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なぜ歩み寄ることができないのか…日本の「リベラル」と「保守」の課題とは

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「リベラルの奴らって批判ばかり」「理想論ばかり。答えが出せない」「自分たちが正しいと思い込みすぎ」「本来なら寛容なはずなのに、自分たちが攻撃されると猛烈に反論するよね」。ネット上に溢れる、いわゆる「リベラル」への批判的な意見。書店にも、『日本をダメにするリベラルの正体』『リベラルという病』など、リベラル派の問題点や危機を指摘する書籍が数多く並ぶ。

 2015年、国会前に最大10万人以上もの賛同者が集まった安保関連法案への抗議デモでは、「SEALDs」の学生たちによる「リベラルの結集を!」という呼びかけが、大きなうねりが生まれたかのように見えたが…。1月31日のAbemaTV『AbemaPrime』では、『なぜリベラルは敗け続けるのか』の著者で専修大学教授の岡田憲治教授、『「リベラル」という病 奇怪すぎる日本型反知性主義』の著者で大和大学講師の岩田温氏を交え、日本の「リベラル」、そして「保守」の現在と課題について議論した。

■「Twitter上の「リベラル」は“マジ怖い人”」


岡田:本当は90分の講義を15回かけてやるような話なのだが(笑)、まず、価値としての「リベラル」の話と、自称・他称「リベラル」の人たちの物事の進め方の話は区別しなければいけない。そうしないと、変なレッテルを貼るだけで理解が深まらないことになってしまい、もったいない。私は著書で“やり方がまずい”という書いているだけで、タイトルも自虐ではなく、応援だ。

大切なのは、リベラリズムにはヨーロッパの文脈とアメリカの文脈があり、日本に影響を与えているのはアメリカの文脈だということ。総じて言えば、LGBTや受刑者の権利の問題、家族のあり方など、新しい社会的価値に対して寛容であること、あるいは世の中には多様な人間がいる以上、皆が生きやすい世界を作らなければいけないと考えること、それがリベラルの一つの目線だ。それに対し、積み重ねてきた伝統の中で人間の人格が形成され、歴史は作られるから、桎梏だとしてもそれを軽視するべきではないというのが保守の立場だ。この最大公約数的な話で大きく分かれる。その一方で、人は失敗し得るものであって、「”セカンドチャンス”はない、一度失敗したら終わり」「自己責任だ」、ではなく、みんなでネットワークを作り、フォローしなければ、という経済的な側面については、そこまで大きく二分されるものではないと思う。


岩田:その点は保守だってそうだと思うし、私もリベラルそのものは否定していない。

私の著書のタイトルは、「リベラル」と括弧で括っているのがミソ。つまり、“特殊なリベラル”という意味が込められている。オバマ元大統領も推奨している『リベラリズムはなぜ失敗したのか』(パトリック・J・デニーン)という、すごく面白い本があるが、そこではリベラリズムについて『リヴァイアサン』でトマス・ホッブズが想定した“自然状態”に近付けようとしていると指摘している。そしてリベラルの最大点の問題点は、文化や伝統をバカにする傾向が強いということだ。例えば去年、天皇陛下の肖像を燃やすような作品を「芸術」の名の下に肯定した問題があった。確かにそれは違法行為ではないが、常識的に考えて人様の写真を焼く、国民の象徴を焼くなどということはやめた方がいい、という判断があっていいはずだ。やはり法は信じても、伝統や秩序、慣習を軽視する思想が非常に色濃く残っていると思うし、それを捨ててしまえば、リベラルはかなり多くの人から反対されることになると思う。

私の立場は伝統や慣習を大事にしながら個人の自由を大事にしていこうと考えている「リベラル=コンサバティブ(保守)」であって、いわばどちらでもない。水と油みたいだが、結局、政治というものは中庸をいかなくてはならず、極端に偏ったものであってはならないわけで、リベラルな政策が必要な時にはリベラルを、コンサバティブな政策が必要なときはコンサバティブを、ということだ。自分をどっちかだと決めつけて、そうでないものは全て間違っている考えるのは愚かだ。


宇佐美典也(元経産官僚):しかし、その岩田さんの考えそのものが保守の考え方だとも言えると思う。

元官僚として、リベラルと保守をあえて政策へのアプローチの面で考えてみると、リベラルは大きな理想から具体論まで論理を作って政策を作り上げていく。それに対して保守は物事を機能的に考え、“目の前にあるものについて、今はこれがうまくいってるから、これをやろう”と政策を作り上げていく。僕はそれまでの制度の“ちゃぶ台返し”をしたジョン・ロックに感銘を受けたが、官僚をやっていたこともあって、骨の髄まで、この“保守”の考え方が身についてしまっていて、どうしても見える範囲での最善のアプローチを選ぼうとしてしまう。だけどそういう発想ばかりでは、全てが“昨日の明日”、で物事が決まっていってしまう。その意味で、“そもそもがおかしいんだから、ちゃぶ台返ししようぜ”というリベラルがいて、骨太の理論を作って頑張ってくれないと、この社会の根本的な問題は解決されない。革命を期待しているという話ではなく、それによって均衡しながら世の中が良くなっていくと思っている。だけど、こういうことをツイートすると“自称リベラル”に怒られてしまうから、僕の中でTwitter上のリベラルは“マジ怖い人”(笑)。


ハヤカワ五味(株式会社ウツワ代表):私は自分でも稼いでいるし、家父長制には従えないとも思っている。ただ、フェミニズムの中にも意見の幅はあるし、リバタリアンみたいな部分も含めて、リベラルは保守に比べて“どこに向かうのか”ということについての解釈が人によって異なっていることが多い気がする。それがリベラルをまとまりにくくしている要因なのではないかと。それこそ多様性が増えてしまうことで、なかなか意見も主張しづらくなってしまうのではないか。

岩田:実は保守だって、何を守るかはそれぞれによって違っていて、多様性がある。

岡田:どの立場、どの看板だろうと、「あなたが一番守りたいものは何か」「あなたが一番擁護したい価値は何か」について話せば、そんなにバラバラにはならないと思う。

例えばリベラル批判をする人が「あなたはその批判によって何を守りたいのか」と尋ねられた時に、それを明確に答えられるならいい。なぜなら、実は違う言葉を使っているだけで、実は同じことを主張しているのではいか、と議論が開かれていく可能性があるからだ。やはり人間は失敗するし、負けるものであって、その時に「何をやっても、もう無駄だ」という気持ちにさせないようにすることは大事だし、そこに保守もリベラルもない。

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