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“自由な働き方”に何が起きているのか!?ウーバーイーツ配達員の声

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「ウーバーイーツ(Uber-Eats)」は、マッチングプラットフォームを介した飲食宅配代行サービス。客がアプリから注文すると、登録している配達員が飲食店から品物を受け取って客に届ける仕組みだ。その配達員が2019年10月3日、労働組合・ウーバーイーツユニオンを結成し、注目を集めている。「自由な働き方」に今どんな問題が起きているのか。何を求めて行動しているのか。ウーバーイーツユニオン前葉富雄執行委員長と組合員が、神津会長と本音で語り合った。

働く人たちの声を集めて

山根木 連合は、いわゆる「曖昧な雇用」で働く人たちについて、「労働者」概念のもとでの法的保護や、労働組合結成を通じた課題解決に取り組み始めています。今日は、プラットフォームワーカーとして、連合の構成組織である全国ユニオンと連携しつつ先駆けて労働組合を結成したウーバーイーツユニオンのみなさんに、その経緯や活動について伺います。まず、労働組合を立ち上げたきっかけは?

前葉 報酬が正しく支払われなかったことです。今まで500円だった仕事が、ある日突然450円になっていた。配達員の間でそのことが話題に上がって、自分でも確認してみると確かに少ない。それは運営会社のミスであることがわかって修正されましたが、その時、やはり同じ仕事をしている人が集まって情報交換することが必要だと思ったんです。

神津 みなさんの動きをツイッターで見ていました。同じ悩みや共通する問題を抱えている仲間が集まって、経営者にそれを問う。まさに労働組合の原点ですね。

前葉 はい。集まっていろんな話をする中で、問題点がはっきりしてきました。ユニオンの3つの要求として掲げている「事故やケガの補償」「運営の透明性」「適切な報酬」です。これを実現していくには、労働組合が必要だと考え、結成の準備を進めました。この動きを受けて、運営会社は2019年10月1日、民間保険を利用した「傷害補償制度」の新設を発表。それまでは配達中のケガでも自己負担だったので一歩前進ですが、労災保険に比べると不十分な内容です。

神津 組合結成が10月3日でしたから、準備の動きが「傷害補償制度」新設につながったことは間違いないですね。働く人たちの声を集めて、それをぶつけていくことは大事だと改めて思います。ただ、配達中の事故については、同じ働く仲間として労災保険が適用されるべきだと思います。

組合員A 新しい「傷害補償制度」は、マスコミでも大きく報じられましたが、問題は補償が不十分というだけではないんです。実はケガをして申請した人は、みんな配達員の登録が抹消されました。要するに「解雇」です。だから、仕事を続けたい人は申請しない。ユニオンとして、運用状況をチェックし、改善を求めたいと考えています。

神津 それはひどいですね。その後の組合結成に対する経営側の反応は?

前葉 ウーバーイーツユニオンは結成後直ちにウーバージャパン株式会社に団体交渉を申し入れましたが、「当社は配達員との関係は一切ない」と拒否。配達員は個人事業主であり、配達員にアプリを提供しているのはオランダにあるUber Portier B.V.社だから、そちらに言えと。それで弁護団と相談していました。10月29日にウーバージャパン株式会社と同一の住所に「Uber Portier Japan合同会社」なる新会社が設立され、配達員に対して「2019年12月1日より、Uber Eatsの利用規約を改定し、日本の法人であるUber Portier Japanがマッチングプラットフォームを提供する。なお、改定後も引き続きUber Portier B.V.社がアプリの提供を続ける」という旨の通知がきた。それで、ウーバーイーツユニオンは、改めてUber Portier Japanに団体交渉を申し入れたんですが、「配達パートナーは労働組合法上、『雇用する労働者』に該当しない」という理由で拒否されました。

神津 その認識はまったくの誤りですね。労働組合法上の「労働者」は、雇用労働者に限定されない、もっと広い概念です。個人事業主であっても、形式ではなく実態を見て、労働者性が判断されます。ウーバーイーツ配達員の働き方は、どう考えても労組法上の「労働者」であると考えられ、団交拒否は不当労働行為に当たります。

会社と話し合うことができれば

山根木 「運営の透明性」「適切な報酬」という要求は?

組合員B 運用で改善してほしいことはいっぱいあります。まず、注文が入って仕事を受ける時点で配達員には届け先がわからない。飲食店でピックアップして初めて届け先が表示される。そんなのあり得ないでしょう。

前葉 当初は配達先も表示されていたようですが、遠距離だと受けない配達員がいるので、出さないようにしたと…。ただ、遠距離の需要があるなら、割増料金をつけるなど、仕事に見合った報酬システムにすればいい。現状では、短い距離の仕事を回数こなしたほうが稼げるから、遠距離が敬遠されるんです。

組合員C 客は遠距離や配達員が近くにいない場合、上乗せ料金を払っています。例えば、牛丼1つ頼んで1500円払う客もいる。でも、それが配達員に還元されていない。

組合員B 客が注文すると「最大で遅れは○分」という表示が出ますが、これも配達員には知らされない。だから、表示より少しでも遅れると、客に怒鳴られたり、クレームを入れられたりする。道路工事や交通規制などの情報を反映していない地図アプリで到着時間を出されても困ります。もっと困るのは、そういう現場からの情報を運営会社に上げても、何の返事もないこと。早朝料金、深夜料金を新設したり、遠距離の割増をつければ、配達員不足解消の一つの対策になる。そういうことを配達員と運営会社が話し合うことができれば、問題の解決につながって、お客さんも会社も配達員も、みんなが良くなるのに、と思います。

前葉 まさにそこなんです。問題点を指摘しても「では、こういうふうに改善していきましょう」という返事は一切ない。「企業秘密」だとか「アプリのバグ」だとか言われてうやむやにされる。

神津 働く人の声を経営者が聞こうとしないのは極めて問題ですね。

■ウーバーイーツのビジネスモデル

日本では2016年に東京でサービスが開始され、現在、横浜・川崎・大阪・京都・神戸・名古屋・福岡・埼玉・千葉などに拡大。配達員登録数は約2万人。

長時間過重労働を招く報酬引き下げ

山根木 報酬については、一方的な切り下げが行われた…。

前葉 はい。11月20日に、「11月29日から報酬を引き下げる」というメールが送られてきました。配達員の報酬は、距離に応じた基本料金と、1件につき定額の引き取り(ピック)と配達(ドロップ)の料金から構成されていますが、ピックは300円から265円に、ドロップは170円から125円に、基本料金は1キロ150円から60円に引き下げる。その代わり配達員がウーバー社に支払う手数料を35%から10%に下げて、新しくボーナスが支給される仕組み(インセンティブ)を導入するのでトータルの報酬は変わらないという内容でした。1件当たりの減収は数十円でも、積み重なると大幅減になる。賃金を下げるなら、その理由を説明してもらわないと、納得して働けない。「説明会」を開くというので参加しましたが、改定の理由を聞いても「Uber Portier Japan 現地法人化の影響」というだけで、合理的な理由は何も説明されませんでした。そこでウーバーイーツユニオンは、今回の報酬の引き下げに強く抗議し、その撤回を求めるとともに、会社に対して一刻も早く団体交渉に応じるよう求めているんですが、抗議声明を渡そうとしても、門前払い。しかも、「インセンティブ」自体に非常に問題があることがわかってきました。

組合員C このインセンティブは、一定の時間・期間に一定の件数を超えて配達すれば、ボーナスが支給される仕組みで「クエスト」と呼ばれています。だからクエストをクリアしようと食事も休憩もとらずに働くということが起きている。頑張りすぎて転倒事故を起こす人も増えています。

組合員B 私は、本業が別にあってバイクに乗るのが好きだから、空いた時間に稼げるウーバーイーツの配達はすごくいい仕事でした。社会人の息子も、バイクを買って防寒着も揃えて、本業にしたんですが、その途端、報酬引き下げを通告された。それからは、本当に大変そうで、インセンティブを得るために、朝早くから深夜まで働き詰め。それなのに1日あたり2000円から3000円の収入減が続いています。今回の報酬改定は、長時間過重労働を助長するものになっているんです。

神津 まさに働く人の安全に関わる問題であり、長時間労働を強いるという意味でも大きな問題です。

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