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【読書感想】総会屋とバブル

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総会屋とバブル (文春新書)

  • 作者:尾島 正洋
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/11/20
  • メディア: 新書

Kindle版もあります。

総会屋とバブル (文春新書)

  • 作者:尾島 正洋
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/11/20
  • メディア: Kindle版

内容紹介

かつて「総会屋」と呼ばれる男たちがいた――。

彼らは闇社会の住人でありながら、上場企業の株主総会に株主として出席し、経営陣を震え上がらせた。壇上の経営陣にイチャモンまがいの質問を突きつけて締め上げる「野党総会屋」がいれば、怒号のようなヤジをとばして彼らの質問を妨げる「与党総会屋」もいた。企業側が、彼らに利益供与をすることと引き換えに、株主総会の円滑な進行を望むことは自然な流れでもあった。

21世紀となった現在では信じられないが、名だたる超一流企業が株式市場のハイエナたちに喰い付かれていた。キリンビール、伊勢丹、イトーヨーカドー、味の素……。

「企業をまわって集金すれば、月に3000万円。最盛期は年収が3億円をゆうに超えていた」と、日本最大の総会屋「論談同友会」の元幹部は言う。

バブル経済に踊っていた金融業界にいたっては、総会屋に喰らい尽くされていたと言ってよい。ガリバーの野村證券は総会屋を優遇し、損失補填を行っていた。第一勧業銀行は歴代トップが大物総会屋との関係を続け、違法に融資された額は300億円にものぼるという常軌を逸した沙汰だった。

なぜ一流企業の経営陣は、闇社会の“呪縛”に絡み取られてしまったのか? 論談同友会の元幹部らの証言をもとにバブルの裏面史を描き出す。

 「総会屋」を知っていますか?

 と言っても、僕自身、「総会屋」という言葉は知っていても、「株主総会に少ない株を持って参加し、大騒ぎして荒らす人たち」というくらいの認識しかなかったのです。

 正直、疑問でもあったんですよ。

 なんで、大企業が、そんな人たちの好き勝手にさせているのだろう?って。

 警察に介入してもらって、取り締まればいいのに。

 かつて「総会屋」と呼ばれる男たちがいた。今で言うところの反社会的勢力である。

 昭和から平成にかけて、裏社会の住人たちが日本を代表する上場企業の株主総会を舞台に、狼藉の限りを尽くしていたのだ。

 総会屋は上場企業の株を購入して(彼らはそれを「株付けする」と言う)株主総会に乗り込み、長時間にわたり質問を繰り返しては議事進行を妨害し、経営陣に揺さぶりをかけた。質問の内容は重箱の隅を突くような些細なものから、業績や経営方針について鋭く切り込むものまで玉石混交、千差万別だ。

 時には何百項目、何十枚にもぶ膨大な質問状を総務部に送りつけて、「総会で質問するから回答を準備しておけ」と事前通告してくる者もいた。ところが、総会の直前になると質問状を突如取り下げることもあった。その見返りは当然、カネだった。彼らは手練手管の限りを尽くして企業を揺さぶり、裏側でカネを要求していたのである。

 かつて株主総会は、どこの企業でも大過なく30分程度で終了するのがお決まりで、いわゆる「シャンシャン総会」が当たり前と言われていた。総会会場のひな壇中央に座る議長役の社長が、総会屋たちの質問攻勢に見舞われ、答えに窮してうろたえることを何より嫌っていたからだ。総会が紛糾して長引けば、トラブルを多く抱える「問題企業」というイメージで世間から見られかねない。

 企業とすれば、総会が円滑に進んで平穏無事に終わるのであれば、総会屋たちにカネをバラ撒くことも、必要不可欠な経営コストと考えていたのだ。

 とはいえ、企業側も総会屋を名乗ればどんな相手にも無条件でカネを差し出していたわけではない。総会屋と言っても、小遣い銭をせびるタカリのような輩から、社内人事宇あ経営方針などに介入するほど絶大な影響力を持つ超大物までいた。企業側も総会屋の格やキャリアによって渡す金額に差をつけていた。

 彼らは巧みに大企業の内側に入り込み、ときには内部事情を握って、企業からカネを取り続けたのです。

 バブル経済で「金が潤沢にあった」こともあり、企業側も、「面倒ごとを避けるために」彼らにさまざまな形で資金を供与していました。

 大企業や証券会社がそんな勢力にお金をばらまいていた、ということで、市場の信頼性を大きく損なう結果になったのです。

 僕は1970年代はじめの生まれなので、大学時代にバブルが崩壊しています。

 あのバブル崩壊を目の当たりにして、「株とか投資は怖い」「バブル時代の日本経済は調子に乗りすぎていた」と思うようになり、株や投資のような危ないことはしない、と決意したのです。

 今になって考えてみると、若い頃から、しっかり経済の仕組みを学んでおけばよかったのですが。

 株主総会が30分程度で大過なく終わったほうがいい、総会が長引くと企業イメージが悪くなる、というような考え方は、今、こうして思い返してみると、明らかにおかしいのです。

 むしろ、問題点はちゃんと明らかにして、説明責任を果たす企業のほうが、誠実で信頼できるはずなんですよ。

 にもかかわらず、「シャンシャン総会」のほうが良い、議論になることを嫌う、という世の中の感覚が、総会屋を生み出してきた、とも言えそうです。

 この本を読んでいると、企業の上層部が、自らのプライドや面倒ごとを避けるために、総務部などの「総会屋担当者」に汚れ仕事を押しつけてきたこともわかります。

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