- 2020年01月19日 10:13
世界一健康なのに『自分は不健康だ』と思う日本人 ~OECDデータが示す日本の現状は
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「日本は世界で最も平均寿命が長いなど、健康状態において優れた指標を多く有している。それでも多くの国民が健康に関して悲観的である」
去年11月、OECD(経済協力開発機構)が、医療・健康に関するデータを国際的に比較したレポートを発表しました。冒頭の文は、日本の特徴として指摘された内容です。わかりやすく言えば、「日本は世界的に見て健康的な人が多いのに、『自分は不健康だ』と思っている人が多い」というのです。
世界トップレベルに健康なのに、「自分の健康状態」に自信がない日本人
実際にデータを見てみましょう。
このレポートでは、「健康状態」を評価するのに、4つの指標を比較しています。
1)平均寿命
2)回避可能な死亡率
3)慢性疾患の罹患(発生)率
4)健康状態の自己評価
まず1)「平均寿命」に関して、日本は84.2歳と、比較されたOECD諸国のなかでは世界最長でした。
また2)「回避可能な死亡率」とは、簡単に言えば「医療サービスがきちんと機能していれば避けられた病気などによって亡くなった人の多さ」ですが、日本はOECD平均(10万人当たり208人)よりかなり少なく(10万人当たり138人)、この点でも世界トップクラスの成績を挙げています。
そして3)慢性疾患の罹患率(高血圧、糖尿病などに新しくなる人の率)もOECD平均(6.4%)に対し5.7%と低くなっています。
なお、このレポートでは喫煙・飲酒・肥満・大気汚染など「病気を引き起こすような危険因子」についても国際比較しています。その結果、日本はすべてにおいてOECD平均を下回りました(喫煙率だけは平均とほぼ同じ)。
特に、肥満率については平均が55.6%なのに対し、25.6%とはるかに低く、世界で最良の成績となっています。
こうしたデータからは、日本人は「世界でトップレベルの健康状態」にあると言えそうです。
それにもかかわらず、世界で有数の悪い結果が出たのが4)「健康状態の自己評価」についてでした。多くの人に「あなたは、ご自分の健康状態についてどう感じていますか?」というような質問を行い、その回答を国際的に比較した結果です。
下図は、「良い」「とても良い」と答えた人の割合です。

35か国の平均では68.1%の人が「良い」「とても良い」と答えました。最も高いカナダやアメリカでは、その割合は90%近くにのぼっていました(※1)。
一方で日本は35.5%で、35か国中、韓国についで低い結果でした。
続いて、自分の健康状態が「悪い」「とても悪い」と答えた人の割合です。

平均が8.7%に対し、日本は14.1%とずいぶん多いことがわかります。日本人は、自分の健康状態を「悪い」と思っている人が多いということは言えそうです。
