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「能力の足りない指導者は辞めてくれ」 新型肺炎で中国人記者がSNSに異例の投稿 - 「週刊文春」編集部

 中国湖北省武漢市の海鮮市場から始まった新型コロナウイルス。世界保健機関(WHO)は「2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)より致死率は低い」と緊急事態宣言を見送ったが、交通網の発達や富裕層の増加で中国人の行動範囲は広がり、感染スピードはむしろSARS以上との指摘もある。

 武漢市政府は1月23日未明、鉄道駅や空港を閉鎖、地下鉄などの運行を停止する異例の措置を発表した。午前10時からの実施後、駅に駆け込んだものの警察に阻まれる人が続出。市によると、500万人は市外に出たが900万人は市内にとどまった。その後、封鎖範囲は湖北省全体に広がり、イタリア一国に匹敵する約6000万人の移動が制限される状況になっている。

 武漢市では緊急車両以外の車の通行も禁止され、一般市民は完全に足を失った。市政府は食料や薬を調達する市民のため、無料で使えるタクシー6000台を用意し地区ごとに振り分けたが、これとて行き先は指定のスーパーや薬局までだ。市はおろか、自分が暮らす地区からも出られない軟禁状態に、市民は「絶望的な気分になる」(飲食店経営の62歳男性)と嘆く。

 武漢では「火神山」「雷神山」と名付けた専門病院の建設もスタート。それぞれ10日ほどで完成し、計2000床分を確保するという。


急ピッチで専門病院を建設 ©新華社/共同通信イメージズ

市民をあきれさせた著名人を招いた祝賀会

 中国以外ではとても真似できない強権発動を、WHOは「驚くべき決断」と評価。確かに感染予防の観点からは思いきりの良い措置と言える。だが、地元政府に対する市民の視線は冷たい。不便を強いられたからではなく、発生時の政府がひたすら隠蔽工作を図ったことを知っているからだ。

 武漢市当局は1月11日に新型コロナウイルスが検出されたことを発表したが、その後も「ヒトからヒトへの感染はない」と繰り返し、医者が「感染者が増えている」と訴えても無視し続けた。市や省の重要会議が続いた時期で、影響を恐れたとみられる。

 さらに21日には湖北省が著名人を招いて春節(旧正月)祝賀会を開き、市民をあきれさせた。普段、言論が厳しく制限される中国だが、地元紙の幹部記者が「能力の足りない指導者は辞めてくれ」とSNSに投稿。さすがに削除されたが、市民がこれに続き、ネット管理当局の対応が間に合わない状況だ。

「防止にあらゆる手を尽くせ」と習近平国家主席が指示したのは20日。その翌日に宴会では、危機感のなさは隠しようもない。幹部の処分は必至とみられ、省ナンバー2の王暁東省長は26日、「罪悪感と責任を感じている」と謝罪に追い込まれた。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年2月6日号)

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