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ユーロの地合いが改善しないのはなぜ?

みなさん、こんにちは!

為替千里眼、今週も1週間お疲れ様でした。
週末のNY市場は、全般的に動意乏しくも調整的な動きから各ストレートは反発、特にムーディーズによるイタリア国債の格付け引下げを背景としたユーロ売りもNY市場では一巡し、一時1.21Midと2年来安値を更新していたユーロドルは、1.22Mid付近まで回復して今週の取引を終えております。NY市場での米PPIは予想以上の反発となり、QE3観測が後退したことを受け債券市場は反落、10年債利回りは+2bp1.499%となりましたが、ドル円の反発は限定的で、79円割れこそ回避するもDayHighも79.40円と狭いレンジ内での推移となりました。今週は1週間通して積極的な動意には至らなかったという印象を受けますが、注目のFOMC議事録では追加緩和に対する実施条件や具体策についての新たな情報は提供されず、BOJも資産購入基金の拡大や国債購入年限の長期化が決定されず、なんだか不完全燃焼的な1週間だったような気がします。それでも、じわり回避動意が拡充しているのは事実で、ドル円のモメンタムは依然下向き、ユーロドルも6/1の安値1.22Highを回復できず、オージーも6/1安値起点の中期トレンドのサポートを下抜けておりますので、来週以降も予断を許さない展開が継続しそうです。

振り返れば、1年前のちょうど今頃は欧州懸念に於ける周縁国への波及リスクに苛まれていた時期で、1週間で700p程度急落したことを思い起こします。ただ、その時ですらユーロ円は109円台(ドル円は現状と変わらぬ79円Mid付近でしたが、)と、現状より10円以上も円安水準であり、当時は震災後直前の水準まで急落などとよく言われておりましたので、ユーロ円100円割れの水準でなんとも思わなくなってしまっている実情を踏まえると、改めて慣れての怖さを感じさせるところかもしれません。日米の消極的な政策スタンスとは裏腹に、今週初のユーロ圏財務相会合ではスペイン銀行セクター支援について7/20に最終合意を目指すことが再確認され、その後7月末までに300億EURの第一弾融資(トランシェ)が行われることや、ユーロ圏銀行監督の統一につき9月にも各国銀行への直接資本注入を可能にすることが合意されました。ただ、イタリアやスペインの利回りは思いのほか低下せず、ユーロの反発も限定的に留まっているのが実情で、市場がまだ何らかの懸念を抱えているのは明らかであります。

スペイン救済に関する今後の流れといたしましては、上述のとおり20日のユーログループ会合において、MoU(Memorandum of Understanding)のと呼ばれる覚書への署名を経て、7月末までに第一トランシェが行われる見通しです。ロイターによれば、覚書にはスペイン銀行セクターの約90%を占める14の銀行グループに対して、今年9月後半までにストレステストを実施すること、スペインの全ての銀行が2012年末までにコアTier1比率を9%に引き上げること、2014年末まで9%の水準を維持することなどが盛り込まれているようで、これを受けてスペインは11日に公表した新たな財政緊縮計画のなかで、今後2年半で650億EUR規模という大規模な財政赤字削減を盛り込んだ新たな計画を公表しております。もちろん、その進捗についてはIMF・トロイカが四半期ごとに評価されることとなりますが、これらの緊縮策を計画どおりに実行されるかどうか、現時点では未知数であります。20日の最終合意に向けては、ある程度織込み済みとなっておりますので今後の焦点としては、やはりこの進捗であり、市場の懐疑的な見方を払拭できるかどうかに懸かっていると思われます。

今回のイタリアに対する格付け引下げについてムーディーズは、経済と政治の見通しの悪化を挙げ、ギリシャやスペインのコンテージョンリスクによってイタリアの調達コストが高まる可能性があると指摘しておりましたが、コンテージョンと言う観点では、7月初に予定されていたESMの稼動が遅れていることを考慮すると、足許で改善しないユーロの地合いの背景には、欧州の危機対応能力に対する市場の懸念が依然として燻っており、その他支援要請をおこなったキプロスのほか、高債務国に対する国債市場への介入についても独サイドの反対があり、さらに遅延することは十分に考えられます。もちろん、今回の格下げにより格付け会社によるレーティングリスクが再燃した形となりますので、次週もなかなか積極的にリスクポジションが取りにくく、特にユーロおよびオージーは低調な展開を強いられる可能性があると踏んでおくべきかもしれません。


あとは米マクロの結果次第かもしれませんけどね

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