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小泉環境相、ベトナム石炭火力発電事業に問題提起 国際NGOは歓迎

小泉進次郎環境相は1月21日、ベトナムで建設が計画されている石炭火力発電所について、日本が公的支援を検討していることについて問題提起した。従来の日本政府の方針と整合しない点を指摘し、海外の石炭火力発電事業への公的支援に関する日本政府の方針の問題点についても言及した。こうした発言を受けて、国際環境NGO FoE Japanや国際環境 NGO 350.org Japanなど5団体は共同で「歓迎する」と声明文を発表した。(オルタナS編集長=池田 真隆)

このたび、声明文を発表したのは、国際環境NGO FoE Japan、国際環境 NGO 350.org Japan、気候ネットワーク、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、メコン・ウォッチ――の5団体。

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声明文は下記。

2020年1月21日の環境大臣記者会見[1] において、小泉環境大臣がベトナム・ブンアン2石炭火力発電事業への公的支援について、従来の日本政府の方針(後述)と整合しない点を指摘し、また海外の石炭火力発電事業への公的支援に関する日本政府の方針の問題を提起した。

私たち環境NGO5団体は、気候危機が深刻化し、緊急の気候変動対策が求められる中、小泉環境大臣が日本による海外石炭火力発電事業への公的支援の問題について踏み込み、疑問を呈したことを歓迎する。ブンアン2石炭火力発電事業に携わる国際協力銀行(JBIC)及び全ての民間事業者・金融機関は本案件への投融資の中止を速やかに決断するべきだ。また、従来の方針についても見直しが求められることは明らかであり、今後、小泉環境大臣が率先して、パリ協定と整合する政策改定を主導していくことを期待する。

日本政府はこれまで、エネルギー基本計画の4要件[2] を示しながら、「低炭素型インフラ輸出」を積極的に推進する方針をとってきている。これに対して小泉環境大臣は会見において、ブンアン2石炭火力発電事業が、日本が融資をする予定であるものの建設は米中が担うことから、高効率であるとされる日本の機器が使われるわけではなく、石炭輸出に関する4要件との整合性については疑問の余地があり、このような実態は、国民および国際社会からの理解が得られるとは思えないと発言。

また、海外の石炭火力発電への公的支援が抱える課題として、石炭価格の競争力と、相手国の脱炭素化を結果として阻害し、(温室効果ガスの排出を)ロックインしてしまうことにも触れた。さらに、「4要件についてはより脱炭素社会の取り組みとして、国際社会からも日本が一歩前に進んだとしっかりと発信ができる、そういったあり方に変えていくことは、私は不可欠のことだと思う」と発言した。

ブンアン2石炭火力発電事業は、三菱商事が出資する新規の石炭火力発電所計画だが、三菱商事と合弁を組んでいた香港に拠点を置くCLPホールディングスは、2019年12月17日に脱石炭方針を発表し、同案件から撤退。また、融資団に参加していた英スタンダード・チャータード銀行、シンガポールOCBC、DBS銀行も相次いで撤退し、融資を検討しているのは現状、日本の公的及び民間銀行だけになっているとみられる[3] 。

どのような理由であれ、新規石炭火力発電事業はパリ協定との整合性を持たない。ブンアン2石炭火力発電事業は超々臨界圧(USC)であるため4要件の中の技術要件は満たしているものの、SOx、NOx、PMなどの環境対策技術については、日本と同等の技術が導入されているとは言えず、現地の環境悪化も懸念されている。また、2019年9月に英シンクタンクのカーボントラッカーが発表したレポートによれば、ベトナムにおいても2022年までに既存の石炭火力発電の操業コストより太陽光発電の建設コストのほうが安価になると分析されている[4] 。

依然、日本の海外への石炭火力に対する公的支援額は世界第2位であり 、また2017年?2019年の間、日本の3メガバンクによる石炭火力発電事業者への融資額は世界トップ3を占めている [5]。そして今後も日本の官民が関わる海外での新規の石炭火力発電事業としては、ブンアン2石炭火力発電事業の他にベトナム・ビンタン3石炭火力発電事業(三菱商事出資)及びインドネシア・インドラマユ石炭火力発電事業(JICA支援)がある。

折しもオーストラリアが大規模森林火災に見舞われ、日本を襲った大型台風も記憶に新しい。2020年は京都議定書が終了し、パリ協定が始動する年でもある。日本の官民は、ブンアン2石炭火力発電事業及びビンタン3石炭火力発電事業、そしてその他の新規の石炭火力発電事業からの投融資撤退を一刻も早く決定すべきだ。

もう新規の石炭火力発電所を建設しているような場合ではなく、どのように既存の発電所を閉鎖し脱炭素を実現していくか、真剣に取り組まなくてはいけない時にきている。日本政府が海外で支援を続けている建設中の石炭火力発電事業についても、相手国の温室効果ガスの排出をロックインしてしまう前に見直しを進め、支援を停止すべきだ。

◆脚注:
1.小泉環境大臣会見 2020年1月21日
2.第5次エネルギー基本計画に記載されている石炭輸出に関する4要件:1. エネルギー安全保障及び経済性の観点から石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国、2. 相手国から、我が国の高効率石炭火力発電への要請があった場合、3. OECDルールも踏まえつつ、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合、4. 原則、世界最新鋭である超々臨界圧(USC)以上
3.【声明】ベトナム石炭火力事業で三菱商事が孤立、大手海外銀行や共同事業者らの相次ぐ撤退で – 日本の官民も脱石炭への舵きりを、 2019年12月20日
4.Carbon Tracker “Here comes the sun (and wind) Vietnam’s low-cost renewables revolution and its implications for coal power investments” 2019年9 ⽉
5.350.org Japan、気候ネットワーク 共同プレスリリース「⽇本の⾦融機関・投資家が⽯炭投融資リストのトップを独占 – COP25 で判明 」2019年12⽉6⽇

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