記事

キリングフィールドを訪れて 伝えることと教育の意味

1/2

 カンボジアを旅行してきた。そのひとつが、トゥールスレン虐殺博物館とキリングフィールド。政治による結果がここまで悲惨なことになってしまったことが記録として残されていた。


 カンボジアといえばアンコールワットなどの遺跡だが、こちらは旅行サイトをご参照いただきたい。ここでは、1975年から1979年まで政権を持った政党、クメールルージュとその指導者であるポルポトが引き起こした大虐殺の記録がカンボジアには残されているが、そのなかのプノンペンにあるトゥールスレン虐殺博物館、プノンペンから程近いチェンエクとシェムリアップにあるにキリングフィールド(処刑場)を訪れてきたことのメモを記してみたい。


■拷問による自白

 ポルポト政権は、極端な共産主義思想のもと農民が最も優れているとして、高所得者だけでなく、知識人や教育者、外国語を話す人などを次々と捕らえ、拷問により罪を自白させ、虐殺していった。なかには眼鏡をかけているだけで知識があるとして捕らえられたそうだ。また、クメールルージュの内部でも命令に背くと同様に収容所に送られ、誰が何の理由で送られるか分からない恐怖政治が続いたという。

 他にも都市部の住民は、農村に強制移住させ、経験もないのに農業や農地の開発などの強制労働に従事させ、命が奪われていった。

 現地での説明によると、粗末な食事が一日二回だけで、餓死や病気によって亡くなった人も多かったようだ。当初は、2,3日で戻ると言われてトラックに載せられ二度と戻れなかった人がほとんどで、人口250万人とされていた首都、プノンペンは数日で誰もいなくなったほどだったという。


■トゥールスレン虐殺博物館とキリングフィールド

 拷問を行っていた場所として有名なのは、プノンペンにあるトゥールスレン虐殺博物館だ。高校だった施設を独房に変え拷問を行ったところで、この場所だけでは収容する人が増えすぎてしまい、虐殺する場として「キリングフィールド」へ収容者を移動させ、そこで次々と処刑していた。その手法は残忍で、弾がもったいないとして銃殺は行わず、鍬やこん棒で頭を殴り、鋸の歯のような木葉で使い首を切っていったという。
 
 そのキリングフィールドは、国内に300か所あったとされる。そのうちの二か所を訪れたのだが、現地には供養塔が建てられ、その中には犠牲者となった方々の頭蓋骨だけが納められていた。他の体の骨までは収容しきれないのだそうで、別の場所に保管されているという。
 また、現在でも骨が見つかるそうで何人が虐殺された分からないほどの数の白骨が見つかるという。

 犠牲者は老若男女を問わない。母親の目の前で乳児を樹木に叩きつける虐殺も行われていたそうで、血痕がその樹木には残り、キリングツリーと言われ現在でも残されていた。


 人類の大虐殺としては、ユダヤ人約600万人が虐殺されたナチスドイツのホロコースト、民族間の紛争として約80万人が虐殺されたルワンダ虐殺が知られるが、ポルポト政権での虐殺は、誰が何の理由で虐殺されるか分からない全国民が対象となっていたことから最も残忍な虐殺ともいわれている。

■事実を伝える意義

 トゥールスレン虐殺博物館では、当時の施設が残され、行われてきた事実を伝えている。そこには、また10人以下という数えるほどしかいない生還者の方が、その虐殺の記録を残すために書籍を作り販売されていた。

 その中のひとり、CHUM MEYさんに会った。彼は、目隠しをされて連行され、12日間、昼夜を問わず殴打と電気ショックで拷問され、それまでに聞いたことのないCIAという組織のための反革命活動家であると自白したという。そのような自白により、ほとんどの人が処刑されるのだが、彼の場合は、自動車整備工だったことから自白を記録するためのタイプライターの修理をすることになり命が救われた。

 彼は生存したことの罪悪感で悩まされたが、正確な記録を残すことが必要と考えこのような書籍の発行などで伝えていくことや犠牲者会の設立を行い、また、2003年からカンボジア政府と国連で共同法廷が設立されたさい、クメールルージュの上級幹部の裁判の証人として法廷に立つなどの活動を行っている。


あわせて読みたい

「カンボジア」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    マスクより品薄? 消毒薬の注意点

    市川衛

  2. 2

    福原愛が「台湾の田中みな実」化

    NEWSポストセブン

  3. 3

    肺炎対応の官僚 不眠不休は当然?

    Chikirin

  4. 4

    売れた名変える神田伯山の肝っ玉

    毒蝮三太夫

  5. 5

    社民と立民の合流話は立ち消えか

    早川忠孝

  6. 6

    コロナで病院限界 厚労省が守れ

    中村ゆきつぐ

  7. 7

    日韓の人口あたり感染数は同じか

    木走正水(きばしりまさみず)

  8. 8

    パラサイトと万引き家族は対照的

    紙屋高雪

  9. 9

    コロナ対応の優先度理解せぬ政府

    川北英隆

  10. 10

    風俗に母同伴 親子共依存の実態

    AbemaTIMES

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。