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ナイキ厚底規制、巨大な宣伝効果でエア・ジョーダンの再来?

「MGC」の上位3人はもちろん厚底だった(右から中村匠吾、大迫傑、服部勇馬。写真/共同通信社)

厚底は市民ランナーからも人気(写真/共同通信社)

 東京五輪開幕まで半年を切るタイミングで突如、浮上したナイキの“厚底”シューズ、『ヴェイパーフライ』シリーズの規制問題。新記録連発でマラソン界を席巻してきた“魔法の靴”が禁止となれば、影響は甚大である。

【写真】中村匠吾、服部勇馬のサイン入り厚底

 もちろん、売上高約4兆円を誇るナイキにとっても大問題のはずだが、実は今回の規制騒動がナイキにとってプラスに働くという見方も存在する。

 ロイター通信(1月17日付)は、市場調査会社エヌピーディー・グループのスポーツ業界アドバイザーであるマット・パウエル氏の「規制すべきかの議論が起きたことで、逆にナイキの売り上げは増加する」との見方を報じている。その理由を同氏は、仮に競技での使用が規制されたとしても、「アマチュアランナーはこのシューズで走れるからだ」とした。

 スポーツライターの酒井政人氏もこうみている。

「そもそも世界陸連が現行モデルを規制できるか疑問ですが、何らかの規制をするにしても世界陸連に登録されたトップアスリートが対象。市民マラソンに参加する一般ランナーには関係ない。3万人が参加するようなレースもあるわけで、全員のシューズをチェックするのは不可能でしょう」

 となれば、騒動がむしろ巨大な“宣伝効果”を持つ可能性すらある。歴史を振り返っても、ナイキはこうした逆境をビッグビジネスに変えてきた。

 1980年代にNBAデビューしたマイケル・ジョーダンと契約したナイキは、『エア・ジョーダン1』を開発。ところが、NBAは「赤と黒のデザインが規定違反」だとして着用を禁止し、履いた場合は毎試合、罰金を科すとした。

 しかし、ナイキはそれを逆手にとり、罰金を肩代わりしてジョーダンに毎試合履かせたとされ、さらにCMで「NBAは君たちが(エア・ジョーダンを)履くことは禁じられない」と宣伝し、世界的な超大ヒット商品を生んだのだ。

 今回の厚底規制騒動も「世界陸連が使用禁止にするほど速く走れる靴」という印象を世界に拡散している側面もある。

 誰が本当の勝者になるのか。一筋縄ではいかない騒動はまだ続きそうだ。

※週刊ポスト2020年2月7日号

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