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- 2012年07月19日 08:16
首相が3代「大嘘つき」 現実がギャグを超えている-松尾貴史インタビュー
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松尾貴史氏(撮影:田野幸伸) 写真一覧
現代社会、政治に対する風刺満載の作品を手がけた、BLOGOS読者でもある松尾貴史氏にお話を伺った。(6月25日取材)【BLOGOS編集部 田野幸伸】
情報は疑ってかかる
――昨年はBLOGOSアワードにお越し頂きました。普段BLOGOSの記事を読んで頂いているということですが、どこで見かけることが多いですか?松尾:livedoorからのメール(メルマガ)が来るじゃないですか?そこにニュースの項目がズラーッと出ていて、クリックするとそのニュースページに飛ぶ。本文とか全文というところを押すとBLOGOSに入っていく。そんな感じですね。あとはTwitterで気になる引用をしている時に、URLを押すとまたBLOGOSだったりとか。そういうことも多いですね。
――普段コメンテーターをされていて、ニュースに触れる機会もすごく多いと思います、朝起きられてどういう順番で情報に接していますか?
松尾:まず起きたら、Twitterをちょっとだけ。前は少なかったのですが、こっちがフォローしているアカウントが900とかになっちゃって。運みたいなものですよ。それをだーっと見て気になったものだけを、ほんとかなあと思いながら見て。そこから新聞受けに新聞を取りに行って、あとはテレビの情報番組とかニュースをぼやっと見る。そういう順番が多いですね。毎日不規則なので、この通りじゃないこともありますが。
――情報番組には、どういうインプットをしてから出演されていますか?
松尾:どっちかと言うと懐疑主義だと思います。大きなメディアが報じているというのと、小規模なメディアで書かれているようなことに先入観を持たないようにはしています。でも、小さい頃からテレビっ子で育っているので、テレビが言っていることには何か理由があると考えています。
「理由が」というのは、事実かどうかは別にして、こういうふうに伝えられているのには何か理由があるんだろうなって。今日も国会の女性記者の人が「民主党の議員の中で離党しようかどうか悩んでいてあがいている模様です」「あがいている」って(苦笑)。
――(苦笑)
松尾:そこまで貶める必要はないだろうって。いや、悩んでいるとかね、迷っている議員もいるでしょうならわかりますが、「あがいている」というのは、あくまでも悪感情というか。
――そうですね。
松尾:わざと貶めようとして使う単語じゃないですか。たぶん原稿通りに読んでいるでしょうから、原稿を書いた段階でそういうバイアスがもうかかっているんだなあという印象を持ってしまった。そうするとその記者の言っていることが、説得力を持たなくなってしまう。
中立でなきゃいけないと思うんです。どんな場でも。小沢が好き嫌いというレベルの話でないと思うんです。どう考えても彼、あるいはそのグループが嫌いという人が書いている文章じゃないですか。そうすると、このニュースに関しては信用出来ないなってなっちゃう。根拠じゃなくて、印象だけなんです。僕は動物的に反応するので、おやおやと思ったんです。
――良い使い方しないですからね、「あがく」という言葉は。
松尾:あがくというのは、足で掻くわけでしょ?あがけあがけということでしょ?これは言葉選びのセンスが悪いのか良いのか。良いとしたらよっぽど悪意を持っているし、悪いとしたらただ日本語が拙いだけ。どっちにしても信用ならないじゃないですか。
造反というのも前から言っています。国民との約束に造反している民主党が、それを守ろうと言った人を造反だというレッテルを貼って処分するというのは。もちろん組織としては当然なのでしょうが。気色の悪い話だと思います。
芸人は不謹慎だからこそ「芸人」
――キッチュニアを拝見させて頂きました。風刺ですとか皮肉というのは昔から世界中で、政治や権力に対してずっとやられてきたと思います。今日特に伺いたいと思っていたのは、どう政情を楽しんで見るのか。皮肉りながら、問題提起をしながらも、どうやったら少しでも政治を面白く見ることができるのかと。松尾:現実の方がギャグを超えているような。
――感じました。
松尾:だってそこまであからさまに嘘をつきますか?ということが平気で行われている。まず、三代の総理大臣がみんな大嘘つきだけど、みんな質が違うんですよね。
――鳩山さん、菅さん、そして野田さん。
松尾:鳩山さんの場合は、単に心をこめた能力不足なんですよ。
――能力不足(苦笑)。
松尾:菅さんの場合は、心ない能力不足なんですよ。
――なるほど。
松尾:野田さんはおためごかしのお役人のための政治。
――そうですね。
松尾:ちょっとずつ質が違うんですが、共通しているのは大嘘つき。
――よく泣く政治家のエピソードがありました。
松尾:あれは多分発想は海江田さんからです。人の命と財産と生活を預かっている、不特定多数の生活や命を守ろうという政治家が、個人的な感情で泣いてしまう。ほんとになんでしょう、あまりにも人格が稚拙でどうしようもないなと思いましたね。
――天気予報が外れて泣きながら謝罪し続けるお天気キャスターの話もありました。あれはコンプライアンスみたいなことをおっしゃりたかったのでしょうか?
松尾:昔はおおらかだったでしょう?たとえば天気予報が外れようが、外れるものだって。天気予報は昔は気象庁がやっていたじゃないですか。お役人が裏を覗いてみると下駄を投げていたという笑い話があるじゃないですか。小咄なんかでも。
それくらいおおらかだったんですよ。阪神タイガースが負けるということと、天気予報が当たらないということはそのことに対して目くじらを立てる人はいなかった。昔からそうではあるけれど、利益を害することがあったり、アメリカのようなギスギスした権利主張をするとか。あるいは、誰それのせい、難癖・苦情・抗議・訴訟というようなところにいってしまう。
気持ちの悪い世の中になった。コンプライアンスは大事でしょうけど、今なんでも行き過ぎていて。もちろん犯罪を犯すのは良くないんだけれど、芸人にあまりにも行儀作法とか道徳を求め過ぎている。不謹慎だからこういう仕事をしているんですよ芸人は。バカな奴だねダメな奴だねというところが無いとね、みんなの憧れの的であってはいけないんですよ。芸人は。
なのに芸人のことを公人呼ばわりするような人まで出てきて、ちょっとどうなんだろうという非常に疑わしいことがいっぱいあって、それを皮肉りたいなという部分があって。
――最近泣いて会見する人も多い。
松尾:会社の社長さんなんかで、泣くことでガス抜きしようという了見もあろうかと思います。本当に心が弱くてそうなっちゃうという人もいるでしょうし、演技でやる人もいるでしょうけど。政治家は涙を流しちゃいけないでしょうね。基本的にはね。




