」

 電器店を営む女性は、「静かに耐えるしかない」とこぼし、こう続けた。

「帰国した方の受け入れが報じられてから、明らかに商店街の人通りが減った。郵便局に行っても、人もまばらで……」

 だがネットには、ホテルの “受け入れ決定” に対して「英断だ」と持ち上げる声が多く投稿された。そこにあるのは、安易な英雄視と、「お国のためだ、我慢せよ」とばかりに、周辺住民の声を封殺する冷酷さだろう。

 勝浦市民のなかには、「心配だが、立派な決断だった」(周辺住民)と、胸を張る人もいたが――。

(週刊FLASH 2020年2月18日号)

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