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災害の教訓が被災者支援の法整備に活かされていないことが問題だ



 阪神・淡路大震災から四半世紀。その後も日本は、東日本大震災熊本地震を始め台風による水害など、相次いで災害に見舞われてきた。大きな災害が起きるたびに、きちんと支援が行われていれば助かるはずの高齢者や障害者の命が多く失われ、長期にわたる被災者の避難生活では災害関連死も起きている。

 望むと望まないとに関わらず、日本が災害大国であることは否定のしようがない以上、われわれはもう少し被災者支援がうまくできないものだろうか。

 災害が起きるたびに制度の未整備が指摘され、関連する法律がつくられ改正を繰り返しているが、現状の法整備はあまりに不備が多いと、自身も阪神大震災で実家が被災した経験を持つ関西大学社会安全学部教授の山崎栄一氏はいう。

 行政による支援が法律に基づいて行われるものである以上、法律の未整備が被災者支援の内容や質に直接影響を及ぼすことが避けられない。

 応急対策のための法律として知られる災害救助法は、戦後間もない南海大震災の後の1947年に制定され、避難所や仮設住宅の設置などの支援策が掲げられている。しかし、在宅避難や広域避難など法律が想定していない事態は被災者支援の対象から外れ、結果的に被災者を見捨てる結果となっていると、山崎氏は指摘する。

 災害救助法のマニュアルとして使われている130ページに及ぶ「事務取扱要領」は、時代に合わせて変化してきてはいるが、その大元の考え方は、法律が制定された終戦直後の救貧的な発想から変わっていないのではないかと山崎氏はいう。弾力的な運用ができる「特別基準」も設けられているが、現場ではその存在を知らない行政職員が、杓子定規の対応をすることが多いのが実情だ。

 法律についても、災害対策基本法、災害弔慰金等法、被災者生活再建支援法など、被災者支援のための法律がいくつも作られてきたが、それぞれがバラバラで体系化されていない。災害が起きるたびに改正を繰り返してきているが、つぎはぎだらけの感は否めない。

 山崎氏は過去の災害の経験を教訓にした上で、被災者支援を基本理念に据えた新たな「被災者総合支援法」の制定を提案する。残念ながら、必ず災害はまた起きる。われわれは次の災害に備えて今、何をすべきなのか。災害支援の法制度をどう見直したらよいのか。山崎氏と、社会学者の宮台真司、ジャーナリストの迫田朋子が議論した。

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