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マイナンバーカードの健康保険証としての利用について - 平岡敦

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1 マイナンバーカードの健康保険証としての利用

2019年5月15日,健康保険法が改正され,2011年3月から,マイナンバーカードを健康保険証として利用することが可能となった。もう少し正確に言うと,医療機関が,マイナンバーカードのICチップに含まれる利用者証明用電子証明書を読み取って,オンラインで被保険者としての資格確認を行うことができるようになった。

なお,このような医療分野におけるマイナンバーやマイナンバーカードの利用については,医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会が,平成27年12月10日に報告書を出している。そこでは,今回改正がなされたマイナンバーカードを健康保険証として利用することのほかに,医療等分野の個人情報の連携に用いる識別子(ID)を設けること及びその体系や内容の提案もなされている。

2 反対論

しかし,この法改正には,反対論がある。日本医師会などは声明を発表して,反対の意思を明らかにしている。それらの反対論では,①医療等分野の個人情報の連携に用いるIDとしてマイナンバーとは異なる医療等IDを設けるべき,②医療情報を保護するための法整備の必要性,③医療情報の二次利用・突合の制限,④マイナンバーの医療分野での利用への反対,⑤マイナンバーカードを健康保険証として利用することへの反対,などが述べられている。

3 マイナンバーによる無制限な紐付けの危険

確かに,プライバシー,忘れられる権利等の観点からは,安易に医療情報が紐付け・突合されて,個人の医療情報が丸裸にされるのは避けるべきである。情報コントロール権の観点から見ても,どの病歴を第三者からの照会の対象にするのかを個々人が決定できることは,憲法13条に根拠づけられる自己決定権のひとつとして容認されるのではないだろうか。

しかし,情報の紐付け・突合の危険は,マイナンバーを利用しなくても,医療等IDでも生じうる。マイナンバーは,その利用範囲が法律で制限されており,法律を改正するためには,法制審,委員会そして衆参両院での議論を経ることが必要で,そう容易なことではない。また,マイナンバーの照会は,法律により仕様やアクセス権限が制限された情報提供ネットワークシステムを経由してしかできない。これに対し,医療等IDはその中身やアクセス制限は未知数である。

また,今次の健康保険法改正は,マイナンバーと医療情報の紐付けとは関係がない。今次の改正は,あくまでマイナンバーカードを利用するものである。この辺りについて,マイナンバーに対する危惧との混同した議論が一般的に見られるので,整理をしておきたい。

4 マイナンバーとマイナンバーカードは違う

番号法を根拠とするマイナンバーは,正確な所得把握に基づく適正・公正な課税,適切で確実な社会保障給付等を行うための情報基盤として導入された。

マイナンバーは,マイナンバーカードの裏面に記載がされており,マイナンバーを通知する際の最も簡易な方法は,マイナンバーカードを提示することである。したがって,マイナンバーカードは,マイナンバーのためにあると思われがちである。しかし,マイナンバーカードは,マイナンバーとは切り離された独自の機能を持っている。

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