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日本の「推定有罪思考」の淵源とは?

■白日の下に晒された「推定有罪思考」

 ゴーン氏逃亡事件で、森法相が「ゴーン氏は司法の場で無罪を証明すべきだ」と述べられた。その言葉を聞いて多くの国民は条件反射的に「その通りだ」と思い拍手喝采した。しかし逆に、ゴーン氏のフランスの弁護士は以下のように述べたという。

>「有罪の立証責任は検察官にあり、被告に無罪の立証責任はない。あなたが間違えたのは容易に理解できる。あなたの国の司法制度は推定無罪の原則を無視しているためだ

 この発言に対し、多くの国民は鳩が豆鉄砲を喰らったかのような顔をしたのではないかと想像する。

 外国人から「推定無罪の原則を無視している」と言われて、「あ、なるほど」と思えた人はまだましな方で、おそらく多くの人は「推定無罪ってなに?」という反応だったのだろうと思う。

 図らずも、この一件で、日本では近代司法の常識というものが理解されていないということが白日の下に晒されてしまったとも言える。この状況は、外交的な観点から見ても、実は非常に恐ろしいことでもあるのだが、某ポータルサイトの掲示板などを見ていると、未だそのことを理解している人はほとんどいないのではないかと空恐ろしくなる。

 これまでの人生で、司法の世界と直接的にも間接的にも無縁だったということも大きな原因になっているものと思われるが、それとは別に、日本の時代劇等のテレビドラマも少なからず影響しているのではないかと思われる。

■水戸の黄門様と「推定有罪思考」

 最近の映画やドラマの流行りは、所謂「騙し系」というジャンルで、最近観た日本映画では『コンフィデンスマンJP』や、何年か前では『イニシエーション・ラブ』というような映画もあった。こういった映画は、最後の最後でドンデン返しが待っており、見事に騙されるというオチが売りになっている。ハリウッド等でも、この20年来、あの手この手を使い、こういった騙し系映画は量産され続けてきた。

 そういった騙し系映画を観て「理解できなかった」と言う人はあまり見かけない。比喩(メタファー)や皮肉(アイロニー)が理解できないという人はいても、騙されたことが解らないという人はあまりいない。なぜなら、映画ではきちんと種明かしをしてくれるから。

 水戸の黄門様が懐から印籠を出し、「ひかえおろー」と言うと、皆、条件反射的に「ははー」と頭を下げる。まさか、その後で、ドラマの展開がコロッとひっくり返るなどとは誰も想像だにしていない。水戸の黄門様が間違った判断などするはずもなく、悪人が「悪さをしていない」と言っても、誰も聞く耳を持たず、悪さをしていないなら、そのことを悪人自らが証明するべきだと思っている。

 そこに偶然、道を通り掛かった外国人から、「いや、あんたら、悪さをしたことを証明しなければならないのは水戸の黄門様だよ」と言われると、「えっ?」となってしまう。

 もしかすると、そういう善人と悪人がハッキリとしたストレートな勧善懲悪ドラマが、日本人の推定有罪思考に影響を与えているのかもしれない。

 

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