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老いることに抗ってみても仕方ありません。それよりも「老いを美しく」魅せるように努力すべきです - 「賢人論。」第108回(中編)金美齢氏

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金美齢氏は59歳でテレビデビューした後、85歳の今も現役の評論家として日々講演会や執筆などで活躍している。まさに人生100年時代を象徴する存在。そんな金氏の事務所兼自宅にお邪魔し、著書『九十歳美しく生きる』(WAC文庫)を題材に、金美齢流のコミュニケーション術や、「美しく年を重ねる」というご自身の人生哲学を伺った。

取材・文/盛田栄一 撮影/公家勇人

「美齢」という名前のとおり「美しく齢を重ねる」ことが、自分に課せられた生き方だと考えています

みんなの介護 金さんの著書『九十歳美しく生きる』を、とても興味深く拝読しました。金さんは今年85歳。金さんが考える「理想の老い」について、お話を伺いたいと思います。まず、「金美齢」というお名前ですが、まさに「美しく齢を重ねる」と書きますね。どなたが名付けられたのでしょうか。

 父が名付けました。私が生まれた当時、父は貿易商で主に「米」を扱っていたので、最初は「米齢」を考えたようですが、それでは名前らしくないので「美齢」にしたと聞きました。台湾語では、「米」と「美」は同じ発音なんです。私は、この自分の名前が大好きなので、結婚後もあえて名前を変えませんでした。

自分の年齢を意識するようになった中年以降は、「自分の名前に恥ずかしくないように生きよう」と心がけるようになりましたね。「美しく齢を重ねること」が、自分に課せられた生き方だと思うようになったのです。

みんなの介護 著書に書かれていたように、「アンチ・エイジングではなく、ビューティフル・エイジングをめざす」ということですね。

 そのとおりです。老いることに抗ってみても、仕方ありません。それよりも、美しく老いるように、あるいは老いた自分を美しく魅せるように努力すべきですね。

加齢にともなう白髪や、肌のシワ、シミ、たるみも、自分が生きてきた年輪と思えば、むしろ誇りに思えます。

シワや白髪があっても、シワや白髪が魅力的に見えるような「おしゃれ」や「身だしなみ」をすればいいんです。若い頃のおしゃれよりも、老いてからのほうがセンスや工夫が必要。そう考えると、歳を取ってからのほうが、おしゃれのしがいがあります。

みんなの介護 「美しく歳を重ねる」のために、普段から心がけていることはありますか。

 自然に反するような、人工的なものは極力肌に触れさせないように気をつけています。たとえば、テレビに出演するときと講演会で人前に立つとき以外、私はお化粧を一切しません。

今日もすっぴんです。もちろん、洗顔後に保湿ローションを塗るなど、必要最小限のお肌の手入れはしますが、フェイスパックなど美顔や美白のためのケアはやったことがありませんね。

科学的な根拠はまったくありませんが、人工物をつけると、なんだか正常な皮膚呼吸が妨げられるような気がして…。

それから、髪を染めることは髪をいじめることになるので、この歳になるまで、髪を染めたことも一度もないんですよ。

みんなの介護 ありのまま自分として生きることが「ビューティフル・エイジング」なんですね。

美しく歳を取るには、日常のストレスを溜めこまないこと

みんなの介護 普段の生活ではどんなことに気をつけているのでしょうか。

 私の生活の基本は、ストレスをすべて他人に押しつけること(笑)。

まあ、それは冗談ですが、ストレスはできるだけ溜めないようにしています。ストレスを溜めないというより、「ストレスにしない」と言うほうが正しいかもしれません。基本的に、自分が嫌だと思うようなことはしません。

みんなの介護 それはたとえば、どういうことでしょうか。

 そのときそのときのケース・バイ・ケースなので、一概には言えないんですが…。

たとえば、ごく些細な例で言うと、自分が不在だったために、宅配便を再配達してもらうようなとき。「宅配便のお兄さんに何度も足を運んでもらうのは申し訳ない…」と思うと、それがストレスになりますよね。

そんなときは、感謝の気持ちを伝えるために、宅配便のお兄さんに、ちょっとしたお礼の品を渡すようにしています。

みんなの介護 それはどんなプレゼントですか。

 いいえ、プレゼントというほど、大それたものではありません。たとえば、友人知人からいただいた、季節の果物や地方の銘菓など。たとえば、宅配便の配達員さんだったら、「お宅、4人家族だったよね?これ、もらいものだけど持っていって」と、仙台名物のおまんじゅうを4つ渡したり。

あるいは、宅配便の配達員さんは小さなお子さんがいる方なら、クリスマス用のブーツに入ったお菓子を渡したり。

みんなの介護 配達員さんの家族構成まで知っているんですか。

 はい。私はおしゃべりなので、配達してもらう度にちょっとずつお話しして、いつの間にか家族のことまで話す間柄になっていますね。

そうやって、普段から配達員さんとも気兼ねのない関係を作っておけば、再配達をお願いしなければならないときでも、ストレスを感じることなくお願いできるし、むしろ「ありがとうございます」と言われることで、私自身の喜びにもなります。

そうやって、感謝の気持ちを伝え合えば、みんな仲良くなれるんです。

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