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子どもへの性加害は「平均週2~3回」小児性犯罪者のすさまじい実態 大森榎本クリニック・斉藤章佳(あきよし)さんインタビュー - 「文春オンライン」編集部

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「そりゃセックスもしましたよ。恋人同士ですもん。それを周りの人たちが、ぶち壊したんです。私がロリコンで、Yちゃんは被害者だといって引き離したんです。

 私はそんな人達によって犯罪者にさせられました。おかしいのはどっちだっていいたいです……」

 これは、12歳の少女に性加害をした49歳の男性の言葉である。

 2018年、依存症治療や性犯罪再犯防止の治療プログラムのパイオニア的存在として知られる「榎本クリニック(東京都・豊島区)」が、世界的にも珍しい小児性愛障害(ペドフィリア)専門の治療グループを立ち上げた。同治療グループには現在15名ほど、累計で150名以上の対象者が参加し、治療を受けたという。冒頭の発言をした男性も、このプログラムの元参加者だ。

 児童に性加害行為を繰り返す「小児性犯罪者」とはどんな人たちなのか。小児性犯罪者はなぜ加害行為を繰り返すのか。ペドフィリアの治療は可能なのか。「榎本クリニック」で小児性犯罪の治療に取り組んでおり、『「小児性愛」という病――それは、愛ではない』(ブックマン社)を上梓した大森榎本クリニック精神保健福祉部長の斉藤章佳(あきよし)さんに話を伺った。


斉藤章佳さん

――著書の紹介で、小児性犯罪者は「決して性欲が抑えられないモンスターではありません」「彼らも私達と変わらない、同じ“人間”だと考えるに至りました」と書かれていたのが印象的でした。実際の小児性犯罪者はどんな人たちでしょう。

斉藤章佳さん(以下、斉藤) 見た目はいたって普通の人、という印象の人が多いです。加害者間の共通点があまりない、言い換えれば非常に個別性が高いので、「共通の特徴がないことが特徴」なのだと思います。

 たとえば、痴漢や盗撮加害者のデータ分析をすると、一番多い層は四大卒で妻子がいるサラリーマンです。一方、ペドフィリアの人たちの学歴を見ると、中卒高卒が半分くらい。高学歴なタイプもいて、けっこう幅があります。

 しいて特徴を言うなれば、初診時の職種が、教職員や指導者など、子どもと日常的に接する仕事の人が全体の約3割であること。全人口に占める教職員や指導者の割合より、間違いなく高いと思います。

――成育歴には、何か特徴はありますか。

斉藤「性虐待の被害に遭ったことがある人が多いのでは」と聞かれることもあるのですが、そうでもありません。どちらかというと、同世代女性との関係の中での挫折体験を一方的に持っている人のほうが多いように思います。

 成長過程での同世代女性からの拒絶体験だとか、実際には拒絶されたことはないんだけれども、ネットの言説に影響され、自分には同世代の女性と交際する資格がないと思いこんでいるとか。この本を出版した際、SNS上では当事者と思われる人からのネガティブな反響もあったのですが、中には『成人女性に相手にされていない僕たちから、児童を性愛の対象とすることさえ奪うのか!』というような意味合いのものもありました。

 あとは、学生時代にいじめ被害に遭った人が有意に多いということも分かっています。

――具体的には何パーセント?

斉藤 50パーセントを超えます。加害者は男性が多いこともあって、男性間のいじめ被害に遭っている人が多いです。女子生徒の前でズボンを脱がされる、マスターベーションを無理やりやらされるなど、性的ないじめを含む同性間のいじめを経験している人の割合が、他の性犯罪の加害者に比べて圧倒的に多いな、という印象があります。

自発的に治療に来る人はまずいない

――参加者は、どのようにしてこのグループに来るのですか。

斉藤 ほぼ全員、逮捕がきっかけです。稀に出所後に来る人もいます。基本的に、当事者は「性加害を繰り返したい。子どもとセックスしたい」と考えているので、性加害をする前に自発的に治療に来る人はまずいません。そもそも自らの行動を“性加害”と捉えていない人も多く、それもまた問題なんですけれども……。

――自らの行動を“性加害”と捉えていないとは、どういうことでしょう。

斉藤 日本では刑法上、13歳未満の子どもとの性交は、同意の有無に関わらず犯罪です。小児性犯罪者も、子どもとの性的接触が犯罪になることは分かっています。それでも、子どもと性交渉がしたい。では、どうするか。彼らは、自分にとって都合のいい現実の捉え方で、子どもへ性加害したいという欲求を正当化しようとするんですね。

 こうした「問題行動を継続するための、本人にとって都合のいい認知の枠組み」を「認知のゆがみ」と呼びます。

 小児性犯罪者には多種多様な認知のゆがみが見られるのですが、よく見られるのは、「愛し合っているので、セックスすることは当然だ」「いずれ経験することを教えてあげているのだから、これは『性教育』だ」「セックスしたい子どもだっている」「子どものほうが誘ってきた」あたりでしょうか。

――なるほど。そう思い込んでしまえば、罪悪感なく加害できてしまう。

斉藤 似たような認知のゆがみは性犯罪者全般に見られるものなのですが、小児性犯罪者特有だと感じるのは「飼育欲」ですね。

――「飼育欲」、耳慣れない言葉です。

斉藤 彼らの言葉を借りると、小学校の校庭のウサギ小屋でウサギを飼ったりしますよね。子どもに対して、あのウサギのようなイメージを抱くらしいんです。ものすごく弱いペット、対象の生殺与奪を自分が握っているという感覚。もう一つ、小児性犯罪者特有の言説で「騒がれたら、殺してしまえばいいと思った」というものがあるのですが、この考え方も、この感覚と密接に関わっているようです。

事件化されない「暗数」は加害者1人あたり約1000回

――逮捕をきっかけに来所するということは、それまで捕まらずに加害をしていたケースもある、ということでしょうか。

斉藤 むしろ、子どもに対する性的加害で、事件化するのは氷山の一角と捉えるべきです。強制性交等罪にあたる口腔性交や肛門性交、膣内性交のほか、比較的接触率が低い部類の加害であるズボンを脱がせて写真を撮る、下着に手を入れる、すれ違いざまに触る、露出するといった行動も含めて「子どもへの性的接触」とし、プログラムの参加者にその頻度を聞いたところ、平均週2~3回やっていた、という結果が出ました。

 初めての加害行為から、うちのクリニックにつながる平均期間って、痴漢だと8年、盗撮だと7.2年なんですよ。しかし、ペドフィリアの場合は平均14年で、治療につながるまで一番長くかかります。週2~3回を14年間続けると、犯罪として認知されなかった「暗数」が、1人あたり1000回は越える計算になりますね。

――すさまじい数です。

斉藤 成人に比べ、声を上げにくい子どもを狙っているため、他の性犯罪に比べても長い期間捕まらずに加害を繰り返す傾向があります。

 あまり知られていないのですが、男の子が被害に遭うことも多いです。というのも、男の子は女の子よりも保護者に「気をつけなさい」と言われることが少なくて、警戒心が薄い。さらに、幼稚園の年長や小学校低学年くらいの男の子は、遊びの中で性器を比べたりするような子たちが多いので、加害者からしてみれば、ズボンを脱がせて写真を撮ったり、というようなことを騒がれずにできる。

――警戒されない、騒がれない子どもを狙って接触している側面もあるのですね。

斉藤 そうなんです。本当は女の子を狙いたいのだけれども、女の子のほうがリスクが高いので、仕方なく男の子を狙っていた、と話していた人もいます。

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