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ビジネスマン・本田圭佑が東京五輪OA枠にナゼか熱望される理由 - 新田日明 (スポーツライター)

行きつく場所はどこになるのだろうか。サッカー元日本代表MF本田圭佑のことである。ブラジル・リオデジャネイロを拠点とする同国1部の古豪ボタフォゴFRからオファーを受けていることが判明。まずブラジルの現地報道で伝えられ、その事実を本田も公の場で認めた。そしてボタフォゴのアルベルト・ヴァレンチン監督もチーム監督会見の場で「確かにチームは本田にオファーをした」と明言。その上で「本田はクォリティーの高い選手であり、経験もあって年齢的にも終わっていない。仮に実現すれば疑いようもなく良い補強だ」などとラブコールを送る33歳のMFを激賞した。

チームは今冬、主力のMFジョアン・パウロが米MLS(メジャーリーグサッカー)のシアトル・サウンダーズへ移籍することがほぼ決まっており、それに伴う補強策として本田に白羽の矢が立てられている。

ただ、本田とボタフォゴは交渉中の段階。契約締結が秒読みとなっているわけではなさそうだ。それでもブラジルでは大手放送局「Rede・Globo」や「FOXスポーツ・ブラジル」などが本田を相次いで特集。各メディアは「ボタフォゴ・本田」の誕生の可能性を比較的高いと踏んでいるようである。

本田側も代理人を務める実兄が次の移籍先との折り合いをつけるため、年俸を含めた条件を下げ始めていると伝えられている。しかもボタフォゴにとって美味しいのは本田の移籍金が「ゼロ」であることだ。そうなれば相思相愛とも思えるが、本田の希望はあくまでも欧州でのプレー。

しかしながら現状は厳しい。これまで再三に渡ってネット上を賑わせた現地メディア発の〝エアオファー〟もかなり多いことから水面下で実際のところ、どの程度のクラブとまともに接触できているかは不透明だ。そんな厳しい状況下に置かれていても本田は本命である欧州のクラブからオファーがかかり、ユニホームに袖を通すことを粘り強く待ち望んでいる様子である。

ビジネスマンとしての本田は成功者へ

良い悪いは別にして本田の注目度は相変わらず高い。とはいえ、世間からの風当たりは以前に比べて明らかに厳しさを増している。ボタフォゴからのオファーに関しても、好意的にとらえている人が大勢を占めているわけではない。ネット上でも本田の言動をディスっているユーザーがかなり目立つ。

それはそうだろう。昨年11月に本田はオランダ1部のフィテッセと契約したもののロシア・CSKAモスクワ時代の恩師でもあったレオニー・スルツキ監督が解任され、追随するようにして12月末に退団。スルツキ監督の後ろ盾がなければチームのポジション争いで生き残れないと考え、さっさと逃げ出したに違いない――。そう思われても仕方がないような退団劇で多くの人たちが愛想を尽かしてしまった。残念だが、それが今のプレーヤー本田への真っ当な評価であろう。

ボタフォゴの本田獲得についても戦力補強というより広告塔としての側面のほうが大きいと見る向きも少なくない。数年前からボタフォゴは財政難に苦しみ、現時点でもクラブ運営は綱渡りを強いられている。そうした中で本田をチームに加えることができれば、日本の放送局からの放映権料や日本企業のスポンサーとの契約料、さらに根強い日本人の本田ファンが興味を示すであろうレプリカユニホームなどのグッズ収入も見込め〝ジャパンマネー〟によってV字回復につながると踏んでいるのは容易に想像がつく。ブラジルのサッカー事情を知る者なら、このシナリオは自明の理だ。

本田を特集した前出のブラジルメディアの中にはボタフォゴの日本人MF獲得には戦力補強として懐疑的な目を向けている媒体も多い。本田の33歳という年齢面もネックとなっており、ボタフォゴが狙う第一希望はエクアドル代表の24歳MFガブリエウ・コルテスとの報道も現地では飛び交う。つまり第二希望の本田は〝保険〟というわけである。

先日は報道陣を前に「職業チャレンジャー」を自称。何となく自虐的にも聞こえる肩書きを口にしたのは、あえて開き直ったところを見せて強がったのかもしれない。

それにプレーヤーとしての評価はがた落ちだが、実を言えばビジネスマンとしての本田は成功者への階段を上りつつあるという側面もある。企業投資家のサイドビジネスが絶好調で、サッカー界よりも兜町界隈のほうがその名を轟かせていると言えるのかもしれない。個人投資会社のファンドを設立し、着実に利益を上げていることは経済界でも知られている話だ。

加えて選手としては無所属になっていても「二足のわらじ」でサッカー・カンボジア代表チームの実質的監督を務めていることを考えれば、本田が多忙な日々を過ごしていることに変わりはない。先日も自身がオーナーとして立ち上げたクラブ「One Tokyo」を運営しながら、現役選手も続けていく方向性をあらためて強調。

さまざまなビジネスに関わる「職業チャレンジャー」が、その現役選手として次の移籍先とともにラストターゲットとしているのがオーバーエージ(OA)枠での東京五輪出場だ。

OA枠に話題性の高い本田を投入してほしい

まず「どう考えても無理に決まっている」というのが、大方の見方であろう。ところが意外なことに本田には追い風が吹き始めている。東京五輪出場のサッカーU―23日本代表を率いる森保一監督の余りの不人気ぶりにスポンサーや中継権を持つテレビ各局が頭を抱え込んでいるからだ。その起爆剤としてOA枠に話題性の高い本田を投入してほしいとの声が高まっているのである。民放局のスポーツ局関係者からは次のように言う。

「東京五輪でU―23日本代表には頑張ってほしいが、ここまでまったく結果が出ておらず記録的な不人気にあえぐ森保監督を日本サッカー協会が本気で続投させるつもりならば絶望感しかない。メダル獲得など夢のまた夢であろう。それならばOA枠で本田を呼べばアンチも含めハレーションを引き起こし、悪い意味でも一気に注目されるはずだ。

今の本田に大手広告代理店の関係者がプランナーとして付いているのは次の新天地で活躍を遂げてアピールし、東京五輪のOA枠に滑り込むシナリオを実現させるため。そのプランナーの息がかかった有力なスポンサーや複数のテレビ局が人気のない森保ジャパンの救世主としてOA枠入りを期待される本田に対し、新天地へ加入する際に何らかの形で〝軍資金=ジャパンマネー〟を先行投資する算段まで描かれている」

そういえば森保監督への解任論が高まった今月14日、本田はSNSを通じて世間に冷静な対応を呼びかけ、批判の集中する指揮官を擁護した。うがった見方をすれば、森保ジャパンなら東京五輪のOA枠で自らが滑り込む余地があるとしたたかな計算を働かせたのかもしれない。ビジネスマンとしての顔のほうが板についてきた職業チャレンジャー・本田は〝からめ手〟を用いながら劣化するパフォーマンスを巧みにフォローし、新天地移籍と東京五輪OA枠を本気でつかむ腹積もりでいる。

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