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アングル:外為法改正、海外投資家の異論続く 財務省が説明会


竹本能文

[東京 25日 ロイター] - 安全保障上重要な技術を持つ日本企業に対する買収阻止を目的とした外為法改正に関し、海外投資家からの懸念表明が続いている。国内の関係者からも日本の市場が縮小するとの声が出るなか、政府は市場関係者や海外投資家への説明を続け、現在策定中の政省令によって対応していく構えだ。

<海外投資家は不利な立場─説明会で懸念>

「1%への引き下げはクレイジーとしか思えない」、「このまま施行されると、海外投資家は極めて不利な立場に置かれる」。ロイターが閲覧した与党関係者の資料によると、財務省の武内良樹財務官と三村淳副財務官が今月13日にロンドン、16日にニューヨークで外為法改正に関する説明会を開催したところ、現地の海外投資家から懸念が示された。

現行の外為法は、原子力、航空宇宙など「国の安全等を損なうおそれのある業種(指定業種)」の上場株式を外国投資家が10%以上取得する場合、事前届け出を義務づけ、政府の審査対象としているが、改正法は基準を1%とし、事実上の規制強化を行う。法案は昨年11月の臨時国会で成立、今年4─5月の施行が予定されている。

しかし新たな規制には海外投資家が懸念を表明。海外からの投資を締め出してしまう恐れは国内市場関係者の間でも大きくなっている。

ある東証幹部は「海外投資家による株式市場での取引は、全体の60%に達しており、海外投資家による日本株の保有比率も30%を超えている」と指摘した上で「日本市場への投資を阻害するような法制度、手続きを整備することで、日本への投資の撤退を助長することは、日本の健全な経済発展を阻害してしまう」と憂慮している。

<懸念払しょくに努める財務省>

財務省は昨年10月末ホームページ上に「よくある質問」との解説を掲載。今後は、現在作成中の政省令で、市場に配慮した運用指針を示していく予定だ。届け出が必要な企業についても財務省が全上場企業を対象に選定中だ。並行して財務省や経済産業省は昨年末から市場関係者や海外投資家への説明を展開している。

今月のロンドン、ニューヨークでの説明会もその一環。財務省は、外国の証券会社の自己勘定取引は対象銘柄にかかわらず事前届出を免除するなど外国の金融機関の負担軽減策も打ち出しているが、説明会では「なぜ当局に登録しないと包括免除にならないのか。包括免除にならない限り、多くの機関投資家が日本市場から撤退することを理解しているのか」といった声が出たという。

規制対象企業の選定に関しても「対象企業が広くなると株価・企業へのネガティブインパクトは大きくなる」、「規制対象業種の定義や選定プロセスが不透明であること自体が、アクティビストをはじめ海外投資家から指摘される一番の問題で、透明にすべき」、「安全保障と全く関係ない『皮革関連』までなぜ規制対象業種になるのか」などの疑問が出されたという。

事前審査に要する期間が5営業日となる点についても「取引決済日が約定の2日後(Tプラス2)なのに遅すぎる」との批判が出た。「海外投資家からの大量の申請を処理するだけの人員が財務省をはじめ関係当局にはないのではないか」などの質問も出たという。

ただ、財務省によると、海外での懸念は日本の法改正が浸透していなかったために示されたもので、すでに対応を検討中のものもあるなど、目新しい論点はなく、「批判は特定の参加者に限られていた」(財務省幹部)。財務省はすでに政府出資ファンド(SWF)や年⾦基⾦のうち、国の安全等を損なうおそれがないとみなされるものは、事前届出免除制度の利⽤を可能にするなど、円滑な投資行動を妨げない各種方針を説明しており、「多くの参加者には理解いただけた」(財務省幹部)という。

<安保と経済>

今回の法改正の背景にあるのは、米中の覇権争いを踏まえた対中国での技術流出懸念だ。米トランプ政権が昨年、外国企業による米国への投資を厳格化する新法の規制案を打ち出したのに平仄を合わせた格好だ。

しかし、昨年12月26日に開かれた財務省の外為審議会では「改正外為法で安保を実現できるわけでなく、他の法律で安保を強化すべき」との声も出ていた。

審議会ではこのほかにも「役員派遣や事業譲渡の提案を行い難くなり、コーポレートガバナンスが阻害される」などの異論が示された。

麻生太郎財務相は今回の法改正について昨年の国会で「いわゆるコーポレートガバナンス改⾰路線というものの転換でなく、アクティビストの排除でもない」と説明している。

*財務省の見解や麻生財務相のコメントを追加しました。

(編集:石田仁志)

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