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<視聴率ビジネスからの脱却>テレ東「青春高校3年C組」が好デビュー

宮室信洋(メディア評論家)

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2020年1月22日にシングル「君のことをまだ何にも知らない」でメジャーデビューしたテレビ東京発のグループ「青春高校3年C組」は、オリコン週間売上ランキング7位にランクインし、2万1428枚を売り上げ、デビュー作として好スタートを切った。


この番組は平日の夕方に生放送し、おぎやはぎら曜日替わり人気芸人MCとポスト指原莉乃として注目されるNGT48の中井りかを副担任として、秋元康と「ゴッドタン」の佐久間宣行プロデューサーがタッグを組んだ、一般学生公募型番組である。

青春高校といえば、演出、三宅優樹はORICON NEWSで興味深いインタビュー(「他局のテレ東化で薄れる『テレビ東京らしさ』、 求められる「次なる王道」とは?」)を行っている。さてここで興味深いのは、青春高校は、「視聴率ビジネス」ではなく「IP(知的財産)ビジネス」だと語られていることである。三宅は、青春高校の担当も、「制作局」ではなく「コンテンツビジネス局」だと言っている。コンテンツビジネス局とは、「番組の二次展開やネット配信をしてお金を稼ぐ部署」と説明される。

IP(知的財産)ビジネスというのも、知的財産、つまりは売ることができる「コンテンツ」のビジネスのことである。視聴率ではなく、番組そのものやあるいは番組から派生したものを売って稼ぐ商売ということである。言ってみれば、自前で稼いでくるとんでもないプロジェクトである。三宅も、青春高校は視聴率は関係ないと言われて驚いている。

[参考]あいみょん「マリーゴールド」が「メダロット2」のパクリではない理由

三宅自身は、通常であれば、プロとして視聴率はとっていかなければならないと考えているが、一方で、視聴率というビジネスモデルは、時代に即していないと説明している。この説明では、ビジネスモデルの話として、IPビジネスの主張の裏返し(IPビジネスこそが新しい今のビジネスモデルであれ)でしかないが、視聴率という指標は実際限界を迎えているとみていい。

インタビューで、テレ東がやるべきだった番組として評価されているテレビ朝日「ポツンと一軒家」も、実はほとんどは50歳代以上の視聴者で構成されている( 現代ビジネス「絶好調のテレビ朝日「視聴率三冠」奪取に向けた難題と危機感」)。昨年2019年で「ポツンと一軒家」の裏番組である宮藤官九郎によるNHK大河ドラマ「いだてん」も、非常に面白いというウェブ上の評判にもかかわらず、驚くほどの低視聴率となっている。

本来多くの高齢者が大河ドラマをみるところではあるが、「ポツンと一軒家」に視聴率を奪われているわけで、その理由が、「いだてん」は2つの時代を行き来するがために高齢者には理解し難いゆえと言われている。超高齢化社会である日本において、高齢者は非常に重要な主体なのではあるが、一方で、高齢者の視聴に偏ることで成否が分かれるという状況にも不満は募る。

青春高校は、内容は言うに及ばず、視聴率という指標に風穴を開けんとする番組の形態としても挑戦的な、期待が集まる番組なのである。現在はわかりやすく、青春高校は様々な部活動として、女子アイドル部、男子アイドル部、ダンスボーカル部、軽音部に分かれ音楽活動を行うことで、1つのコンテンツを産み出している。LINELIVEと提携し、全世界に同時放送をしているのもその一環である。テレビ東京「乃木坂工事中」後の5分間番組(日曜24:30-24:35)で、今全局でトップの勢いと言っても過言でなさそうなテレ東女子アナとコラボする番組「電脳トークTV~相内さん、青春しましょ~」を行っているのも見逃せない要素である。

今回の「君のことをまだ何にも知らない」の初週売り上げ枚数2万1428枚は、1日の握手会という設定ながら、よりよい時間帯で放送されていた同じく秋元康がプロデュースするテレビ朝日「ラストアイドル」のメジャーデビューシングル「バンドワゴン」の初週売上枚数4万2638枚には及ばないものの、現在絶好調である指原莉乃プロデュース=LOVE(イコールラブ)のメジャーデビューシングル 「=LOVE」初週売上枚数1万8746枚よりは多い枚数であった。

以上のように、様々に展開しうるポテンシャルを秘めている青春高校は今後のエンターテインメント界において期待できるコンテンツなのだ。

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