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- 2020年02月06日 10:39
「不登校だった私を救ってくれたのはシムシティ」香川県のゲーム依存症条例案に倉持由香が物申す
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夫はプロゲーマーなので夫婦でのお仕事はゲーム関係がメインなのですが、最近なんだかゲームに対する風当たりが強いですね……。
12月、1月とAbemaTVのニュース番組「AbemaPrime」に出演させていただいたのですが、未成年者をオンラインゲームのチャット機能を使って誘い出す事件の特集で。そもそも、「オンラインゲームは悪なのか」という形で特集が組まれること自体がすごく悲しいのです。
出会いのツールは時代で変わるもので、昔は雑誌に「ペンフレンド募集」のコーナーがあって、思いっきり自宅の住所を公開していましたよね。
そこからメール、出会い系サイト、mixi、モバゲー、Facebook、LINE、Twitter、Instagram、マッチングアプリ、、と人々が交流するツールは時代と共に選択肢が増えていって、今はオンラインゲームが面白くて爆発的に流行っているから、それを利用して出会うことが多いだけなのではないでしょうか。
連絡手段にはメールも電話もLINEもありますけど、悪用する人の問題であってツール自体の問題ではないんですよね。
もしも包丁を使った事件が起きても、「包丁を規制しろ!」とはなりませんよね? 包丁を普通に料理用として使っている人たちからしたらいい迷惑です。それがゲームだったら規制していいっていうのはおかしいです。
「ゲームは1日1時間」香川県が条例化!?

インターネットやオンラインゲームなどの過度な使用が社会問題となる中、香川県は10日、全国初となる「ネット・ゲーム依存症対策条例」(仮称)の制定に向け、オンラインゲームの使用時間制限を具体化した素案を明らかにした。使用時間の上限は18歳未満で1日60分、土日や祝日、長期休暇を含めた休日は90分とした。ただ、罰則規定などはないため、実効性は不透明だ。- 日本経済新聞私が子どものころから、ハドソン・高橋名人の「ゲームは1日1時間」という言葉が浸透していて、親に「1時間までよ」と言われたりしましたけど「あと5分! まだセーブしてないから。セーブできるところまで行ってないから!」みたいな感じで5分でも10分でも長くやろうと抵抗してました(笑)。
規制されたら必ず反動は来るもので、大人になって1日中ゲームをやっている方とか、レトロゲームを部屋中にコレクションしている方の話を聞いたりすると、小・中学校の時に、親が厳しくて買ってもらえなかったから、その反動で大人になって時間とお金を自由に使えるようになったら一気にプレイするようになったって言う方が多いんですよね。
禁止されたことほど、人ってやりたくなるじゃないですか。だからこの条例は逆効果になっちゃう気もします。
そもそも規制の対象を「オンラインゲーム」と一括りにしていますけど、オンラインゲームにどんなジャンルがあるのか、条例を決めている香川県の方々は果たして分かっているのでしょうか。
また、配信サイトを利用した「ゲーム実況」でオンライン機能のないレトロゲームなどを生放送するのは条例を作っている方々からしたらどういう位置づけになるのか気になります。ゲーム自体はオンラインではないですが、ここにも規制は入るのでしょうか。
もしも香川名物であるうどんが、因果関係が不透明な理由で「1日1玉まで。休日は2玉まで」と規制されてしまったら、うどん屋さんも県民もとても悲しんでしまうと思うのです。
今回のことでゲーム会社や香川県のゲームショップは「今後売り上げが下がるのかなあ…お給料減っちゃうかなあ…」と不安になってしまったかもしれません。ゲームに関わる方々の生活には影響が出てしまいます。
ゲームに限らず、色んな方々が関わっているものを規制するのには、相当な理由とみんなが納得する説得材料が必要なんです。
有名な高橋名人の「ゲームは1日1時間」という言葉には続きがあって、
「ゲームは1日1時間。外で遊ぼう元気良く。僕らの仕事はもちろん勉強。成績上がればゲームも楽しい。僕らは未来の社会人」
という標語だったんだそうです。
「ゲームは1日1時間」というフレーズだけが流行ってしまったから「ほら、高橋名人だってゲームは時間決めてプレイするべきだって言ってるよ」という切り取られ方をしてしまっていますが、高橋名人はゲームだけでなく色々なことをして視野を広げよう、たくさんの経験をしよう、ということが言いたかったのではないでしょうか。
eスポーツに理解がなさすぎる大人たち

野球部が帰宅してから家の庭で素振りをするのは「熱心だ! 頑張ってるね!」と褒められて、eスポーツ部がゲーミングPCを起動してチーム練習するのは「良くない! 1時間までだぞ!」と規制されるなんて差別ですよ。
そんなことしてたらネット・ゲーム依存症対策条例を定めようとしている香川県からは優秀なゲームクリエイターやプロゲーマーが輩出されにくくなると思いますし、今の時点でそういった職業を目指している子どもたちの夢を奪うことに繋がってしまうと思います。
世界でのeスポーツブームは凄まじく、10代の若者が何億円もの賞金を稼いだりしています。日本は遅れ気味でしたが、ようやく地方自治体がeスポーツでの町おこし企画をしたり、気合の入った大会施設を作ったり、NTT東日本さんなどが新会社「NTTe-sports」を設立したりと世界に追いつこうとしているのです。
香川県と同じ四国、高知県のゆるキャラ「しんじょう君」はeスポーツを使って県を盛り上げる活動をしています。イベントも大盛況、YouTubeで頻繁に載せている攻略動画も大人気です。ストリートファイターVがとても上手なカワウソで、私もイベントで対戦しましたが、確実に1日1時間以上練習しているだろうな……と肌で感じました。
しんじょう君の成功を受けて、他の県でもゆるキャラがeスポーツに関わることが増えてきており、ゲームを使って話題を生んでいる流れの中で香川県がこういった条例を作ると決めたのは、どうしてなのだろう? 状況を知っていてあえてなのか? と気になります。
引きこもりにも居場所は必要

私は小学5年生ごろから不登校になってしまい、家族ともろくに会話をせず毎日「シムシティ」をずっと朝までやっていたので、もしかしたらゲーム依存症だったのかもしれません。ゲームしか日々の楽しみがなかったのです。
ゲームがあることでなんとか精神状態を保てている子もいるだろうし、そういう子からゲームを奪ってしまったら一体どうなってしまうんだろう?
世の中の全員が全員、学校やアクティブな場所に居場所があるのが正しいという価値観を無理やり押し付けるのではなくて、色々な人がいてもいいんだなと認め合える時代になったら良いですね。
私自身、ゲームがあったおかげで不登校・引きこもりから脱出できました。ゲームで知り合った友達と交流して、お仕事も始めて、ゲームで夫と出会い、結婚して、家を買って結婚式を挙げて。私の人生を救ってくれたのは間違いなくゲームです。
何かしら夢中になれるものがある人生は、キラキラ輝いて素晴らしいもの。それが実際のスポーツでもeスポーツでも、素晴らしいことに変わりありません。
今、小学生のなりたい職業ランキングではYouTuberに続いてeスポーツ選手やゲーム実況者が上位にランクインしてきています。
「eスポーツ」という単語に対して『何がスポーツだ!! ただのゲームのくせにスポーツを名乗るな!!!』と否定する方もいますが、ランキングにも入っているくらい未来の日本を担う子どもたちの憧れの職業なんだから、大人たちも考え方を柔軟にして『なるほど、「eスポーツ」という新しいジャンルなんだな〜』と受け入れて欲しいですね。
野球選手やサッカー選手になりたい子は練習が応援されて、eスポーツ選手になりたい子は「オンラインゲームだから」と練習時間が規制されるなんて、悲しいです。
「オンラインゲーム」という単語がYahoo!ニュースのトップに出る時は大体悲しい話題が多いので、さらに世間のゲームに対する印象が悪くなっていくループに入っている気がします。そうならないようにオンラインゲームがきっかけで引きこもりから脱却したとか、友達がたくさんできたとか、結婚したとか、前向きな話題の情報発信がゲーム業界にはもっと必要なのかもしれません。
ただ、今回のオンラインゲーム規制条例が大きく話題になることで、私も含め世間が「長時間ゲームをプレイすることはいけないことなのか?」「1日1時間なら依存症にならないのか?」と考える良いきっかけにはなった気がしますね。
「eスポーツって素晴らしいよ! ゲームって楽しいよ! 」ということを大人にも子どもにも伝える活動を、2020年もたくさん夫婦でしていければと思います。ご依頼お待ちしております!
- 倉持由香
- グラビアアイドル|100cmヒップの尻職人
1991年11月6日生まれ、千葉県出身。血液型B型・サイズT167 B84 W58 H100。
グラビア好きなグラドルがSNSに自画撮りを載せていく「#グラドル自画撮り部」部長。
グラビア好きなグラドルがSNSに自画撮りを載せていく「#グラドル自画撮り部」部長。