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長期政権の緩み

 19世紀に英国で活躍した歴史家ジョン・アクトンは、「権力は腐敗の傾向がある。絶対的権力は絶対的に腐敗する」と、有名な格言を残しています。

 憲政史上最長となった安倍政権も、腐臭がプンプンと漂い始めました。1月14日、カジノを含む統合型リゾート施設事業を巡る汚職事件で、自民党の衆院議員が収賄容疑で再逮捕されました。翌15日、前法相夫妻の事務所が、運動員買収の容疑で捜索されました。

 「桜を見る会」を巡る疑惑は、税金の私物化です。「森友」「加計」問題は、権力の私物化でした。公私混同極まれりという政権ですが、いずれも情報や資料を隠し「臭いものにフタ」作戦で逃げようとしています。全く反省がないのは、長期政権のおごりでしょう。

 腐敗、おごり、独善…。長期政権の弊害を挙げればきりがありませんが、さらにもう1つ看過できない弊害が顕在化してきました。それは緩(ゆる)みです。

 政府は今年度の税収見通しを62.5兆円と見込んでいましたが、当初の想定より2.3兆円も税収が不足することが明らかになりました。米中貿易摩擦の影響で輸出が振るわず、法人税収が落ち込んだからというのが政府の表向きの説明です。私は、アベノミクスによる経済成長で税収が伸びるという大甘の前提に立っているからだと思います。一種の数字を操作した忖度です。

 その結果、19年度補正予算案は税収減を補うため、2.2兆円の赤字国債を追加発行することを盛り込んでいます。このような年度途中の赤字国債の追加発行は滅多にはありません。○○ショックと呼ばれる世界経済の激変の後など、数えるほどしかありません。

 しかし、安倍政権下では3年前にも1.7兆円の税収不足に陥り、補正予算を組んで同額の赤字国債を追加発行したことがあります。厳格に厳密に数字をはじき出す財務当局が、同じ政権下で2度も大きな過ちを犯すとは信じ難いことです。

 しかも、今年度の場合は10月1日に消費税を8%から10%に引き上げているのです。増税したのに税収不足に陥るのは、財政運営に相当に問題があるからでしょう。消費増税したにもかかわらず、赤字国債の発行がふえ財政健全化が遠のくとは…。納税者を裏切る大罪です。

 まさか、金利が低いうちは借金をしても大丈夫だと安心しているのでしょうか。日本はいくら借金しても財政破綻はしないという、いま流行のブードゥー教みたいな学説に財務省まで毒されているのでしょうか。

 1月20日から通常国会が始まります。最初の議案は19年度補正予算案です。長期政権下の深刻な財政規律の緩みについて、麻生財務大臣を厳しく質そうと思います。

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