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三菱電機「ブラック企業大賞」2連覇なのに“業績好調”のナゼ - 森岡 英樹

 社員の自殺が相次ぐ三菱電機は、1月10日、労務問題の再発防止策を発表した。ハラスメント教育の強化、アンケートの実施や相談窓口の充実などを掲げた「職場風土改革プログラム」と題された対策はすでに取り組んでいるものばかり。また、経営幹部による詳しい説明や記者会見もなく、「ポーズに過ぎないのでは」と内部から声が聴かれる。


杉山武史社長 ©共同通信社

 三菱電機は、弁護士やジャーナリストによる企画委員会が運営する「ブラック企業大賞」において2018年、2019年と史上初の2年連続で大賞を受賞した。

「三菱電機は2012年以降、長時間労働やパワハラが原因で自殺した社員が子会社も含めて5人います。19年も選ばれたのは、昨夏自殺した20代の男性新入社員が残したメモが公開されたことが大きい」(労働問題に詳しい弁護士)

 そのメモには、新入社員の上司にあたる30代の教育主任から浴びせられた暴言が書き残されていた。

「お前が飛び降りるのにちょうどいい窓あるで、死んどいた方がいいんちゃう?」

「死ね」

 新入社員は、主任から追い詰められ、昨年8月下旬、社員寮近くの公園で命を絶った。主任は自殺教唆の疑いで11月に兵庫県警が書類送検。以降、「ニクイねぇ!三菱」のテレビCMを中止している。

「遺族は三菱電機について『反省の色は見られず保身に全力を注いでいるように感じる』と話しています。また過去に労働時間の虚偽申告を促すなど、過労を隠蔽してきた」(前出・弁護士)

過労・パワハラが横行しやすい企業風土

 ただ、業績は堅調。日立製作所に次ぐ総合電機2位の座を確たるものにしている。

「家電から重電、人工衛星まで幅広く手掛け、多くの産業用電機機器で国内トップシェアを誇り、特に防衛エレクトロニクス分野では抜きんでている。携帯電話やパソコンからの撤退など、選択と集中を早めに進めてきたことが功を奏した。18年の国際特許登録出願件数も中国のファーウェイに次いで世界第2位です。自己資本比率も55%を超え、財務も盤石といえます」(メガバンク幹部)

 なぜ過労やパワハラが横行しているのか。

「『組織の三菱』と言われるように、グループ内の取引だけでも十分やっていけるため、内部の論理が優先される企業風土が根付いている。また三菱電機は事業部制が敷かれ、一度配属されたら、他部門への異動は少ない。それゆえ、社内の上下関係が絶対視されがちなのです」(同前)

 16年に自殺した社員は「三菱は私のことを一生忘れないで欲しいです」と書き遺していた。その声に早く耳を傾けるべきだった。

(森岡 英樹/週刊文春 2020年1月23日号)

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