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教員も学生もあきらめムード…日本の大学は「“大卒”資格を得るためだけ」?

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 また、田原さんのような意見に対し、東京農工大学4年生の廣山晃也さんは「高校までは先生に言われるがまま、受け身で勉強しているだけでよかった。しかし大学は何をやっても自由。その中で自分から先回りして考え、仕掛けていく中で、“使える人材”になっていくと思う」と話す。「大学生という身分を得ることで、いろんなことに挑戦できる。学生だからこそ経営者に会ったり、インターンさせてもらったりすることもできる。そういう考え方もありではないか。ただ、今の大学は学問としてやることと、就職して社会に出てやることが直結しないところがある。時代の波に大学が合わせていくことも大切ではないか」。


 「芸人になりたかったので、大学に行こうとは全く思わなかった」。そう話すのがインパルスの板倉俊之だ。それでも板倉は、日本社会で大学を出ていることの意味を実感することがあるのだという。

 「この歳になると、大学に行ってないというだけで、言い方は良くないが舐められる。例えばどぎつい下ネタを言った時、“ほら高卒だ”と言われる。仮に僕がハーバード大学を出ていたとしたら、見方はちょっと変わるのではないか。高校の段階でやりたいことを確定していて、そのために大学へ行く必要がないのなら行かなくてもいいと思っていた。だけど回り道をしてでも“大学を出ている”という、いわば国家資格みたいなものを取ることにも意味はあると思う。あるバンドのメンバーが、“バカがやってると思われるのが嫌だから東大に行ってからバンドを始めた”と話しているのを聴いて、めちゃめちゃかっこいいと思った」。


 慶應大特任の若新雄純准教授は「入試制度と、企業がどういう人材を求めているか、ということが紐付いている。日本の大学の場合、入るまでの勉強も含めて、誰とも会話しなくてもできる内容だ。そして日本企業も、決められた時間に言われた通りに黙々とやれる能力ばかりを評価してきたのではないだろうか。一方、欧米の大学は黙っていてはダメで、議論しないといけないからこそ大変だ。ただ、日本でも学び、疑問を持ち、探求する。そして研究分野を深めていくという能力について、今は少しずつ見直されてはきている」とコメント。


 ジャーナリストの佐々木俊尚氏「数年前、“G大学(グローバル大学)とL大学(ローカル大学)”という議論があった。つまり旧帝大のようなエリート養成のための大学と、職業訓練校、専門学校的な大学に分けた方がいいのではないかという意見だ。これは大学人から猛反発を食らってしまったが、実際には多くの大学がL大学的になっていると思いう。そして設備にかなりの投資している割には、講師にお金をかけていない。非常勤講師の場合、授業の準備の時間も考慮に入れれば、マクドナルドで働いた方がいいのではないかと思えるほど安いのに、そのような状況がずっと放置されている。また、専門的な学びは働きながらOJTでもいいし、専門学校でもいい。一方、特にリベラルアーツ的な教養や世界観を学べるのが大学のキャンパスの価値だったと思う。それが提供できている大学が今の日本に一体どのくらいあるのだろうか。このままなら、日本の大学は無くてもいいのではないかと思ってしまうくらいだ」と話す。

 「企業側の学歴の扱いも問題だ。“大卒”がある種の資格みたいになってしまっていて、学んだことが重視されない。日本では下手すると院卒のほうが不利になる状況すらあるが、中国やアメリカでは大学院で人工知能の研究をした若者なら初任給1000万、1500万という世界だ。こうした企業の姿勢も変わらなければ、大学のあり方も変わらない」。


 ふかわりょうは「私の時代は受験戦争、そして就職氷河期だった。“企業に入るためにはいい大学”という考え方が刷り込まれていた。しかし、それは過去のものになればいいと思う。そして、大学のキャンパスは高校卒業後すぐに行く人たちだけの場所ではなく、誰もがいつでも、何歳になっても学べる場所になるべきだ」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:学歴社会は健在!? 大学はもう必要ない?

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