スピードと質、どちらをとるか
多分、YouTuber全員が抱える悩みであるスピードと質。これが政治や教育の場合、スピードを優先しすぎると情報のたしかさが危うくなってしまうから、他のジャンルとは少し違う。だから、私は政治や教育を YouTubeでやっても今のところ旨味はほとんどないのではないかと思う。正確さを追求できればもちろん別だが。
ファクトチェックに尋常じゃないコストをかけている
私たかまつななチャンネルでは、一番ファクトチェックにコストをかけている。人もお金もだ。元報道局の記者の方やテレビ番組のディレクター、ボランティアの部隊、私がファクトチェックをしている。1本の動画を出すのに、最低でも、5人の目は通している。それでも、ニュース番組のファクトチェックと同じレベルでできているかと言ったら難しい。だから、そこにコストをさくべく、更に現在、組織化している段階だが、人手を増やしている。
ゲスト出演の際も、ゲストが言ったことだからといってそのまま使わない。ゲストのコメントのファクトチェックもしている。この点はテレビよりもしっかりしていると思う。複数のソースがある時は、テロップで注釈などをいれたり、その部分をカットしたりしている。 YouTubeに詳しい方にアドバイスを求めたところ、ファクトチェックに時間がかかるから仕事術などに切り替えた方がいいと言われたが、それでは本末転倒だから、なんとかやりきる。若い子に届く政治のメディアをちゃんと作る。フェイクニュースなく。

なぜファクトが大事なのか
YouTubeの政治チャンネルを見た時に、1つ重大な点に気が付く。フェイクニュースとかよく言われている人を見ると、なんとそういうチャンネルでも情報がたくさん提示されていることがある。つまり、情報を自分のいいように編集しているのだ。悪意を持っているように見えたケースもある。(これはナチュラルな可能性もあるので真相は分からない。)中田さんのフェイクニュースだと言われている部分がわざとではないだろうが、恣意的だと言われたら、否定するのが難しい。だから、ファクトって大事だと思う。
国会の場でファクトがないのに政策が進み、数年後にひどい状態になるケースを見たことがある。そして、ファクトを隠し、それを検証できないケースも見た。情報がより適切に管理されたり、開示されるというのは、私たちの想像以上に難しい。だから、情報には丁寧に向き合わないといけない。推測で議論するのではなく、ファクトに基づいた方が良い。情報を悪用する人を見て私は知った。権力も、協力なファクトには勝てないのである。
ファクトチェックなんて難しすぎる
しかし、中田さんの気持ちもわかる。私はこの数年で様々な経験をしたが、この経験がなければ、おそらく中田さんと同じ気持ちで作っていたと思う。私は大学院に行ったことと、今の勤務先につとめたことが大きい。事実をもとに作っていく。意見と事実を切り分ける。この思考の積み重ねの必要がある。
しかも、このコストは動画のクオリティがめちゃくちゃあがる訳ではないし、かなりかかるので、スピードも落ちる。その上、ファクトチェックできる人材なんてなかなかいない。時には専門家にもあてるから、その繋がりや取材力も必要だ。ビジネス的にやらないと考える人が多いだろう。専門家に頼むと、お金だけではなく、間違いの指摘のみならず、こだわりが強いからそもそもの動画の設計が崩れるからやりにくいということも考えられるだろう。
白黒はっきりつけるものでもないと思うが、中田さんの間違いよりも、功績に注目すべきだと私は考える。そして、中田さんのファンの方も専門家の方の意見にもう少し耳を傾けてもいいと思う。間違いかもと指摘された場合は、その専門家をたたくのではなく、ありがたいと思い、建設的に質問したりすればいいだけじゃないか。すぐには、監修をつけたり、動画をとりなおしたり、訂正の謝罪動画を作るのは難しいだろうから、編集の段階で「●分●秒のところは正しくはこうです」というような訂正コメントを概要欄にいれたり、コメントに書いたりとかはどうだろうか。(視聴者も運営側も)

偉そうにいっていますが、私のチャンネルでも私が感じを読み間違えたり、テロップの感じ変換ミスなどはある。追求していたら、1本も出せないのではないかというぐらい、粘り強さが必要な作業だ。しかし、私はお笑いジャーナリストとしてその点は妥協してはいけないと思う。そして、ライターさんはファクトチェックが甘い人が9割だと肌感覚では感じるし、やっぱりプロの報道に携わっている人はすごいなと思う。(今まで200回以上取材をうけているが新聞社とか基礎力がやっぱり違う。)
中田さんの成功を面白くないと思い必要以上にたたく節も見られる。功績にしっかり目を向け、社会がよくなるために、どうしたらいいか。中田さんに足りない点、こうすればよくなるなど建設的に議論すればいいのに。あんなこと限りなく1人に近い状態でできる人、日本の YouTuberに他にいないと本当に思う。今後テレビで、中田さんの世界観を最高のチームで YouTube異常に発揮してほしい。

今こそ、報道現場よ、立ち上がれ!
情報があふれる中、またテレビや新聞が評価される日が来るといいなと私は願う。プロ集団、組織ジャーナリズムの力はやっぱりすごい。今までメディアの取材は200回以上は引き受けたことがあるし、自分も学生時代から含めると何百回も取材をした身としては、プロと素人に大きな隔たりを感じる。時代にうまくマッチせず、衰退しているように感じるが、こんな社会だからこそ、またメディアが求められている。
むしろ、私が新聞社のデジタルチームの人間なら、中田さんにかつての自社の新聞記事をもとに授業を展開してもらい、宣伝もしてもらい、その代わり全動画のファクトチェックをして、最初と最後に数秒提供として社名をいれてもらう。やっぱり、あの会社が入ってから、クオリティがあがったなぁと言われたら、こっちのものだろう。宣伝効果が高い。そういうことが気軽にできるぐらい時代にマッチし、お高くとまるのではなく、フットワークが軽い報道機関であってほしいなと思う。両者win-winだと思う。
私のたかまつななチャンネルは、情報提供してくださるメディアを募集します!私に余力があれば、中田さんのチャンネルのファクトチェックめちゃくちゃしたいが、無理だ…。その面ではご協力できないし、尊敬する先輩についてこんな勝手にかくのは失礼だと思ったが、なんか建設的な話が出ていないと思ったので思い切って書いた。
私は、中田さんの功罪の功にも目を向けたい。そして、私は中田さんを批判する人ではなく、中田さんと一緒に世の中をよくしたい人間でありたいと思う。こういう時に外野で、叩きまくって行動しない人間を私はちゃんと見ている。あなたが一番挑戦を阻む壁で、社会の癌ではないか。

今のネット環境をめぐる議論や、ファクトが軽視されつつある政治のことなどをお笑いのネタにしました。またこのことを、ふかわりょうさんとガチ対談します。よろしければ、ぜひ単独ライブ観にいらしてください。取材を基に、ファクトをベースとした時事ネタ、社会風刺ネタをやります。
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