- 2020年01月28日 11:31
需要巡る憶測に振り回される原油相場
原油相場は5営業日続落で、年初の高値からは既に$10/bbl余り下げて昨年10月以来の安値域となっています。
1月27日の NYMEX WTI 原油先物の終値は前日比$1.05安の$53.14/bblで、引け後の時間外取引は$52/bbl台後半です。
先週の戻りのサイクルで$60/bblが抵抗線となった後、中国のコロナウイルス感染拡大による需要減退懸念が市場参加者の心理に重くのしかかっています。
昨年暮れには米中協議の第1段階合意を受けて WTI 相場が$60/bblを越え、中東情勢の緊張もあって年初の高値は$64/bbl台に達しました。米中貿易戦争による需要減退の憶測は一昨年以来原油相場の重石となってきましたが、昨年末からの動きは一転して買われ過ぎの印象を与えました。足下の軟調はその行き過ぎに対する反動の性格もあるのでしょう。
ここまでの流れは概ね需要を巡る憶測が市場を支配しており、中東情勢についても現実の供給不安を招く可能性の低い米国とイランとの対立は相場を押し上げる一方、実際に発生したリビアの大幅な供給障害は無視されています。
現在の相場は売られ過ぎの状況と考えられますが、相場の勢いに抗することは困難なため$50/bblの節目で支え切れるのかは分かりません。とはいえ、過去の値動きでは WTI の$40/bbl台は大幅な供給過剰を背景としたものであり、均衡からやや余剰という当面の需給バランス見通しに適合するものとも思えません。
コロナウイルスの感染拡大で全世界が破滅的な危機に陥るのであれば、話は変わるのでしょうが。
ただ、通常の季節性のインフルエンザにより直接・間接的に全世界で毎年30~60万人が死亡していると推定されますが、それが原油相場を圧迫することはありませんね。
感染封じ込めのための経済活動縮小がいつまで続くのかが問題とはいえ、感染症流行には季節性があることもいずれ市場の心理を鎮静化させると思われます。
2020/1/27
NYMEX WTI Mar: $53.14/bbl ( -1.05 )
20日移動平均: $57.95 ( -0.51 )
ボリンジャーバンド
+2σ: $63.43 / -2σ: $52.46
幅: $10.97 ( +1.26 ) / 100日平均: $6.17
ボラティリティ
25.58 ( -0.22 ) / 100日平均: 32.94