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【読書感想】ルポ 定形外家族 わたしの家は「ふつう」じゃない

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ルポ 定形外家族 わたしの家は「ふつう」じゃない (SB新書)

ルポ 定形外家族 わたしの家は「ふつう」じゃない (SB新書)

  • 作者:大塚 玲子
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2020/01/07
  • メディア: 新書

Kindle版もあります。

ルポ 定形外家族 わたしの家は「ふつう」じゃない (SB新書)

ルポ 定形外家族 わたしの家は「ふつう」じゃない (SB新書)

  • 作者:大塚 玲子
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2020/01/06
  • メディア: Kindle版

内容紹介
東洋経済オンラインの人気連載
「おとなたちには、わからない。」書籍化企画!!

離婚家庭、同性カップル、非配偶者間人工授精(AID)など生殖医療で生まれた子……。
現代の家族の形は「多様化」しています。
父親と母親と子どもの組み合わせが「ふつう」だった時代は終わり。
では、それで生まれ育った子どもの気持ちはどうでしょうか?
本企画は両親の離婚、LGBT、虐待など
なかなか他人に話せないけれど、意外と当事者の多い問題について
かつての子どもだった当事者に取材をし、具体的な事例を紹介する一冊。

(仮構成)
1章 「ふつう」と違う子ども
2章 精神疾患の親と暮らす子ども
3章 親と血縁がない 出自を知らない子ども
4章 虐待を受けた子ども、その後の人生
5章 「世間」に巻き込まれる子ども

 僕は子どもの頃、周囲から、「お医者さんの家の子」と言われるのがすごく嫌で、自分の家が「普通のサラリーマン」だったら良かった、と思っていたのです。

 しかし、大人になってみると、世の中には「普通の家庭」とか「平均的サラリーマン」なんていうのは、そんなに多くはないし、「『サザエさん』みたいな家族」も見たことがありません。
 
 大人になって思うのは、大人って、みんな子どもだった時代があるはずなのに、自分が子どもだった頃の気持ちをほとんど覚えていない、ということなんですよね。
 

 書籍編集の仕事(当時の本業)では、子どもと離婚の問題を扱う本もよく手掛けました。なかでも子どもに焦点をあてて企画した離婚のハウツー書は、発売から十数年を経たいまも、版を重ねています。
 そんななか、私が最も大きな影響を受けたのは、親が離婚した経験をもつ人たちとの出会いでした。ひとり親を支援するNPOで、離婚家庭の子どもの声を伝える本を何冊か作ったのですが(『Q&A親の離婚と子どもたちの気持ち』新川明日菜・光本歩ほか著)、このとき当事者である子どもたちが感じてきた本音を、とことん聞かせてもらえる機会があったのです。
 突きつけられたのは、私自身を含め、「大人たちは子どもの考えていることを、さっぱりわかっていない」という事実でした。
 たとえば、親と子どもの利害が実は対立しているのに親はそれに気付かず、親自身に都合のいい解釈をしていたり、あるいは、大人が「子どもにかわいそう」と思っていることを、当の子ども本人は気にしておらず、逆に、大人が「子どもにとっていいだろう」と思っていることが、子どもにはむしろ迷惑だったり、そんなボタンの掛け違いが、たくさんあることがわかりました。
 そのうちにだんだんと「これは離婚家庭の子どもだけの問題ではない」ということもわかってきました。再婚家庭や里親・養親家族、同性で子育てするカップル、その他、いわゆる「ふつうの家族」以外の全般に取材対象を広げていくうちに、あちらにもこちらにも、同じような問題があることに気付いたのです。
 世間では、いわゆる「ふつうの家族」──お父さん、お母さんと、血縁の子ども──ばかりが「正しい形」とされ、それ以外の環境に育つ子どもは「かわいそう」と見られがちですが、子どもにとっては、そう単純ではないらしい。
 むしろ、周囲がそれを「かわいそう」と決めつけるから、その子は「かわいそう」になっていることも多く、その一方
で子どもたちは、大人が気付きもしない、全く別のところで悩んでいたりすることも、わかってきました。

 この本のなかでは、「夫婦別姓のためのペーパー離婚」や「父親に別の妻子がいた」、「アルコール依存や統合失調症などの病気の親との生活」、「AID(提供精子を用いた人工授精)によって生まれた子ども」など、さまざまな「ふつうではない家庭」で育った子どもたちが、いま、大人になって、当時感じていたことをあらためて語っています(子どもに語らせているわけではありません)。

 子ども時代の記憶と改変されている部分もあるのかもしれませんが、そういう体験を子ども時代にした影響が、大人になってもあるのか、というのを知ることができるのです。

 もちろん、個人の体験や感じたことが、すべての似た状況に置かれた人に共通する、というわけではないのですが。

 この本で、子ども時代の気持ちを読むと、当事者の気持ちというのは、外部の人間が想像するものとは全然違うものなのだな、と思い知らされるのです。

 「AID(提供精子を用いた人工授精)によって生まれた子ども」である石塚幸子さんの話です。

 幸子さんは自分がAIDで生まれた事実を知ったとき、「これまでの人生が覆されるような衝撃」を受けたといいます。
「聞いたのは、いまから十数年前、23歳のときです。父親が遺伝性の難病を発症したので、私にも遺伝している可能性があるかもしれないと思って調べていたとき、母から『実は、お父さんとは血がつながっていない』といわれて。
 最初は病気の遺伝がないことにほっとしたんですが、仲の良かった母親が、そんな重要なことで私に嘘をついていた、というのがものすごくショックでした。たぶん、父親の病気のことがなければ一生いわずに済ませていたはずです。それでいいと思っていることが一番許せなかったというか」
 人生の途中で、それまで親だと思っていた人と血縁がないと突然知るのは、どんな気持ちになるものか。とても想像しきれないところがあります。経験者からよく聞くのは「人生の土台が崩れるような」という表現です。「自分はこういう人間だと思っていた根っこが消えてしまうような感覚」、「これまでの人生が嘘の上に成り立っていたように感じられる」といった言葉も聞きます。
 幼少期から聞かされていれば「そういうものか」と思い、比較的事実を受け入れやすいようですが、ある程度の年齢になってから出自にかかわる真実を知った人は、みな激しく動揺し、親子の信頼関係が崩壊するケースもまま見られます。
 幸子さんも事実を知ったときは、大変な衝撃を受けました。当時は大学院に通っていたのですが、通学中などひとりになると涙が止まらず、「これで一生分の涙は使っちゃったかも」と思うくらい泣いたそう。

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